ぷくぷくぷく。
大きな水槽の中を何かが泳いでいる。
その前を白衣をきた人物たちが慌ただしく行きかっている。
「バイタルチェックOK。健康に異常なし。脳波にも異常は見られない」
「了解した。知能にも問題なしだ」
「ああ、それでは起こすとするか」
水槽をコンコンコンと叩く。
その音に水槽を泳いでいたものが反応したのか動いた。
【起きなさい、イレーヌ・クロスフィールド】
声が聞こえてくると水槽の中のものが指先をぴくりと動かした。
水槽の中にいたものは十四、五歳の少女だった。茶色の髪がゆらゆらと揺れ動いている。
【さあ、目覚めるのです。イレーヌ・クロスフィールド】
その言葉に反応してか少女はぽかりと目を開けた……。