新しい年があけた。
すみれは青い着物に身を包み、髪をお団子に結んでいた。
「アップル、あけましておめでとう」
「すみれ、あけましておめでとう」
二人は微笑んだ。
すみれは下に降りた。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとう、馬子にも衣装だな」
「あけましておめでとう、似合うわよ」
桃矢は相変わらず憎まれ口をたき、梅香は褒めた。
「お兄ちゃんたら……！」
すみれは兄をにらんだ。
「ほい。年賀状届いているぞ」
桃矢が年賀状を渡してくる。
「ありがとう」
すみれはさっそく見た。
美空の家族写真の年賀状、智世の年賀状、真子、千鶴、奈菜、沙希、奈緒子、利佳や藤原、澤田たちからも来ていた。
山崎の年賀状には「馬にけられるというのは恋愛の神様が馬の脚をもっていて、恋路を邪魔するやつを蹴っちゃうからだよ」と書いてあった。
すみれは信じないが、さくらたちが信じそうと思った。
千春の年賀状には「山崎君の書いてあることは嘘だからね」と書いてあった。
千春ちゃんナイスフォローとすみれは思った。
「あ、小龍からきている」
達筆な文章は彼らしいと思った。
「香港から来たあのガキね……」
「あのガキ……」
梅香と桃矢がつぶやく。
「ガキじゃないって。どうして小龍のこと気に入らないの？　今は仲いいのに……」
「だからだよ……」
「だからよ……」
「はあ？」
すみれはきょとんとした。
しかし梅香たちは答えそうにない。
そこで年賀状の続きをみた。
「アリアちゃんからだ！」
すみれはアリアからの年賀状をみた。
十円玉でこする占い付きだった。あたりますよ。と書いてあった。
すみれ十円玉を持ってきてこすった。
「え？」
占いには「求めるものは今日の初夢の中」と書いてあった。
「どういう意味？」
すみれは首を傾げた。
「あけましておめでとうございます」
そこへ父の藤隆が現れた。
そしてさくらとあやめも現れた。
「「あけましておめでとう！」」
「あけましておめでとうございます、お父さん、さくら、あやめ」
すみれも挨拶した。
「さて、行きましょうか」
すみれたちは初詣でへと向かった。