花は新たに力を得た
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遠くから聞こえる笑い声と歓声。
ノアは、少し離れた場所から、皆とはしゃぐ入間たちの姿を見つめていた。
照りつける陽の中、誰もが楽しそうに笑っていた。
その中心には、泥だらけのまま笑顔を浮かべる入間がいる。
ふと、ノアの視線が捉えたのは
伝説のリーフの花の部分。
それが、ふわりと空に浮かび上がった。
「え……?」
次の瞬間、
「ドパァン!」
という柔らかな爆ぜる音とともに、
空いっぱいにピンクの花びらが広がった。
それは、まるで魔界に咲いた春のような光景。
咲き誇るように花びらが舞い、見上げた者たちの顔に光が差す。
「綺麗……」
口から自然とこぼれたその言葉。
それは誰の耳にも届かなかったが、心からの感嘆だった。
そして、収穫祭・表彰式が始まった。
広場の中央、特設された壇上に、サリバンが立つ。
その横にはリードと、入間の姿。
「この度の収穫祭において、折れぬ精神力と、類まれなる行動力により、伝説のリーフを咲かせたことは偉大な功績である!」
サリバンが高らかに言い放つと、盛大な拍手が沸き起こる。
「以上を加味し、双方を、位階【4】に昇級とする!!」
歓声が広がり、王冠が二人の頭に授けられた。
だがその余韻も束の間、横からスッと手が伸び、マイクを奪ったのはカルエゴ。
「続いて、成績上位者の位階発表に移る。」
会場の空気が少し緊張に包まれる。
カルエゴは淡々と告げた。
オロバス・ココ【3】
ノア【4】
サブノック・サブロ【3】
イチロ&ニロ(ドロドロ兄弟)【3】
アガレス・ピケロ【3】
ガープ・ゴエモン【3】
クロケル・ケロリ【3】
カイム・カムイ【3】
イクス・エリザベッタ【2】
「位階昇級者は以上12名。
多大な活躍を収めた悪魔たちに喝采を。」
拍手が巻き起こり、収穫祭は正式に幕を閉じた。
表彰式の後バラム先生と会い
「勝手に悪周期になった罪で」
アスモデウスはバラム先生にこってりと叱られ、
「すまみません…」と反省しつつ、バラムは寝ているサブロの頭を優しく撫でた。
ついでのように、ノアの頭もくしゃりと撫でてくれる。
少しびっくりしたが、黙ってその優しさを受け取った。
講堂に集まった1年生たちは、収穫祭の余韻を胸に、思い思いに打ち上げの時を楽しんでいた。
食事の香り、笑い声、讃え合う声が交差する中
ノアは、きょろきょろと辺りを見回していた。
目当ては、ただ一人。
そして、隅の壁際に佇む、黒い外套を纏ったその背を見つけた瞬間、ノアは迷わず駆け出した。
「……!」
その気配に気づいたのか、カルエゴはほんの少しだけ振り返り、ノアを見つめた。
息を切らしながら目の前に立ったノアは、何も言わず、ただその隣にぴたりと寄り添う。
その小さな肩の動きから、全力を出し切ったことは明らかだった。
カルエゴは、しばらくノアの顔をじっと見つめて
ふっと、目元を和らげた。
「……よくやった」
その言葉とともに、大きくて冷たい手が、頭にそっと触れる。
指先が優しく髪を梳き、戦い抜いた少女を労うように、静かに撫でた。
一瞬、目を見開いたが、すぐに目を細め、何も言わずその温もりを受け取った。
優しい。けれど、言葉にしない不器用な優しさ。
それが、ノアにとっては何よりも嬉しかった。
バラムが向こうでほっこりとした笑みを浮かべながら、そっと呟く。
「ふふ、まったく……かわいいなぁ」
そしてバラムがカルエゴに駆け寄り会話を始める
「今日は粛にって言わないの?」
「中途半端に馴れ合うことなく、各々が全力で挑み、修行の成果を見せた。……及第点だ。」
「厳しいなぁ、本人たちに言えばいいのに」
「調子に乗るだろう。むしろ説教すべき点の方が多い。この後、きっちり反省会と大量の課題を…」
その時、突如としてカルエゴの姿がカッと光とともにかき消えた。
「…入間くん…?」
入間に呼び出されたのだろう。
ノアは小さく「むぅ……」と唇を尖らせ、少し機嫌を悪くする。
その様子に、バラムが慌ててなだめた。
「だ、大丈夫だよノアちゃん!
カルエゴくんすぐ戻ってくるって!ね?チョコいる?」
「…いる」
こうして、喧騒と成長に包まれた収穫祭は、幕を閉じた。