花は新たに力を得た
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「師匠は嫌がってたんだ!! 学校で生徒相手に訓練なんて!」
洞窟内に響くイチロの声。血走った目でノアたちを睨みながら、ドロドロ兄弟は拳を握りしめて叫んだ。
「そうだよ!師匠は自由が好きなんだ!戦って、女と遊んで、また戦って! 女にはだらしないし、酒癖も最悪だけど、戦場では最強だったんだ!!」
「…………」
その言葉に、ノアの脳裏に浮かぶのは、いつもニコニコ笑いながら植物の世話をしているバラム先生の姿だった。
(……バラム先生、そんな人だったの……?)
あまりのギャップに、思わず軽くショックを受ける。
「いや、喜んでたがなぁ」
「教えるの楽しいって、何度も言ってたぞ?」
「むしろ、めちゃくちゃ意気揚々と反撃してきてたけど……?」
首を傾げながら、ぽつぽつと呟く。
それに反発するように、兄弟は怒号と共に魔力を解放する。
「これが戦場で鍛えられた俺たちの戦い方だ!!」
精神を揺さぶるその支配の力は、ただの悪魔だけでなく――魔獣にまで及んでいた。
「学校なんて、雑魚悪魔が通う場所だろうがよ!!」
その言葉、“学校”の否定に、アスモデウスの眉がぴくりと動いた。
次の瞬間、冷ややかだったアスモデウスの眼差しが、怒りの炎を宿した。
「今……入間様を愚弄したか?」
小さく、しかし確かに言った。
「……いいだろう。理性など、自ら外してやる!!」
彼は髪をほどき、目に宿るのは静かな激情。
悪周期へと突入したその瞬間アスモデウスは、美しいほどの舞踏のように滑らかに
可憐な炎を身に纏い、ボス魔獣へと突進した。
「ヴィーノ!!」
フラリンゴの巨体をブンブンと振り回し
悲鳴とも歓喜ともつかぬ咆哮をあげて崩れ落ちた。
リンゴの実がポキ、と折れ落ちていく。
だが、アスモデウスは、まだ戻らない。
悪周期のまま、今度は兄弟の方へ向かって拳を振り上げる。
「おいおいおい、まじで来る!?!?」
「ちょ、やば……これはガチのやつ!!」
顔面蒼白の兄弟を、ノアが影に素早く引きずり込み、影の中へと隠した。
「ったく……!」
ノアは大きく息を吸い――
「入間!!!!」
洞窟内に響くその叫びに、アスモデウスの動きが一瞬止まる。
ノアは真っ直ぐ、彼の目を見つめて言った。
「アズくんの野望って、なんだったっけ?」
「……無論。入間様の矛となること」
きっぱりと答えたその言葉に、ノアはにっこり笑い、
「よしっ」と言って、
ぺちん。
アスモデウスの額を軽く叩いた。
「もう! すっごい暴れてたんだから!」
やっと正気に戻ったアスモデウスは、額を押さえながら、ぽつりと呟いた。
「……なるほど。心なしか、スッキリしている」
「ひっぱたいていい?」
ノアの顔が怒りと呆れで歪む。
こうして、
アスモデウス・サブノック・ノアのチームは収穫祭1日目を見事に終えた。
そして洞窟を出る夕暮れの中、ノアは静かに思った。
(……バラム先生、どこまで本当なんだろう)
その疑問の答えは――いつか、彼自身の口から語られるかもしれない。