花は新たに力を得た
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ふむ……君たちと勝負するより、単独で狩りをしたほうが効率が良い」
アスモデウスはいつもの調子で、つまらなそうに言い放った。
イチロとニロ、通称“ドロドロ兄弟”が提示したのは、東奥の洞窟に巣食うボスクラス魔獣を、どちらが先に狩るかという勝負だった。だが、アスモデウスはあくまで冷静に、そして合理的にそれを却下した。
「ちぇっ、つまんねーな」
「やっぱエリート様は逃げ腰かー?」
「臆病筋肉~」
口々に罵声を浴びせる兄弟。次第にその言葉は、ただの挑発から人格否定へと変わっていく。
「おい……今、なんつった?」
サブロの顔がピクピクと引き攣り始める。
「ふ、ふん、子供のような挑発に……乗るわけ……が……」
アスモデウスのこめかみに青筋が浮かび上がる。
「おらあああああああ!!!!」
「ぶっ飛ばしてやるわあああああ!!」
案の定、2人は完璧に挑発に乗った。
ノアはその様子を見て、くすりと笑った。
「もう、単純なんだから……でもまあ、ちょっと面白そうだし」
そう言って2人の後ろに立ち、肩をぽんと叩く。
「いいよ。勝って、黙らせてやろうよ」
かくして、即席の“勝負”が始まった。
東奥の洞窟――。
地響きを立てながら現れたのは、尻尾に赤い実がなった異形の魔獣。
名は――百(もも)フラリンゴ(10800P)。
どこか果実のような甘い香りを漂わせながらも、口からは鋭い牙を覗かせ、四肢は岩のように硬い。強烈なキックを放ち、岩壁を砕いた。
「うおっ!!」
サブロが紙一重でかわすが、掠った衝撃で吹き飛ばされる。
「おーい、攻撃食らったぞ~?」
イチロが煽るように指をさす。
「くっ……やりづらいな…」
ノアは洞窟内の狭さと、味方同士の位置関係を確認する。
ドロドロ兄弟は、兄・イチロの体術と、弟・ニロの頭脳で完璧に連携を取っていた。指示と動きが一糸乱れず、まさに“戦い慣れている”。
一方。
「炎を出しすぎるな!前が見えん!」
「だから!少し離れろと言っておるだろ!」
「洞窟内だぞ!?限度がある!」
アスモデウスとサブロは、まるで子供の喧嘩のように口論を始める。
「はぁ……も~、慎重にやってってば……」
ノアは呆れ顔で注意するが、
「首席のくせに度胸ないですね~?」
と、ニロの舌打ちまじりの挑発が飛ぶ。
次の瞬間、
「誰が度胸ないだとぉぉぉ!!」
アスモデウスが叫び、火焔とともに前方へ突進。
「…もう……」
ノアは頭を抱えた。
そこへ、さらに追い打ちをかけるようにニロが言った。
「魔王にも、その右腕にもなれないっスね、そんな奴ら」
その言葉に、サブロの動きが止まった。
ゴリ、と足元の岩が砕ける。
次の瞬間、怒りのままにサブロがニロへと飛びかかる
が、
「はい、ストーーップ」
ノアはサブロの胸ぐらを掴み、そのまま飛ばし
影の中へと引きずり込んだ。
「なにをするか!!」
影の中で怒鳴るサブロに、ノアは睨みをきかせて言った。
「うるさい!感謝してよ!正気に戻してあげたんだから!」
「なっ……でも……」
「多分、あれは魔術……精神を揺さぶって、怒りを煽ってくるタイプ。精神支配系かな。残念だけど、私には効かない」
そう言い放ち、サブロを影から出した
残されたドロドロ兄弟は、ノアの冷静な行動に舌打ちをしながら地団駄を踏む。
「あと少しだったのに!!」
「くっそ、くっそぉぉぉ!!」
「こんなの、ないぜぇぇぇぇぇぇ!!!」
洞窟にこだまする、魂の叫び。
それを聞いた3人――アスモデウス、サブロ、ノアは、ただひとこと。
「「「清々しいほどに悔しがるな……」」」
空気の抜けたような声で呟いたのだった。