花は新たに力を得た
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翌朝。訓練場にて。
バラムはいつもの穏やかな表情で、だが言葉の端々に厳しさを含ませながら、訓練の次段階を告げた。
「君たちにはこれから、“悪周期”と“通常状態”を交互に体験してもらう訓練に入ってもらうよ」
アスモデウスとノアが身を乗り出すように話を聞く一方、サブロは腕を組んだまま、険しい顔で立っていた。
「これは、自分の意思で悪周期を解放し、そして制御する力を身につける訓練だ。実戦では、何が起こるかわからない。そのとき、自分の力を制御できないのは――仲間を傷つけることになる」
そう言って、バラムは手にした小瓶を掲げた。
中には、それぞれ違う色の小さな錠剤がふたつ。
「赤が悪周期誘発薬。青が抑制薬だ」
「……副作用は?」とアスモデウスが問いかける。
「強い個体は精神に混乱をきたす恐れがある。だが、今ここにいる君たちなら……耐えられると思う」
続けて、バラムは大切な条件を告げる。
「訓練を行うにあたって、合言葉を決めておくこと。悪周期に入った君たちを戻すには、心の奥へ直接呼びかける必要がある。だから必ず、二人以上で行うこと」
サブロはその時、わずかに視線を逸らした。
「己の悪周期は……冗談抜きで危ない。今は無理だ」
声に力がなかった。サブロは自身の暴走の記憶を忘れていなかった。
「では、ノアちゃん、君から始めようか」
バラムが向き直る。
ノアはわずかに眉をひそめる。
悪周期――その状態になった記憶は、彼女の中には存在しなかった。かつて暗殺者として育てられた頃、何度か“無意識”の戦闘状態になったことはある。だがそれが悪周期だったのか、それすら定かではない。
「私……どうなるか、わからないです。それでもいい、なら」
その瞳に不安の色はあったが、それでも逃げなかった。
バラムは頷く。
「うん。大丈夫。僕がついている」
「合言葉は……“戻ってこい”にする。自分にも、言い聞かせるみたいに」
アスモデウスが軽く肩に触れ、頷く。
「気をつけろよ、ノア。何があっても、俺が止める」
ノアは息を整えると、赤い錠剤を一つ、口に含んだ。
ごくん、と喉が鳴る。