賑やかな音に蕾は揺れる
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魔獣を倒したあと、その場に座り込み、肩で息をしていた。
「は〜……生きてる……」
同じくボロボロになったリードたちと、ほっとしたように顔を見合わせる。ジャズが小石を蹴りながら言った。
「でも、いいんですかね〜?魔獣、あんな光ってどっか行っちゃいましたよ?」
リードも首をかしげる。
「うん、あれ……倒したら消える系?」
カルエゴの元へ寄っていくと、彼はそっけなく答えた。
「ふん、私はもう楽しんだ。あとのことなど知るか」
まるでやるべきことをやりきった風な顔で、いつものように腕を組んでいた。
「え〜でもさぁ〜」と食い下がるゴエモンに、
「そうでござるよ〜、祝勝会とか〜!」
カムイも乗っかって言うが、カルエゴはピシリと一喝した。
「えぇい、くどい!私は一歩たりともここを動かんからな!!」
その瞬間──
カルエゴの身体がピカッと光を放ち、次の瞬間にはそこから姿を消していた。
「……召喚?」
「入間くんか……」
皆が同時にそう思った。けれど、ノアだけはほんの少し、心の奥がきゅっと締めつけられるような気持ちだった。
(……いなくなっちゃった)
静かに、寂しさが胸に広がる。けれどそれを顔には出さず、立ち上がった。
――戦いは終わった。
疲労困憊の体で、みんなと合流したノアたちは、当然そのまま遊園地を後にするはずだった。
……だったのだが。
なぜか煌びやかなパレードの車の上にいた。
「え!?俺たち出てんの!?」とジャズが叫ぶ中、
「よっ!こっち向いて〜!」と観客が手を振る。
リードはすっかりその気になって笑顔で投げキッス。
ノアも、最初は戸惑いながらも、次第に観客たちに手を振るようになっていた。
満面の笑み。楽しくて、まぶしい時間。
その裏で……
パレードの歓声がこだまする中、華やかな光の影に沈む路地裏――
その闇の中に、複数影が潜んでいた。
***
「キリヲ……」
バールは、電話越しに確認する
「報告をしろ。……出られたのか?」
「えぇ、問題なく。予定よりトラブル多くて大変でしたわ」
ふっとキリヲが視線を上げる。その先、遠くパレードに参加するノアの姿が一瞬見えた。彼女の笑顔が、ひどく無防備で、眩しく見える。
「兄さん、あの子……ノアちゃん、見つけましたわ。あんな派手なとこにおるとは思わんかったけど」
「……そうか。あのときの『ガキ』か」
バールの声が少し低くなる。
「まさか生き残ってたとはな…」
「潰しちゃったらしいですね。例の組織……“クロム・ナイフ”。かつて兄さんが片手間で仕立てた、あの連中を」
「面白いな。潰した張本人が、無邪気に手を振ってる。自分が誰の恨みを買ったかも知らずにな」
キリヲが、くすりと笑った。
「兄さん、どうします? 今なら――」
「……誘え」
バールの目が、冷たく細まる。
「ノアちゃんを…?」
「ああ。ちゃんと“過去”に償ってもらわねばな。あのガキには――地獄の続きを見せる必要がある」
バールは視線を空へと上げる。
その表情は、怒りでも復讐でもなく――歪な執着だった。
「かつて、俺たちが使い捨てた命の屑を、ひとりで掃除しちまったあのガキに……お礼をしないとな。なぁ、キリヲ?」
「せやねぇ…兄さん。ほな、ノアちゃん連れていきますね」
パレードの歓声が、再び高まった。
けれどその背後に、誰も気づかない、不穏な闇が静かに忍び寄っていた。