賑やかな音に蕾は揺れる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
魔獣の咆哮が、ウォルターパークの空に響いた。
巨大なその腕が地面を薙ぎ払えば、辺りの瓦礫が宙を舞う。
ノアはその中を軽やかに走り、飛んできた瓦礫を蹴り飛ばしながら、大きな石の陰へと滑り込む。
「…一旦、ここで立て直そう」
ゴエモンたちもノアの元に駆け寄り、全員で肩を寄せ合うようにして身を隠した。
「…まず視覚を封じて……注意をそらして……」
「っし!リードの出番だな!」
リードが自信満々に指を鳴らす。
「感覚強盗で視覚を奪ってやる!あとはカムイが翻訳で注意を引いて――」
「その隙に僕とノア殿が一撃を入れるのでござるな!」
ゴエモンがうなずき、ノアも小さく笑った。
「……やってみよう」
チーム・カルエゴ、作戦開始。
魔獣の正面に飛び出したカムイが大声で叫ぶと同時に、リードが『感覚強盗』を発動。魔獣の視界が奪われる。
死角から、ゴエモンの『風太刀』とノアの『ラファイア』が交差し、音を裂いて魔獣の胸元に突き刺さった。
「――命中!」
ドォンッ!!
爆音と共に土煙が舞い上がる。
だが次の瞬間、魔獣が狂ったように吠えた。
「……怒らせた……?」
ノアが呆然と呟いた瞬間、こちらを向いた魔獣が猛然と突進してくる。
「う、わ、わわ!!」
「先生ぇぇえええ!!」
四人が一斉に助けを求めると、遠くからカルエゴが呆れたように肩をすくめていた。
「まったく……なぜそうも直ぐに私に頼るのだ」
その声音は、どこか愉快そうですらある。
「せっかくの“授業”だぞ。強いて言うなら、習ったことを活かせ。そうすれば――お前らでも勝機はある。さっさと行け」
「うわあああん!!大人は汚いー!!」
「子供を守る大人なんて、幻だ!!幻想だァ!!」
リードたちの悲鳴に、思わず笑いそうになりながらも、すぐに前に出て、彼らを背に庇う。飛んできた瓦礫を足で跳ね飛ばすその姿は、もう立派な戦士だった。
再び隠れて作戦を練る中、ノアが不安げに口を開いた。
「でも……どうするの? 魔術、全然効かなかった」
その時――カルエゴの声が、ふと背後から飛んできた。
「ジャズ、首のそれは飾りか?」
「……え?」
ジャズが指で首元を触れると、そこには魔具――『破耳笛』があった。
「……!」
一瞬で閃いたジャズは、仲間に作戦を伝え
カムイの『翻訳』で鳥を呼び、その背に乗って空を翔けた。
ノアは空を見上げながら、彼を守るように飛んでくる破片を弾き飛ばし続けた。
リードが『感覚強盗』で魔獣の聴覚を奪い、その耳元に――ジャズが破耳笛を押し当てる。
そして――
「……最大魔力で行く!」
静寂の中から、爆音が炸裂した。
魔獣が震え、咆哮をあげた――そのまま、崩れ落ちる。
「……やった! やったー!!」
「オレたちやったー!!」
リードたちが歓喜の声を上げた、その瞬間――
「……危ない!!」
ノアが叫ぶ。
魔獣の巨体が再び起き上がり、腕を振り上げる。
とっさに前に出て、仲間を後ろへ投げ飛ばした
「っ……!」
迫る拳。覚悟を決め、ノアは目を閉じる。
――けれど。
いつまでたっても、衝撃は来なかった。
恐る恐る目を開けると、そこには――
カルエゴが、片手で魔獣の拳を受け止めていた。
「まったくこれだから……貴様らはまだまだツメが甘いのだ」
淡々と、怒りも呆れもない口調で言い放つ。
「段取りも悪ければ、最低限の防御もままならない。採点は……ジャズ40点、リード30点、ノア、45点。カムイ30点、ガープ30点」
「……まぁ、及第点だな」
そして、右手をゆるりと掲げ――
「出てこい、ケルベリオン」
「――御手」
その一撃で、魔獣は完全に沈黙した。
崩れ落ちる巨体の前で、ノアはその場に膝をつき、呆然としたまま座り込む。
――かっこいい。
さっきまで一緒に風船持たされてた人と、同一人物とは思えない。
……心臓がうるさい。
そんなノアの腰を、カルエゴが片腕で支え、軽々と引き起こす。
「……立て。ボケっとするな。」
そのまま立たされ、目の前に座るカルエゴが、ちらりとノアを見た後リード達に目をやり
「さっさと来い。写真を撮るぞ」
「え、えええっ!?」
ノアの顔が一気に赤くなった。
「ま、まだ心の準備がっ……かっこよすぎて、むり……」
彼の隣に立つのも精一杯のノアの頬は、爆発しそうなほど熱かった。