賑やかな音に蕾は揺れる
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ウォルターパークの賑やかな喧騒の中、穏やかなひとときが流れていた。
ノアはカルエゴのそばで、風船を指先で揺らしながら笑っていた。リードたちは新たな射的の景品に夢中で、「これ絶対当てる!」と息巻いている。
そんな時――
轟音が響き、地面が大きく揺れた。
「っ!?な、なに……っ」
爆風が吹き抜け、視界が揺らめく中で、反射的に目を閉じた。
次の瞬間、彼女の体が誰かの腕に強く引き寄せられる。
「……落ち着け。私がいる」
低く静かな声。開いた瞳の先には、カルエゴの胸があった。彼がノアを抱きしめるように庇っていたのだ。
風が止み、砂埃が静かに舞い降りる。
カルエゴはノアの頭に手を添えると、そっと離し、真剣な目で彼女を見た。
「後ろにいろ、ノア」
その一言に、小さく頷き、指先をぎゅっと握りしめた。
そこへ駆け寄ってくるゴエモンたち。
「先生!避難しましょう!」
「危ないですよ、こっちに!」
だが、カルエゴは冷静に彼らを一瞥し、歩み寄った。
「逃げるには及ばん」
その声音には、妙な静けさと――どこか楽しげな色が混じっていた。
「私はまだ、楽しんでいないのだからな」
「へ……?」
「お前たち4人組。連携訓練にも絶好の機会だ。あんな巨大な的に全力で魔術をたたき込めるチャンスは滅多にない」
「え、いや、えぇぇええ!? ちょっ、ノアちゃんは!? ノアちゃんは避難しないの!?」
「そうでござるよ!戦う乙女でござる!」
その言葉に、ノアは小さく肩をすくめて微笑んだ。
「…私、戦うのは、構わないよ」
少しだけ緊張した表情で、けれど逃げることは選ばなかった。
カルエゴはそんなノアを一瞥し、ため息混じりに不満げな顔を見せた。
「……あくまで自衛の範囲で動け。勝手な真似はするな」
「うん、わかった」
その答えに、カルエゴは不機嫌そうに目を細めながらも、口元がほんのわずかに緩んでいた。
そして、容赦なく4人の襟首を掴むと、ぐいっと魔獣の方へと引きずる。
「よし。行くぞ、お前ら」
「ひぃぃぃぃ!? 先生、目が楽しそうーっ!!」
「ほ、ほ、本気じゃないですかー!!」
「せ、せめてっ歩かせて!!!」
カルエゴは彼らの叫びなど意にも介さず、なおも凄まじい魔力を放つ巨大な魔獣を見据え、冷ややかに笑った。
「――楽しもうじゃないか、この勝負。厳粛にな」
その背中を見て、ふと胸の奥が熱くなるのを感じた。恐怖ではない。それは――尊敬と、確かな憧れだった。
その日、ウォルターパークの片隅で繰り広げられた小さな戦場は、後に“地獄のチームカルエゴ”と名を残すこととなる。