賑やかな音に蕾は揺れる
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ウォルターパークへ向かう馬車の中。
ノアは、ずっとそわそわしていた。
膝の上で手を握ったり離したり、指をいじったり、景色を見たり、また前を向いたり。
落ち着かない様子で座席に座っている。
そんな彼女の隣に、カルエゴは無言で座っていた。
(……落ち着きがないな)
ちら、と視線を向ける。
瞳をきらきらさせ、でもどこか緊張も混じっている様子に――カルエゴは思わず、口元をわずかに緩めそうになった。
(……まったく。子供か)
そう思うのに、どこか、目が離せない。
揺れる馬車の中で、何度も姿勢を直すノアの様子が、不思議と――微笑ましかった。
「……落ち着け。まだ着いてもいない」
カルエゴの声に、ノアはびくっと小さく肩を震わせた。
「あ、ごめん…! その……ちょっと、楽しみで……!」
あわてて姿勢を正す彼女を見て、カルエゴはほんの少しだけ目を細める。
(まったく……)
「……謝る必要はない」
その声に目をぱちくりとさせた。
何か意外な言葉だったのかもしれない。
「……楽しみにするくらい、別に構わんだろう。魔界きっての娯楽施設なんだ。はしゃぐなという方が無理だ」
小さくそう言い、カルエゴは窓の外へと目をやった。
だが、その横顔は、どこか――柔らかく見えた。
ノアはそっと息を飲んで、思わず口元をほころばせる。
「えへへ、ありがとう」
その声に、カルエゴは一瞬だけ視線を戻し、ふいっとすぐに外へそらした。
「礼を言うほどのことか」
ぶっきらぼうに言うその声も、ノアにはどこかあたたかく感じられた。
窓の外には、遠くに賑やかな音楽と、カラフルな遊園地の塔が見え始めていた。
ウォルターパークの前には、すでに全員が集まっていた。
開園を告げる高らかな音楽とともに、ゲートの向こうから声が響く。
『さぁ! 嬉しい! 愉しい! はしゃいだバカが一番偉い! 遊ぶことだけ考えろ! ここは幻遊の街!
――ウォルターパーク!!
遊びの最高峰へようこそ!!』
ワァァァァァァ!!!
歓声があがる。クラスのみんなが、まるで小さな子どものように目を輝かせていた。
ノアも、その景色の一部にいる。
そして、そのそばには――
「……迷子になるなよ。見つけたら即刻回収する」
と、腕を組みながら言う、カルエゴ先生の姿があった。
(うん……最高の、週末日だ)
ノアは小さく、誰にも聞こえないような声で呟いた。