蕾は優しい光に包まれる
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昼下がりの学園内、日差しがやや傾きはじめた頃。
バビルスの中庭に設置された石のテーブル席には、試合を終えたノア・入間・アスモデウス・クララの4人が集まっていた。ささやかな菓子を囲み、魔界らしいカラフルな飲み物を手に、のんびりと笑い声が交わされる。
「いやー、あの時のアズアズのボール! 本気すぎてビリビリきたよ〜!」
クララが両腕を広げて、大げさに身振り手振りで語ると、アスモデウスは涼しい顔で鼻を鳴らす。
「当然だ。我が名に恥じぬよう、全力で投げたからな」
「それを受け止めた入間くんもすごかった…」
静かにそう言うと、入間は照れたように頬を掻いた。
「う、うん……でも、ノアちゃんもすごかったよ。サブノックくんの投げたやつを、ちゃんと受けて返してたし!」
「……うん」
控えめな頷きと、小さく揺れた銀の髪。その表情はどこか遠慮がちだったけれど、どこか誇らしさを含んでいた。
すると――。
「我も忘れてもらっては困るぞぉ!」
威勢のいい声と共に、背後から現れたのはサブノック・サブロ。大きな体を弾ませて、まるで勝者のような笑顔でテーブルへ近づいてくる。
「まさか、あの一投を返してくるとはな! お主、なかなかやるではないか、ノア!」
サブノックはガツンと石のテーブルに手をついて、ノアを見下ろすように覗き込んだ。
ノアは少し目を丸くしたが、すぐに小さく
「……うん」
と返し、目線を逸らす。
「おお、照れておるのか!? 良きかな良きかな、闘志をぶつけ合える友こそ、我の求める宿敵よ!」
「宿敵って……あれは練習の成果だよ。ね、ノアちゃん?」
入間が笑いながら言うと、ノアはそっと頷いた。
「サブノックくんと……ずっと練習してた。だから……止められた、と思う」
「ふふーん、だから強かったんだね! クララも今度仲間に入れてよー!」
クララが嬉しそうに笑い、アスモデウスは「ほう」と関心を示す。
「地道な努力を惜しまない……稀有な悪魔ではあるが嫌いでは無い」
「……ありがとう」
照れくさそうに視線を落とす。その頬には微かに赤みが差していた。
「ふはは! 今度はもっと本気で投げてやるからな、ノア! 我の全力、受け止めてみせよ!」
サブノックは笑顔のまま腕を組み、空に向かって高らかに声を上げる。
その姿を見て、ほんの少しだけ、唇の端を上げた。
気づいた入間が目を丸くして、アスモデウスも珍しいものを見るように視線を向ける。けれどクララだけは、それに気づいて自然に手を叩いた。
「わぁ〜! 今、ノアち笑ったー! かわいー!」
「えっ……!?」
ノアは慌ててそっぽを向いたが、その頬の赤みは今までになく濃くて、クララの笑い声がさらに弾んだ。
いつもより少しにぎやかで、少しあたたかい昼のひととき。
ノアの中に、ぽっと何かが灯ったような時間だった。