季節をめくる花
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目が覚めたとき、まだ夢の中にいるような気がした。
ふかふかのベッド。
あたたかい毛布。
そして何より隣で、自分を抱くように眠る、カルエゴの腕。
(あれ……夢じゃ……)
胸元に顔を埋めると、かすかに香るのは懐かしいスモーキーな香り。
ぬくもりも、鼓動も、肌に触れる感触も本物だった。
「…おはよう、カルエゴ……」
ぽそりとつぶやいた声に、すぐ返事はない。
けれど、彼の腕が少しだけ強くなる。
ぎゅうっと、包むように。
「……目、覚めてたくせに」
「お前が先に起きるとは思わなかった」
低くて優しい声が、頭の上に落ちる。
続いて、ふわりと頭にキス。
「今日は動くな。いいな?」
「え……?」
「お前は寝てろ。何か欲しいものは?」
「え、えっと……」
「聞かれたら即答しろ」
そう言って、カルエゴはベッドから立ち上がる。
黒いシャツを着なおしながら、ちらりとこちらを見て
「あとで飯を持ってくる。湯も沸かす。髪も梳いてやる。文句はないな?」
「…………」
ノアは呆然としていた。
(本気だこれ、徹底的に甘やかす気だ……!)
ほんの十分後。
戻ってきたカルエゴは、銀のトレイに完璧な朝食を乗せていた。
やさしいスープに、ほんのり甘いパン、フルーツにミルク。全部、彼の手作りだ。
ベッドに座ったノアの前にトレイを置き、膝をついてスプーンを持つ。
「口、開けろ」
「自分で食べられるよ?」
「俺がやる。いい子にしてろ」
ノ赤くなりながらも、大人しくスプーンを口に含んだ。
優しい味が広がって、心までほどけるよう。
「……美味しい」
「当然だ」
スープのあと、パンも小さくちぎって渡される。
それを口に運んでいると、髪に手が伸びた。
木製のブラシで、ゆっくりと髪を梳かすカルエゴ。
「…絡まってないか?」
「ううん。…気持ちいい……」
「なら、よし」
「ほんとに…今日は甘すぎるってば……」
そう言いながら、ノアはふっと笑った。
嬉しさが隠しきれなくて、目尻が自然と下がる。
そして冗談で言ってみた。
「じゃあ……キスもして?」
「……冗談か?」
「うん、冗談……」
けれど、次の瞬間。
カルエゴはブラシを置き、静かに顔を近づけた。
ノアの目が丸くなる。
「ちょ、えっ、ま、まって……!」
「うるさい。甘えたいと言ったのはお前だ」
そして、そっと。
額に、頬に、そして唇に。
優しく、丁寧に触れた。
一度、二度、ぬくもりが降りてきて。
「……っ」
ノアの目が潤む。
胸の奥が、じんわりと熱くなる。
「…カルエゴ」
「なんだ」
「もう、離れないで」
「何度でも言わせるな」
カルエゴは再び腕の中に引き寄せ、背を撫でた。
甘い香りと、優しい魔力に包まれて
ノアは安心しきったように瞳を閉じる。
(……ずっとこうしていられたらいいのに)
そんな夢みたいな想いが、心の奥にふわりと浮かんだ。
朝が来ても、世界はまだ夢の中のままだった。