季節をめくる花
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バビルスの教室。
朝の喧騒も落ち着いた頃、マルバス先生がなにやら禍々しい黒鉄の装置をゴロゴロと押し入れてきた。
「はーい、では今から拷問を始めまーす」
教室がざわつく。
「なんちゃって!冗談です冗談。怖くないよ〜」
苦笑いを浮かべつつも、悪魔らしからぬ陽気さで笑うマルバス先生。
彼が取り出したのは《魔力測定装置》だった。
「この子はね、魔力を込めた黒玉を投入口に入れてレバーを下ろすと、その悪魔の能力値を測ってくれるんだ。便利でしょ〜?」
説明を聞きながら、生徒たちは興味津々に列を作る。
測定結果は紙に印字され、「基」=基本魔力、「特」=特色として表示されるらしい。
それぞれが試しては歓声をあげたり落胆したりする中、次は入間の番になった。
「さぁ、入間くんもどうぞ〜」
おずおずと黒玉を装置に入れ、レバーを引く。
ギィ…ガガガ…と奇妙な音を立てながら装置が反応した、次の瞬間。
バチンッ!
機械が火花を散らし、黒煙を吹き出した。
「うわっ!? な、なんだこれ!?」
「入間くん、何したんだ!?」
「紋章? なにこの黒いの…」
出てきた紙は、真っ黒に染まり、中心には見たことのない複雑な紋章が浮かんでいた。
「…あー、やっちゃったなぁ」
マルバス先生が頭をかきながら装置を覗き込む。
「参ったなぁ…新任の先生にもデータを渡さないといけないのに…」
「えっ、新任の先生?」
ジャズが興味津々に口を挟んだ。
「うん、とっても優秀な先生たちでね。君たちの実技を担当する予定なんだ」
その言葉を受けて、タイミングを計ったようにロビン先生が扉を開けて入ってきた。
「おっと、ちょうどいいところで登場〜! 君たちに新しい先生たちを紹介しよう!」
教室の視線が前方に集まる。
ロビンの後ろから現れたのは、短髪、白髪の女性と、ゆるくセンターパートに分けた黒髪の男性だった。
「シーダです」
「アトリでぇ〜す」
「よろしく」
落ち着いた印象のシーダに対して、アトリはどこか気の抜けた笑みを浮かべながら、生徒たちを見渡す。
「よろしくねぇ〜、アブノーマルたちぃ〜」
語尾に伸びを含ませる独特の調子に、教室が再びざわついた。
「思ったよりまともそうな先生でござる!」
「ズバリ!好きな女性のタイプは?」
「エロい子」
アロケルとゴエモンが突っ込みを入れるが、アトリはどこ吹く風といった調子で笑いながら受け流す。
その光景を、ノアはじっと見つめていた。
(この感じ……どこかで見たことがある)
胸の奥に引っかかる既視感。
だが思い出せない。記憶の中に霧がかかったように、はっきりしない。
表情を崩さず、しかし内心では静かに警戒を強めていた。
アトリはふと、そんなノアの視線に気づく。
そしてゆっくりと、彼女だけにわかるように、口元を吊り上げて笑った。
(…気づいてる? いや、まさか)
その笑みは、生徒たちに見せるそれとは違っていた。
どこか歪で、底知れない不気味さを含んでいた。
ノアの胸の中には不安が、わずかにざわめいた。