季節をめくる花
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悪魔学校バビルス空高くそびえるその校門の前に、ノアは静かに立っていた。
長く伸びた黒髪が朝の風にそよぎ、琥珀色の瞳が校舎の塔を見上げる。
「今年も、始まるんだね」
ここは大切な日々がある
守りたいものがある
足を踏み出すと、制服姿の新入生たちが次々と視界に入ってきた。
「ねぇ、今の…あの人、すごく綺麗じゃない?」
「上級生かな? なんか、雰囲気すご……」
そんな声がひそひそと聞こえてくる。
少し驚いたように足を止めたが、すぐに柔らかく微笑み、軽く手を振る。
その仕草に、新入生たちの目がさらに輝いた。
(不思議だな。前は視線なんて気にしたことなかったのに)
まもなく、開会の鐘が鳴り響く。
生徒たちは講堂へと流れていき、ノアもその中に混ざって席についた。
壇上にあがったのは、いつもの厳しい顔カルエゴ
「只今より、悪魔学校バビルス新年度、入学式を始めます。
……まずは、理事長挨拶」
続いて壇に現れたのは、理事長・サリバン。どこか楽しげな笑みを浮かべ、手を大きく広げて語り始めた。
「1年生諸君、入学おめでとう!
今日この時より、皆をバビルスの生徒として迎え入れることができ、大変喜ばしい限りです!」
そこまでは良かった。だが、次の瞬間
「そして何よりも喜ばしいことは……我が孫・入間くんが2年生に進級したことでありま〜す!」
講堂にこだまする声。
ノアは思わず吹き出しそうになるのをこらえた。
案の定、すぐさまカルエゴが理事長の首根っこをつかんで壇から引きずり下ろす。
(うん、いつも通りだ)
講堂にはクスクスと笑い声が広がった。
「続いて、新入生代表挨拶。新入生代表、クロケル・チマ」
壇上に上がった少女は堂々とした姿勢でマイクの前に立った。
「バビルス1年、クロケル・チマ。
空、禍々しく暗雲立ちこめる今日の良き日に、悪魔学校バビルスの新入生として入学式を迎えることが出来ました。
畏れ多いほどの野心を胸に秘め、自らの欲と向き合い、満たしていこうと思います」
凛としたその声に、講堂の空気がピンと張り詰めた。
自然と背筋を正し、その瞳をチマへと向けた。
挨拶が終わると、拍手が響き、入学式は滞りなく幕を閉じた。
生徒たちがざわざわと席を立ち、出口へと歩き出す中、ふと立ち止まって天井を見上げた。
青白い光が差し込む講堂の窓。その先には、いつもと変わらぬ空。
けれど、彼女の胸の中には、確かに違う季節が流れていた。
(また、始まるんだね。去年とは違う私で、違う時間を)
優しく、でもまっすぐな眼差しで彼女は前を向いた。
そして、新しい日々へと、一歩を踏み出した。