花と奏でる音
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音楽祭の熱気がまだ残る中、アブノーマルクラスは教室でささやかな打ち上げをしていた。
机を囲み、お菓子やドリンク、クララの謎料理が並ぶ中
教室中が笑い声と興奮で満ちていた。
「くふふっ!やったね、みんなー!」
「おれたち最強ぉぉ!」
「クララ、そのジュース光ってないか!?」
その中、リードが突然指を突き上げる。
「ねぇ!ここに我々を世界一の演者たちを、
褒め称えるべき悪魔がいると思いまーす!」
その指先は、静かに座っているカルエゴを刺していた。
「担任として、なにか!こう!あるでしょ!」
皆の視線が集中する。
カルエゴは少し眉をひそめ、だが静かに言葉を紡いだ。
「……そうだな」
沈黙の後の、低く落ち着いた声。
「一年生で、クラス全員が【4】に昇級など
バビルスの歴史上にも、そうそう無い。」
「やれと言われておいそれとできることではない
これは前にも伝えたことだが、改めて言おう」
「貴様らの為したことは、まさしく偉業だ。」
少しだけ、口元に微かな笑みが浮かんだ。
「……本当に誇らしく思うぞ。まったく……
実に見事だな、私の指導力は。」
どよめくクラス。
「大人げなーい!!」
「もっと素直に褒めてくれでござる!!」
リードとゴエモンが声を揃えて叫び、教室が爆笑に包まれる。
「でも私たちはまだいいけど……」
と、ノアがぽつりとつぶやく。
「音楽チームは、ちゃんと褒めてあげた方が……」
その言葉にカルエゴはふと視線を向け
短鞭を手に取ると、すっと歩き出した。
そして、トランペットのプルソン、ピアノの入間の頭に「ぽん」と軽く当てる。
「よくやった」
と言葉にせず、そう伝えるように。
「褒めてんの?それ?」
「……でも嬉しそう……」
リードとジャズがひそひそと笑う。
プルソンは小さくうなずき、入間も照れ笑いを浮かべていた
騒がしかった教室の空気も、少しずつ落ち着きを取り戻していた。
みんなが思い思いに語り合い、笑い、余韻に浸る中
窓際の静かなスペースに、ノアはいた。
カルエゴのすぐそば。ほんの少し距離を空けて座っている。
さっきまで、クララとケロリに引きずられて笑っていたはずのノアは、今はもうまぶたが重く、こっくりと首を傾けていた。
「…………」
カルエゴはそれに気づき、ちらりと視線を向ける。
ノアの睫毛は長くて、伏せた瞳の影が頬に落ちている。
普段より少し気の抜けた表情に、年相応のあどけなさが滲んでいた。
カルエゴは眉を寄せ、ほんの少しため息をつく。
「……疲れたのなら、素直に寝ろ」
返事はない。けれど、肩がかすかに揺れて
そのままカルエゴの肩に寄りかかってきた。
「…………」
予想外の接近に、カルエゴの体が一瞬だけ硬直する。
けれど。
体温はひどく静かで、安心しきったように微かに震えていた。
小さな寝息が、ほんのりと胸元に触れる。
カルエゴは目を伏せ、ふっと息を漏らす。
そして、自分のマントの端を無言でノアの肩に掛けた。
肩先に滑らせるように、優しく。
その瞬間、ノアが小さく呟く。
「…カルエゴ、あったかい」
眠ったままの言葉。無意識の本音。
カルエゴの手が一瞬止まった。
けれど、何も言わずに、そっとノアの髪に触れる。
ほんの一撫でだけ。
「子どもか、お前は」
そう言いつつも、その声はどこか、甘く、やわらかかった。
もう一度、頬に目をやる。
そこには、静かな安心と微笑があった。