花と奏でる音
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合同練習当日。
アブノーマルクラスのメンバーたちは、ざわつきながら音楽組の到着を待っていた。
「まだかな〜入間ちたち!」
「リハ前なのに緊張してきたぞ……」
そんな声が飛び交う中
ガチャリ、と扉が開く。
そこに立っていたのは正装を纏った入間だった。
漆黒の燕尾服に身を包み、胸元には薔薇の花。
普段のお人好しな空気は消え、まるで舞台の王子のような気品が漂っていた。
そして、彼はゆっくりとエリザベッタの前に歩み寄り、ひざまずく。
「常日頃から、その愛らしい笑顔と、小鳥のさえずりのような笑い声に心を奪われていました。」
空気が静まり返る。
「可憐で、清純で、何より美しい……我々の華である貴女へ。」
胸元から一枚の便箋を取り出し、丁寧に差し出した。
「これは……貴女を想って書いた恋文です。
どうか、受け取ってください。姐さん。」
シン……と静まり返る空気。
「ちょ、ちょっと待ったああああああ!!!」
「入間くん!?何やってんのさああああ!!」
クララとリードが叫びながら突進するが、それを止めたのはサブロとノア。
「落ち着け。今は奴の出番だ」
「……これは演出。たぶん、だけど」
ノアは微笑み、クララを後ろからそっと抱き止める。
入間は立ち上がり、ピアノへ向かった。
「ただ、答えは……音楽のあとで」
そして、彼の指が鍵盤に触れた。
静かに流れ出す旋律。
優しく、心をなでるような音。
次第にその音は熱を帯び、情熱的に
自然と、皆の体が動き出した。
心が、音に導かれていく。
舞台が始まる前に、すでに誰もが物語の中にいた
音楽が止む。
入間は再びエリザベッタの前へ。
「姐さん。この恋文、受け取ってもらえますか?」
数秒の沈黙のあと、彼女は美しく微笑んだ。
「いいわ。じゃあ私は貴方の“文字”と恋するわ
その代わりに、あなたとは一生、喋らなくなるけれど…それでもいいかしら?」
その瞬間、場の誰もが息をのんだ。
「さすが姐さん」
入間は微笑み、深く頭を下げた。
***
衣装選びが始まった。
エリザベッタには豪奢な赤と薔薇の装飾が施されたドレス。
そのほかのメンバーは黒ベースのフォーマル衣装で統一され、動きやすさと美しさを両立させたデザイン。
そしてプルソンには、特別な魔具が授けられる。
「神秘の幕」
認識阻害魔術が織り込まれた薄布で、彼の体を覆うようにたなびく。
その揺れとともに生まれるのは黄金の旋律。
「…プルソンくんこれが、君の役目だよ」
入間の言葉に、彼は一瞬目を見開き、そして深くうなずいた。
誰もが確信していた。
この舞台は、間違いなく伝説になる。
***
その後、各々のパート練習に再び集中。
そんな中
「プルソンくん、職員室まで来てください」
教師の呼び声に、彼が振り返る。
その背に、ふとノアが気づいた。
少しだけ、足取りが重い。
(……大丈夫、だよね?)
胸の奥に、かすかな不安が芽生える…