花と奏でる音
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ロイヤル・ワンその一室、運動部屋にて。
魔力で床は弾力を持ち、壁一面の鏡が空間を広く感じさせる。
アブノーマルクラスの面々が集まり、いつものように騒がしくも緊張した空気を漂わせていた。
ノアもその輪の中にいた。隣にはアズくん。ジャズやリード、サブロたちも勢揃いしている。
そんな中、ケロリが勢いよく手を叩いた。
「では皆さん!」
彼女の瞳には、やる気というよりもはや“使命感”すら宿っている。
「今日から、“地獄踏み(ヘルダンス)”の練習を始めます。……が!」
ぴしっと人差し指を立て、言い放った。
「その前に、あなたたちにはアクドルになってもらいます!!」
「……へ?」
思わず聞き返しそうになった。周囲も一斉にざわめき出す。
「ちょ、ちょっと待って! 僕らがやるのって“ヘルダンス”だろ?」
リードが両手を上げて抗議するように言う。
ケロリは涼しい顔で、しかし熱く語った。
「アクドルは、パフォーマーの最高峰よ。
ステップ、歌、容姿……すべてが“魅せる”ために計算され、研ぎ澄まされている。
何より可愛いのよ!!」
語るほどに表情が輝きを増していく。
ノアは内心、ちょっと圧倒された。
こんなに目をキラキラさせるケロリを見るのは初めてだったかもしれない。
だが、クラスメイトたちの顔はというと
「自分がアクドルって……」
「想像が……無理……」
「俺、笑われる自信あるわ……」
と、ほぼ困惑の嵐だった。
例に漏れず、内心でうーんと唸る。
自分がキラキラの衣装で踊ってる姿なんて
想像できない。
そんな空気の中、ケロリがふっと笑みを浮かべた。
「いいわ。なら、魅せてあげる。一度だけよ?」
音楽が流れる。
その瞬間、ケロリの雰囲気が変わった。
軽やかな足さばき。流れるような腕の動き。
指先まで気を抜かず、音と心が完全にひとつになっている。
それは本当に、美しくて、可愛くて、
何よりかっこよかった。
息を呑んだ。
きらめくケロリの姿に、なぜか胸が熱くなる。
「……すごい……」
思わず漏れた呟きは、周囲の誰かのものか、それとも自分のものだったのか。
踊り終えたケロリが振り返り、言った。
「ね?想像してみて。
自分の指先ひとつで、観客が歓喜し、揺れるの
……最高にゾクゾクするでしょ?」
その言葉に、ノアの中でも何かが震えた。
彼女だけじゃない。リードも、クララも、みんなが目を輝かせている。
「じゃあ、私は“ヘルダンス用の摩具”を調達してくるわ」
「じゃあ僕らは何するの?」とリードが聞くと、
ケロリはにっこり微笑んで言った。
「『自分はかっこいい』って、666回唱えなさい!」
バタンとドアが閉まった後、しばしの沈黙。
……その中で、突然始まるリードの小声。
「自分はかっこいい……自分はかっこいい……」
思わず笑ってしまいそうになった。
アスモデウスも言おうとした時
「……アズアズは言わないで」
ぴしゃりと言うジャズ
「なんでだ?」
笑いが広がる。
確かに、アクドルになるにはまだまだ課題は山積みだ。