花と奏でる音
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その夜ノアはアブノーマルクラス全員を、屋上へと呼び出していた
「夜の学校って、ちょっとワクワクするよねぇ〜」
教室を抜け、足音を忍ばせて渡り廊下を進むジャズが言う
「まさかノア殿がこういう企画を立てるとは……珍しいでござるな」
ゴエモンも目を輝かせていた
皆を先導しながら、少しだけ緊張していた
けれど、それ以上に胸に秘めたものがあった
(あの音をみんなに聞かせたい)
屋上にたどり着いたとき、すでに夜風が高く吹いていた
空には雲一つなく、魔界の月が静かに照らしている
その瞬間
静寂を破るように、トランペットの音が空へ放たれた
澄んだ、けれど明るく素敵な旋律
風に乗って、月明かりと共に揺れながら、皆の耳に届く
「…えっ?」
「ピクシー??」
一同が声を潜めて周囲を見渡す中、ノアが手を伸ばしてスイッチを入れる
屋上の足元に設置されていたランプが、柔らかな明かりを灯した
その中心に、プルソン・ソイの姿があった
一歩も動かずただ音を奏で続けていた彼は
曲を終えるとスッと身を引いた
次の瞬間にはノアの背後にぴたりと立っていた
「えーっと……こちら、プルソンくんです」
ノアが紹介すると、リードが不思議そうに眉をひそめる
「え、すっごい遠くに居ない? ていうか、なんか……距離感じる……!」
「それはっ!みんなが一斉に構うからでしょ!」
慌てて庇うように言った
その時、プルソンがそっと何かを耳打ちする
「あ、はいはい、『緊張する』って」
ノアが通訳し、皆が「あぁ~」と納得したようにうなずく
一拍おいてプルソンが、自分から口を開いた。
「僕が音楽祭に出るには……二つ、条件がある」
皆の視線が一斉に集まる
だが彼は怯むことなく続けた
「協力するのは“音”だけ僕は姿を現さない
それと……僕が演奏しているってことは、みんなに明かさないでほしい」
その声は小さいながらも、確かだった。
「この条件を飲んでくれるなら……僕は、音楽祭に出るよ」
沈黙……が、次の瞬間。
「…………にまっ」
皆が一斉に、にっこりと笑い出した。
「ワクワクするのはわかるけど!顔が怖いから!」
ノアが必死に制止するが、リードが楽しそうに言った。
「そんな条件出されると逆に燃えてきちゃうじゃん?
姿を見せずに昇級か……面白すぎるって」
それに続き、ジャズが前に出る。
「なぁプルソン、俺たちアブノーマルだぜ?
そんな悪魔が集まってるんだ、“できない”なんてあると思うか?」
プルソンが驚いたように目を瞬く
彼は距離を作っていた。
けれど今、その距離が少しずつ近づいている
「それ、かっけぇじゃん。全力で乗ったるわ」
リードもにんまりと笑い、腕を組む。
その時屋上の扉がガチャリと開いた。
「おい、そこの不審な悪魔ども! 夜間に屋上で何をしている!!」
見回り教員の怒声が轟き、全員が弾かれたように逃げ出した。
「うわっ!先生だー!」
「にっげろおおお!!」
わぁっと騒ぎながら、皆が廊下へ駆け出していく。
その後ろで、ノアが小さくガッツポーズを決めた。
(やった……!)
プルソン、音楽祭出演決定!