蕾は黒に見守られ花開く
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【カルエゴ視点】
ペンダントを受け取った夜から、カルエゴの胸はざわめいていた。
ノアの言葉「これももう、返すね」は、まるで別れの儀式のようだった。
だが、妙だった。
このペンダント、彼が渡したものとは重さが違う。
違和感を抱えながら、カルエゴは細工を見破る。
繊細な魔術で封じられた偽物。その内側に、封を施された小さな手紙が隠されていた。
封印を解き、カルエゴは読み始める。
「カルエゴへ」
ごめんなさい。本当は、あの場で伝えるつもりはなかったの。
でも、どうしても言わなくちゃいけなかったことがあります。
私は、今まで“殺して”なんて、いません。
任務の対象はすべて、ある施設に保護してあります。
偽装や魔法、全部、組織の目をごまかすためでした。
ずっと、私を信じてくれるって、思ってたから。
でも、もう私はレオナルドの婚約者になりました。
あれも、選んだんです。誰も傷つけない方法として。
だから、リリィにも、カルエゴにも、もう二度と会いません。
最後に好きでした。
ノア
指先が、微かに震える。
それは怒りでも悲しみでもなく救いだった。
「……殺していなかった、だと?」
呟くように言ったカルエゴの眼光に、再び炎が灯る。
***
手紙に記された座標を頼りに、カルエゴはある結界に辿り着いた。
そこは地図にも記されていない、小さな孤児施設。
外からの干渉を防ぐ強力な認識阻害魔法が張り巡らされていた。
魔法を解き、門を叩く。
出てきたのは若い女性職員――そして、彼女の背後に見えた顔たち。
――幼い子供、少女、貴族の娘。
彼がかつて「処分対象」として任務に巻き込まれたと知っていた者たちが、そこにいた。
「おじちゃん、誰?」
「カルエゴだ。ここにいるのは、ノアが……?」
「うん。ノアってお姉ちゃんが、助けてくれたんだよ」
少女が笑う。
顔に傷もない。瞳も澄んでいた。
カルエゴはその場に膝をつく。胸の奥がきしむほどに震えていた。
「……生かしていたのか。全部、仕組んで……
一人で背負って……!」
ノアは、最初から“偽物”になっていた。
冷酷な道具を装い、命を奪ったふりをしながら、命を守り続けていた誰にも知られずに。
***
その日から、カルエゴの行動は変わった。
「ノアの記録を洗え。過去の任務、交信履歴、組織内部との連絡……あらゆる情報をだ」
彼の目は鋭かった。
机にはノアに関する報告書、組織の資料、レオナルド一族の政治網図……ありとあらゆる紙が山積みになっていく。
彼女は今、鎖に繋がれている。
政略の犠牲として、誰にも助けを求めずに。
「……だが、私はまだ終わっていない」
カルエゴの手元には、あの偽ペンダント。
中の手紙はすでに何度も読み返され、折れ目が深く刻まれていた。
「好きでした」
それは“過去形”だった。
だが、カルエゴにとっては始まりに過ぎなかった。
「ノア、お前を連れ戻す。必ずだ」
今度こそ、その手を二度と離さないために。
男は、静かに立ち上がった。
ペンダントを受け取った夜から、カルエゴの胸はざわめいていた。
ノアの言葉「これももう、返すね」は、まるで別れの儀式のようだった。
だが、妙だった。
このペンダント、彼が渡したものとは重さが違う。
違和感を抱えながら、カルエゴは細工を見破る。
繊細な魔術で封じられた偽物。その内側に、封を施された小さな手紙が隠されていた。
封印を解き、カルエゴは読み始める。
「カルエゴへ」
ごめんなさい。本当は、あの場で伝えるつもりはなかったの。
でも、どうしても言わなくちゃいけなかったことがあります。
私は、今まで“殺して”なんて、いません。
任務の対象はすべて、ある施設に保護してあります。
偽装や魔法、全部、組織の目をごまかすためでした。
ずっと、私を信じてくれるって、思ってたから。
でも、もう私はレオナルドの婚約者になりました。
あれも、選んだんです。誰も傷つけない方法として。
だから、リリィにも、カルエゴにも、もう二度と会いません。
最後に好きでした。
ノア
指先が、微かに震える。
それは怒りでも悲しみでもなく救いだった。
「……殺していなかった、だと?」
呟くように言ったカルエゴの眼光に、再び炎が灯る。
***
手紙に記された座標を頼りに、カルエゴはある結界に辿り着いた。
そこは地図にも記されていない、小さな孤児施設。
外からの干渉を防ぐ強力な認識阻害魔法が張り巡らされていた。
魔法を解き、門を叩く。
出てきたのは若い女性職員――そして、彼女の背後に見えた顔たち。
――幼い子供、少女、貴族の娘。
彼がかつて「処分対象」として任務に巻き込まれたと知っていた者たちが、そこにいた。
「おじちゃん、誰?」
「カルエゴだ。ここにいるのは、ノアが……?」
「うん。ノアってお姉ちゃんが、助けてくれたんだよ」
少女が笑う。
顔に傷もない。瞳も澄んでいた。
カルエゴはその場に膝をつく。胸の奥がきしむほどに震えていた。
「……生かしていたのか。全部、仕組んで……
一人で背負って……!」
ノアは、最初から“偽物”になっていた。
冷酷な道具を装い、命を奪ったふりをしながら、命を守り続けていた誰にも知られずに。
***
その日から、カルエゴの行動は変わった。
「ノアの記録を洗え。過去の任務、交信履歴、組織内部との連絡……あらゆる情報をだ」
彼の目は鋭かった。
机にはノアに関する報告書、組織の資料、レオナルド一族の政治網図……ありとあらゆる紙が山積みになっていく。
彼女は今、鎖に繋がれている。
政略の犠牲として、誰にも助けを求めずに。
「……だが、私はまだ終わっていない」
カルエゴの手元には、あの偽ペンダント。
中の手紙はすでに何度も読み返され、折れ目が深く刻まれていた。
「好きでした」
それは“過去形”だった。
だが、カルエゴにとっては始まりに過ぎなかった。
「ノア、お前を連れ戻す。必ずだ」
今度こそ、その手を二度と離さないために。
男は、静かに立ち上がった。