三題噺

転びました。
今日はもう何度目でしょう。
僕は花畑で遊んでいます。
蝶を追いかけて、遊んでいます。
綺麗な蝶を探しては、追いかけて走り回る。
そして、途方に暮れては、転ぶ。
ぐしゃり、と僕は握り潰しました。
目の前に広げた花畑という名の原稿用紙を。
文字という、言葉という蝶を、握り潰しました。
何度も同じ場所でつまづき、転んでしまう。
そんな自分に嫌気が差して、握り潰しました。
もう書けないでしょう。
この花畑はなくなりました。
僕はそっと立ち上がり、部屋の窓を開けます。
昼間だというのに、外はずいぶんと冷たくなってきました。
もうすぐ、秋も終わりでしょう。
ふわり、ひらりと窓から漂うように部屋に入ってくる侵入者がありました。
それは僕が求めていたものとは違いましたが、とても美しい蝶でした。
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