三題噺



トン、トン、トン

小刻みにリズムを取りながら、

トン、トン、トン

穴を空けて行く。
太い針のような刺を上から真っ直ぐに落としながら、

トン、トン、トン

と流れてくる生地に穴を空けて行く。
来る日も来る日も、時間の限り毎日その機械は動く。
ベルトコンベアから流れて来る生地に穴を空けるためだけに。
刺すために。
生地に空いた小さな穴には小さな理由がある。
そんなことを知る人も、こんな風に動き続ける機械のことも、誰も気には留めない。

それでも、
工場の中の機械は、ひたすらに動き続ける。
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