夏の二人
爛々と照り輝く太陽。その日差しが頭を焼く。
揺らいで見える地面と、乾ききった喉。流れ落ちてくる汗。奪われる体力と、気力。
どこからともなく聞こえてくる、ジンジンと鳴き続ける蝉の声。
「あっづい……もう無理。……うわ、あっつ!!」
「しゃがむな。コンクリートで火傷すんぞ」
田畑の真ん中。幅もたいして広くはない一本道。
視界は広いが、すがすがしくは思えない。少なくとも、今は。
「なんでこの道、こんなに暑いんだよ~」
「日陰がないからだろ。残念なことに、風もない。……なんでこんな時間に出かけるなんて言い出すんだよ」
時刻は午後三時を回った直後。
本来ならば、クーラーの効いた部屋の中で宿題をしているはずだったのに。
「おやつがないのが悪いんだろ!」
「アイスなら、近所の店でいいだろ」
「あの店で買えないやつが食いたいんだって! 新しいやつ!」
そうは言いながらも、しゃがみ込んだまま動く気配のない友人。頭上では変わらず燦々と照り輝く太陽。
そのせいなのか、鳥さえ飛んでいない。
このままだと、まず間違いない。
「丸焼きになる前に、さっさと行こうぜ」
「おう……」
のろのろとした動きで立ち上がる友人を背に、さっさと歩みを進める。
そのまましばらく歩いて、ふと違和感を感じた。隣、というか背後が妙に静かすぎる。ついて来てるのかと慌てて振り返ると、すぐ後ろに幽鬼のようにしてふらふらと歩く姿があった。
「……? なんだよ」
驚いた俺に怪訝な目線を向ける。
「いや、ちょっとびっくりしただけ」
「?」
「もうちょっとだから、がんばろうな」
倒れたりしてなくてよかった。とは言えずに、ガラにもなくそう労った。
17/19ページ