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tkrb

名前


「おか、え、り……」
 あれ、私いつもなんて呼んでたっけ……?
 負傷して帰還した彼を見て急に今までがわからなくなった。
「ははは、何て顔をしているんだ。せっかくの綺麗な顔が台無しだよ。いつものようにおかえり、みっちゃんって笑ってよ……」
「何言ってるの早く手入れしないと」
 そんな状態見せられて無理だよ……。
 たしかに小夜と一緒にみっちゃんなんて冗談で呼んだりしたけどそうじゃなくて……。
「ははっ……そうだね。このままじゃ、見苦しいよねぇ……」
 そう言って彼は手入れ部屋へと向かって行った。あんな空元気な姿初めて見たしどうしていいかわからなくて背中を見つめることしか出来なかった。何があったんだろう。
「どうしたの、主」
「あ、青江くん」
 声をかけてくれたのは一緒に出陣していたにっかり青江。
「あーなるほど、派手にやっちゃってたからねぇ」
「何があったの……?」
「君を襲う悪い奴らが現れてね。主のこととなると自分がどうでもよくなっちゃうんだろうね」
「いくら君を守れたって自分がいなきゃ意味ないのに……というわけで彼は愛する主を守ったわけだから、とびきりの褒美をあげてよ」
「教えてくれてありがとう」
 伝えなくちゃ、と私は走り出した。
「――まぁ君を守ったのは僕もなんだけどね」

「ねえ……!」
「そんなに大声出さなくても聞こえてるよ」
「ご、ごめん」
「で、どうしたの?」
「えっと、なんか、私を守ってくれて、だからこんな傷を負ってるみたいだったからお礼を言いたくて」
「あー誰かにバラされちまったか」
「ありがとう、燭台切」
 思い出した、どう呼んでたか。けどなんだか慣れなくてぎこちなくなった気がする。
「その呼び方久しぶりだな」
「そうかな?」
「復活したら頑張ったご褒美くれる? ――僕の愛する主」


(19/05/15)
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