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オモイ


「――すき」
「えっ」
 外を眺めていると急に声が降ってきた。振り返るとそこには一期一振がいた。
「驚かせて申し訳ない。主は雪が好きだな、と思って」
 ああ、「主は雪が好き」そう言ったのか。ボーっとしていたから思わず告白されたのかと思ってびっくりした。そんなことあるわけないのに。
「どうかしました?」
 勘違いが恥ずかしくて返事が出来ないでいたら心配そうにこちらを見つめてきた。ち、近い。
「なんでもないよ、大丈夫」
 いたって冷静を装った返事をして距離をとる。
「なら良いのですが。あ、耳が赤いですよ?」
 手を伸ばし優しく耳に触れ、せっかく離した距離を自然に縮めてくる。耳だけでなく体中が熱くなるのを感じた。
「ずっとここで雪見ていたのですか」
「え、あ、うん。気づいたらあっという間に時間経っちゃったみたい」
 なんて話を合わせてドキドキした気持ちをごまかしてみるけれどきっと一期は気付いている。でも多分、告白と勘違いしたとは思っていなくて近さとか存在に照れていると思っているだろう。それも間違ってはないのだけど。
 だって私は一期が好きだから。審神者(あるじ)としての家族愛みたいなものではなくて、恋愛感情として。
「風邪引きますよ。暖かいところに行きましょう。どうせしばらくは雪ですから」
「うん、そうだね」
 気付いていながらからかってはこない。一体どう思っているのだろうか。まだ前の主に想いを寄せているのだろうか。
 以前、一期は前の本丸での記憶が断片的に残っていると教えてくれた。その時、彼はその本丸の主を変わらず愛しているのだと思った。
「雪を見ながら何を考えていたのですか?」
「なんだったかな。ただボーっとしていただけだよ」
 嘘、本当は一期があの人を忘れられないのなら、あの人の代わりでもいいから私のことを恋人にしてくれたらいいのに、なんて思っていた。
「嘘ですね」
「どうして?」
「主の嘘はわかりやすいので。言ってしまったら対策されてしまうので言いませんけど」
「えー教えてよ」
「主が考え事の内容を教えてくれたら良いですよ」
「いじわる」
 もし正直に答えたら彼はどういう反応をするかな。
「一つ主に言っておきたいことがあります」
「なに、改まって」
「私は、前の主を忘れていません」
「うん」
 知ってるよ。
「でも、それは家族として忘れてはいけないと思っているからで、上手く言葉にできないのですけど、それで主が苦しむのは悲しいと思っています」
「……待って、理解が追い付かない」
 エスパーかなにか? というかどういうこと?
「ふふふ、とても可愛らしい表情(かお)をされていますね」
「ねえ、それって」
 告白? と聞こうと思ってでかかった言葉は、都合のいい解釈なんじゃないかという気持ちに飲み込まれた。
「自分でも自分の気持ちがなんなのか整理ついてないので、この意味は主の誕生日まで待っていただけますか? 必ずこたえを出しますので」
「はい」
 もう告白だよって思ったけど言わなかった。私も気持ちの整理ついてないから今告白されても困るし、だいたいたどり着いた先が私の思っている通りとは限らない。そのこたえが最高の誕生日プレゼントになってくれることを願うしかなかった。



(2021/01/31)
おともだちの誕生日記念としてリクエストされた一期で書きました。
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