和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
Petrichor
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[二人で泣いた日]
あと2週間もすれば、俺は東京に行くし、浅葱も入院する頃になる。
なんとなく、こっちでやらなきゃいけない仕事も目処がつき、今日はスタジオにも行かなくて良い。
久しぶりに解放された気分になるけど。
外は生憎の雨。
(今日も浅葱は公園に居るのかな?)
そんなことを考えながら、着替えて傘を持つと。
歩き慣れた町に出る。
鼻歌を歌いながら歩く。
少し前まで何となく嫌だった雨の風景も、浅葱に会えると思うと楽しくて。
約束なんてしてなくても、雨が降るとそこに居るから。
公園の入り口に差し掛かると、ベンチで横になる人影。
目を閉じた浅葱は横になり、腕は力なくだらんと垂れている。
「………浅葱!!」
驚いて駆け寄れば。
浅葱は顔をしかめてゆっくりと目をあける。
「どうした?具合、悪いの?」
顔は血の気が引いて、ゆっくりと起き上がった浅葱は、ぼんやりと俺を見ると背もたれに寄りかかり空を見上げてため息をついた。
「………眞、来たんだ。
大丈夫、ちょっとだけ寝てた(笑)」
寝てたと言われて信じれるほど元気には見えなくて。
「本当は具合悪いんじゃないの?大丈夫そうに見えない。」
心配をすると、えへへと笑う。
「大丈夫。眞に会えたから。」
ふぅ、と深呼吸をすると、また笑ってくれる。
気にはなったけど。
浅葱は、それよりも、思い出せない映画の話を聞いてきて。
「いつやってたかわからないんだけど、女の子が心臓病で結婚してすぐに死んじゃう映画の題名が思い出せないんだよね~。
眞、知ってる?」
と。
その映画は話題になったもので、やってたのも1年前くらいで全然古くない。
教えると驚いていた。
流行りに疎いのかと思ったけど。
たまたまそのDVDは見ようと思って家にあった。
「うちで見る?」
と聞けば。
目を輝かせて喜ぶ。
初めて、浅葱と公園以外で一緒に居た日だった。
初めて家にきた浅葱は、俺のギターの練習に付き合ってくれたり、
映画を見始めたら夢中で。
薄暗い部屋でぼんやりと、二人並んで映画を見る。
大した映画じゃないのに。
大切な人の死をリアルに表現しているその映画に見いられて。
終わる頃には、浅葱はグスグスと泣き始めていた。
俺も男ながらに涙が溢れて。
「………(笑)。浅葱、泣いてる。」
あまりにも可愛いと思い、タオルで顔を拭いてあげると。
「眞も泣いてる………(笑)」
嬉しそうにお互いをタオルで拭き合う。
恥ずかしかったけど。
こんなことでも泣けることが嬉しかった。
そして。
泣いてる浅葱が愛しいとすら思った。
でも、東京に出たら忙しくなるから。
この気持ちは伝えられない。
「あ………。」
いつの間にか夕方になっていて、外は薄暗くなり始めていた。
「こんな時間か。
送って行くよ。」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうものなんだと。
口惜しく感じながら浅葱を送ることにした。
外に出れば寒くて。
浅葱は手に息をかけながら歩く。
「寒くなってきたな。」
ホラ、と、俺が手を出せば、意味がわからず手を見つめる。
息をかけていた手を繋ぎ、コートのポケットに入れると、ことのほかびっくりした顔の浅葱が可愛い。
「これなら、片手くらいは暖かいだろ?」
引っ張るように歩き出すと、ついてきたけど、いつもより口数は少なくて。
それでも。
この時間が少しでも長く続いてほしかった。
手を繋いだ日も
二人で泣いたあの日も
もう、戻らない…………。
あと2週間もすれば、俺は東京に行くし、浅葱も入院する頃になる。
なんとなく、こっちでやらなきゃいけない仕事も目処がつき、今日はスタジオにも行かなくて良い。
久しぶりに解放された気分になるけど。
外は生憎の雨。
(今日も浅葱は公園に居るのかな?)
そんなことを考えながら、着替えて傘を持つと。
歩き慣れた町に出る。
鼻歌を歌いながら歩く。
少し前まで何となく嫌だった雨の風景も、浅葱に会えると思うと楽しくて。
約束なんてしてなくても、雨が降るとそこに居るから。
公園の入り口に差し掛かると、ベンチで横になる人影。
目を閉じた浅葱は横になり、腕は力なくだらんと垂れている。
「………浅葱!!」
驚いて駆け寄れば。
浅葱は顔をしかめてゆっくりと目をあける。
「どうした?具合、悪いの?」
顔は血の気が引いて、ゆっくりと起き上がった浅葱は、ぼんやりと俺を見ると背もたれに寄りかかり空を見上げてため息をついた。
「………眞、来たんだ。
大丈夫、ちょっとだけ寝てた(笑)」
寝てたと言われて信じれるほど元気には見えなくて。
「本当は具合悪いんじゃないの?大丈夫そうに見えない。」
心配をすると、えへへと笑う。
「大丈夫。眞に会えたから。」
ふぅ、と深呼吸をすると、また笑ってくれる。
気にはなったけど。
浅葱は、それよりも、思い出せない映画の話を聞いてきて。
「いつやってたかわからないんだけど、女の子が心臓病で結婚してすぐに死んじゃう映画の題名が思い出せないんだよね~。
眞、知ってる?」
と。
その映画は話題になったもので、やってたのも1年前くらいで全然古くない。
教えると驚いていた。
流行りに疎いのかと思ったけど。
たまたまそのDVDは見ようと思って家にあった。
「うちで見る?」
と聞けば。
目を輝かせて喜ぶ。
初めて、浅葱と公園以外で一緒に居た日だった。
初めて家にきた浅葱は、俺のギターの練習に付き合ってくれたり、
映画を見始めたら夢中で。
薄暗い部屋でぼんやりと、二人並んで映画を見る。
大した映画じゃないのに。
大切な人の死をリアルに表現しているその映画に見いられて。
終わる頃には、浅葱はグスグスと泣き始めていた。
俺も男ながらに涙が溢れて。
「………(笑)。浅葱、泣いてる。」
あまりにも可愛いと思い、タオルで顔を拭いてあげると。
「眞も泣いてる………(笑)」
嬉しそうにお互いをタオルで拭き合う。
恥ずかしかったけど。
こんなことでも泣けることが嬉しかった。
そして。
泣いてる浅葱が愛しいとすら思った。
でも、東京に出たら忙しくなるから。
この気持ちは伝えられない。
「あ………。」
いつの間にか夕方になっていて、外は薄暗くなり始めていた。
「こんな時間か。
送って行くよ。」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうものなんだと。
口惜しく感じながら浅葱を送ることにした。
外に出れば寒くて。
浅葱は手に息をかけながら歩く。
「寒くなってきたな。」
ホラ、と、俺が手を出せば、意味がわからず手を見つめる。
息をかけていた手を繋ぎ、コートのポケットに入れると、ことのほかびっくりした顔の浅葱が可愛い。
「これなら、片手くらいは暖かいだろ?」
引っ張るように歩き出すと、ついてきたけど、いつもより口数は少なくて。
それでも。
この時間が少しでも長く続いてほしかった。
手を繋いだ日も
二人で泣いたあの日も
もう、戻らない…………。