和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
Petrichor
君の名前は?
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[お別れの日]
相変わらず仕事は忙しくて。
それでも、休みが数日続くなら浅葱の所に行っていた。
もちろん、いつも眠ってるままだけど。
手術は無事に成功していて。
脳波にも異常はなくて。
だから、時々、車椅子に乗せてもらっては日光浴で屋上に出ることもできた。
そんな時はいつもギターを持って
屋上で前のように歌を歌う。
眠っててもいい。
君との約束だから。
「今度の新曲、まだ音源は出てないから浅葱が初めて聞いてくれる人だな(笑)」
いつも新しい曲ができるたびに引いていた。
1年。2年。
明日には目が覚めるかも。
それとも、このままかも。
いつも、期待と絶望をくりかえして。
それでも、君が生きていてくれるなら。
そうして過ごしていくのが当たり前になっていた頃。
見舞いに行った病室には、珍しく浅葱のお父さんもいた。
「こんにちは。お久しぶりです。」
いつも、病院には行くけど。
浅葱のお父さんと会うのは本当に久々だった。
お父さんは、どこか疲れたような。
少しだけスッキリしたような。
複雑な表情をして浅葱を見ていた。
「あ、眞君。いつも来てくれてありがとう。」
仕事、忙しいだろうに。
気を使ってくれているのがわかって。
「良いんです。
休みが長ければ向こうでやることもないですから。浅葱に会いたいし。」
浅葱に笑いかけるように視線をむけると。
お父さんのため息が聞こえた。
何かを決意するような。
「眞君………。」
少し、話そうか。
そう言って屋上に行こうと誘われた。
何かあったのかと思ったけど。
お父さんについていくと。
屋上で遠い空を見上げて。
お父さんは諦めたように笑った。
「眞君、ごめんね。」
突然謝られて、戸惑うけど。
話は続いた。
「浅葱、退院させることにしたんだ。
ながいこと、変化もなくここまできた。
明日には目覚めるかもしれないし、このままずっと眠ったままかもしれない。
病院じゃ何もできないから。」
そう言ったお父さんは疲れきった顔だった。
時々来る俺とは違い、家族は毎日来る。
心身的な疲労だって相当だと思う。
「そうですか………。でも、家ならいつでも浅葱と話せますもんね。」
そっちのほうが、家族だって気が楽だと思う。
俺も、浅葱の家はわかるから、いつでも会いにいける。
そう思っていたのに。
「眞君も、これからはわざわざこっちに来ないで、仕事に専念しなさい。」
いままで、ありがとう。
そう言われて。
一瞬、何を言っているのかと思った。
「もう、浅葱のことは忘れて。君はいつまでも囚われてなくていい。
もう、前に進みなさい。」
俺が罪の意識で今までここに来ていたと思っていたお父さんは。
俺を解放しようと思ったんだろう。
そして。
いつまでも目覚めない娘を待たなくていいと。
「…………。」
なんて答えたら良いんだろう。
俺は、まだ浅葱と居たい。
待っていたいと思うことは。
お父さんにしてみたら、重荷なのかもしれない。
「そうですか………。
わかりました…………。」
そう、言うしかなかった。
「でも、もし、浅葱が目覚めたら。その時は教えてください。
俺は、信じてますから。」
浅葱に挨拶して帰ります。
それだけを伝えると。
お父さんを屋上に残して病室に戻った。
「浅葱、退院できることになったんだな。」
部屋に戻れば、相変わらず眠ったまま。
そっと手を繋ぐと、ベッドに腰かけた。
「これからは慣れた家に戻れるからな。
家族もいるなら寂しくないな。」
良かったな。
そう言って頭を撫でるけど。
目覚める訳もなくて。
「これからは、会えなくなるけど。
浅葱のために曲作るから。
それをいっぱい歌うから。
ちゃんと聞いてくれよ。」
忘れないように。
頬を
髪を
眠ったままの瞼を
優しく撫でる。
「いつか………目が覚めたら………。
感想、聞かせろよな…………。」
そっと、頬に口付けると。
抱き締めた頬に、俺の涙がつく。
そっと親指でそれを拭うと。
「じゃあ、行ってくるね。」
頭を撫でて、病室をでた。
これが最後でもいい。
いつまでだって待つから。
浅葱が目覚めることを信じてるから………。
病院を出ると。
さっきまで曇っていた空から降りだした雨がアスファルトを濡らしはじめる。
まるで、俺の心模様。
浅葱の前でだけしか泣けない自分の代わりに泣いてくれるみたいで。
「………いい匂いだな………。」
濡れる体を気にせずに空を仰ぎ目を閉じる。
これから、俺が出来ることは君を唄うことだけ。
それなら、精一杯歌うから。
神様が居るのなら。
空の上で見てるなら。
浅葱を返してください…………。
それが叶うなら。
なんでもやるから………。
相変わらず仕事は忙しくて。
それでも、休みが数日続くなら浅葱の所に行っていた。
もちろん、いつも眠ってるままだけど。
手術は無事に成功していて。
脳波にも異常はなくて。
だから、時々、車椅子に乗せてもらっては日光浴で屋上に出ることもできた。
そんな時はいつもギターを持って
屋上で前のように歌を歌う。
眠っててもいい。
君との約束だから。
「今度の新曲、まだ音源は出てないから浅葱が初めて聞いてくれる人だな(笑)」
いつも新しい曲ができるたびに引いていた。
1年。2年。
明日には目が覚めるかも。
それとも、このままかも。
いつも、期待と絶望をくりかえして。
それでも、君が生きていてくれるなら。
そうして過ごしていくのが当たり前になっていた頃。
見舞いに行った病室には、珍しく浅葱のお父さんもいた。
「こんにちは。お久しぶりです。」
いつも、病院には行くけど。
浅葱のお父さんと会うのは本当に久々だった。
お父さんは、どこか疲れたような。
少しだけスッキリしたような。
複雑な表情をして浅葱を見ていた。
「あ、眞君。いつも来てくれてありがとう。」
仕事、忙しいだろうに。
気を使ってくれているのがわかって。
「良いんです。
休みが長ければ向こうでやることもないですから。浅葱に会いたいし。」
浅葱に笑いかけるように視線をむけると。
お父さんのため息が聞こえた。
何かを決意するような。
「眞君………。」
少し、話そうか。
そう言って屋上に行こうと誘われた。
何かあったのかと思ったけど。
お父さんについていくと。
屋上で遠い空を見上げて。
お父さんは諦めたように笑った。
「眞君、ごめんね。」
突然謝られて、戸惑うけど。
話は続いた。
「浅葱、退院させることにしたんだ。
ながいこと、変化もなくここまできた。
明日には目覚めるかもしれないし、このままずっと眠ったままかもしれない。
病院じゃ何もできないから。」
そう言ったお父さんは疲れきった顔だった。
時々来る俺とは違い、家族は毎日来る。
心身的な疲労だって相当だと思う。
「そうですか………。でも、家ならいつでも浅葱と話せますもんね。」
そっちのほうが、家族だって気が楽だと思う。
俺も、浅葱の家はわかるから、いつでも会いにいける。
そう思っていたのに。
「眞君も、これからはわざわざこっちに来ないで、仕事に専念しなさい。」
いままで、ありがとう。
そう言われて。
一瞬、何を言っているのかと思った。
「もう、浅葱のことは忘れて。君はいつまでも囚われてなくていい。
もう、前に進みなさい。」
俺が罪の意識で今までここに来ていたと思っていたお父さんは。
俺を解放しようと思ったんだろう。
そして。
いつまでも目覚めない娘を待たなくていいと。
「…………。」
なんて答えたら良いんだろう。
俺は、まだ浅葱と居たい。
待っていたいと思うことは。
お父さんにしてみたら、重荷なのかもしれない。
「そうですか………。
わかりました…………。」
そう、言うしかなかった。
「でも、もし、浅葱が目覚めたら。その時は教えてください。
俺は、信じてますから。」
浅葱に挨拶して帰ります。
それだけを伝えると。
お父さんを屋上に残して病室に戻った。
「浅葱、退院できることになったんだな。」
部屋に戻れば、相変わらず眠ったまま。
そっと手を繋ぐと、ベッドに腰かけた。
「これからは慣れた家に戻れるからな。
家族もいるなら寂しくないな。」
良かったな。
そう言って頭を撫でるけど。
目覚める訳もなくて。
「これからは、会えなくなるけど。
浅葱のために曲作るから。
それをいっぱい歌うから。
ちゃんと聞いてくれよ。」
忘れないように。
頬を
髪を
眠ったままの瞼を
優しく撫でる。
「いつか………目が覚めたら………。
感想、聞かせろよな…………。」
そっと、頬に口付けると。
抱き締めた頬に、俺の涙がつく。
そっと親指でそれを拭うと。
「じゃあ、行ってくるね。」
頭を撫でて、病室をでた。
これが最後でもいい。
いつまでだって待つから。
浅葱が目覚めることを信じてるから………。
病院を出ると。
さっきまで曇っていた空から降りだした雨がアスファルトを濡らしはじめる。
まるで、俺の心模様。
浅葱の前でだけしか泣けない自分の代わりに泣いてくれるみたいで。
「………いい匂いだな………。」
濡れる体を気にせずに空を仰ぎ目を閉じる。
これから、俺が出来ることは君を唄うことだけ。
それなら、精一杯歌うから。
神様が居るのなら。
空の上で見てるなら。
浅葱を返してください…………。
それが叶うなら。
なんでもやるから………。