和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
Petrichor
君の名前は?
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[眠り姫]
一人、残された病室で。
手帳をテーブルに置き、そっと浅葱に近寄る。
「浅葱………。」
声をかけながら震える手で頬に触れるけど。
ただ、暖かくて。
柔らかい。
規則正しい呼吸だけ。
「………本当に、起きないんだな………。」
でも、生きてる。
ちゃんと呼吸してる………。
それだけが嬉しくて。
頬を伝う涙で自分が泣いてることに気付く。
「浅葱…………ごめん………。」
苦しんでる君に
沢山悩んでた君に。
俺は自分の夢を話すばかりで。
君に気付いてあげられなかった。
もっと、話したかった。
1年以上も経って、久々に見た浅葱は。
痩せてしまって、肌も白くて。
眠り姫みたい………。
浅葱の手を取ると。
少し痩せてしまったけど、あの日と変わらない暖かさで。
両手で手を包むと額に当てる。
「起きてよ………。
話したいこと、沢山あるんだ………。」
あの日からいっぱい頑張ったんだ。
浅葱に聞いてほしくて。
聞いていてくれるって信じて、曲も沢山作ったのに………。
はっと思い出して、涙を乱暴に拭う。
お父さんが渡してくれた手帳が読みたい。
片手を繋いだまま、ベッドの上に手帳を置いて読み始める。
初めは、体調が悪くて、病院に行って腫瘍が見つかったところから始まっていた。
辛いこと、なんで自分がって嘆いてた。
でも。
こんな体になってご両親に悪いことしたって。
反省していた。
病気は、自分のせいじゃないのに。
(浅葱らしい………。)
次第にどんどん体調が悪くて仕事もできず、辞めた後もずっと自分ばかり責めていて。
そのうち、日記は『気持ち』を書くことから『忘れたくない事』を書く所になっていた。
たぶん、この頃から記憶がうやむやになることも増えたんだろう。
ある日。
『今日、公園で眞って人と会った。
面白い人。倒れるまで曲作って、目の前で寝ちゃう人。
また、会いたい。』
俺と初めて会った日のことが書いてあった。
「眞って人って(笑)。
もう少しちゃんと書いてよ。」
日記を読みながら、少しだけ笑えて。
握った手に力を込める。
きっと、「読まないでよっ!!」って、あの日みたいに怒りそうだけど。
また視線を手帳に戻す。
その日からは、毎日俺の名前が出てきた。
天気が良くて会えなかった日ですら、俺の名前があった。
ちゃんと眠ってるかな?
とか、大したことじゃないけど。
それが嬉しい。
「最近、どんどん記憶が飛ぶみたい。
昼間眞と見た映画の題名すら、もう出てこない。
いろんなこと、忘れたくないのに………。」
あの日、一緒に見た映画すら、忘れてしまっていたんだ。
思い出せないってことも、辛いだろうな………。
そのまま読み続けて、このページが最後に会った日だってわかった。
そこには、浅葱の気持ちが書いてあった。
「明日、眞は東京って所に行くらしい。
音楽のお仕事だって。
眞なら大丈夫。
でも、ずっと、病気のこと言えなかった。
言いたくないけど、明日は言わなきゃ。
神様は、乗り越えられない試練は与えない。
だから、ちゃんと手術で治して、ライブ見に行くって。」
そうか、見送りに来る日に、伝えてくれようとしてたんだ。
そのページの下には。
祈るような、メッセージが書いてあった。
「神様………。
お願いします。色んな記憶は持っていっても良いけど、眞の記憶だけは消さないで………。
忘れたくない。
歌も、笑顔も。
私は、あの人が大好きです。
だから………。
どんな辛い手術だって、がんばります。
だから、これ以上記憶を消さないで………。」
そう綴られていた。
俺の事だけは忘れたくないって、きっと色んな忘れたくないことあったのに。
うれしくて。
「俺も………浅葱のこと、好きなんだけどな………。」
ぽつりと呟いて、繋いだ手を撫でる。
最後のページをめくると。
たぶんこれは会えなかった日の朝書いたもの。
「眞の出発の日なのに、良い天気。
眞はきっと嬉しいだろうな。
今日はどうにかしてあの公園に行く。
お父さんはやめなさいって言うけど。
1日くらい、大丈夫。
昨日のプレゼント、渡して、行ってらっしゃいって、言いたい………。」
そこで、日記は終わってた。
一気に読み切って、ため息をつく。
ずっと気になってたことが解決した。
浅葱の気持ちも、わかった。
でも………。
「もっと、早く聞きたかった………。」
閉じた手帳を置いて、椅子から立ち上がると、眠ったままの浅葱の髪を撫でる。
やっと会えたのに。
この声も、浅葱には届かない。
「ねぇ、浅葱?俺も、あの日、プレゼントあったんだ。
ずっと使ってたから新品ではないけど。
貰って。」
自分の首にあの日からずっとついたままのネックレスを外すと、浅葱の首に付ける。
細い首筋に、やっとあげたかったネックレスがかかって、うれしくて。
でも、やっぱり後悔しかなくて。
浅葱の手帳に書いてあった。
『神様は、乗り越えられない試練は与えない。』
って。
でも。
こんな酷い試練なんて、
与えなくてもいいんじゃないかって。
呪いの言葉すら、神に投げ掛けそうになる。
やっぱり、神様は残酷だ………。
一人、残された病室で。
手帳をテーブルに置き、そっと浅葱に近寄る。
「浅葱………。」
声をかけながら震える手で頬に触れるけど。
ただ、暖かくて。
柔らかい。
規則正しい呼吸だけ。
「………本当に、起きないんだな………。」
でも、生きてる。
ちゃんと呼吸してる………。
それだけが嬉しくて。
頬を伝う涙で自分が泣いてることに気付く。
「浅葱…………ごめん………。」
苦しんでる君に
沢山悩んでた君に。
俺は自分の夢を話すばかりで。
君に気付いてあげられなかった。
もっと、話したかった。
1年以上も経って、久々に見た浅葱は。
痩せてしまって、肌も白くて。
眠り姫みたい………。
浅葱の手を取ると。
少し痩せてしまったけど、あの日と変わらない暖かさで。
両手で手を包むと額に当てる。
「起きてよ………。
話したいこと、沢山あるんだ………。」
あの日からいっぱい頑張ったんだ。
浅葱に聞いてほしくて。
聞いていてくれるって信じて、曲も沢山作ったのに………。
はっと思い出して、涙を乱暴に拭う。
お父さんが渡してくれた手帳が読みたい。
片手を繋いだまま、ベッドの上に手帳を置いて読み始める。
初めは、体調が悪くて、病院に行って腫瘍が見つかったところから始まっていた。
辛いこと、なんで自分がって嘆いてた。
でも。
こんな体になってご両親に悪いことしたって。
反省していた。
病気は、自分のせいじゃないのに。
(浅葱らしい………。)
次第にどんどん体調が悪くて仕事もできず、辞めた後もずっと自分ばかり責めていて。
そのうち、日記は『気持ち』を書くことから『忘れたくない事』を書く所になっていた。
たぶん、この頃から記憶がうやむやになることも増えたんだろう。
ある日。
『今日、公園で眞って人と会った。
面白い人。倒れるまで曲作って、目の前で寝ちゃう人。
また、会いたい。』
俺と初めて会った日のことが書いてあった。
「眞って人って(笑)。
もう少しちゃんと書いてよ。」
日記を読みながら、少しだけ笑えて。
握った手に力を込める。
きっと、「読まないでよっ!!」って、あの日みたいに怒りそうだけど。
また視線を手帳に戻す。
その日からは、毎日俺の名前が出てきた。
天気が良くて会えなかった日ですら、俺の名前があった。
ちゃんと眠ってるかな?
とか、大したことじゃないけど。
それが嬉しい。
「最近、どんどん記憶が飛ぶみたい。
昼間眞と見た映画の題名すら、もう出てこない。
いろんなこと、忘れたくないのに………。」
あの日、一緒に見た映画すら、忘れてしまっていたんだ。
思い出せないってことも、辛いだろうな………。
そのまま読み続けて、このページが最後に会った日だってわかった。
そこには、浅葱の気持ちが書いてあった。
「明日、眞は東京って所に行くらしい。
音楽のお仕事だって。
眞なら大丈夫。
でも、ずっと、病気のこと言えなかった。
言いたくないけど、明日は言わなきゃ。
神様は、乗り越えられない試練は与えない。
だから、ちゃんと手術で治して、ライブ見に行くって。」
そうか、見送りに来る日に、伝えてくれようとしてたんだ。
そのページの下には。
祈るような、メッセージが書いてあった。
「神様………。
お願いします。色んな記憶は持っていっても良いけど、眞の記憶だけは消さないで………。
忘れたくない。
歌も、笑顔も。
私は、あの人が大好きです。
だから………。
どんな辛い手術だって、がんばります。
だから、これ以上記憶を消さないで………。」
そう綴られていた。
俺の事だけは忘れたくないって、きっと色んな忘れたくないことあったのに。
うれしくて。
「俺も………浅葱のこと、好きなんだけどな………。」
ぽつりと呟いて、繋いだ手を撫でる。
最後のページをめくると。
たぶんこれは会えなかった日の朝書いたもの。
「眞の出発の日なのに、良い天気。
眞はきっと嬉しいだろうな。
今日はどうにかしてあの公園に行く。
お父さんはやめなさいって言うけど。
1日くらい、大丈夫。
昨日のプレゼント、渡して、行ってらっしゃいって、言いたい………。」
そこで、日記は終わってた。
一気に読み切って、ため息をつく。
ずっと気になってたことが解決した。
浅葱の気持ちも、わかった。
でも………。
「もっと、早く聞きたかった………。」
閉じた手帳を置いて、椅子から立ち上がると、眠ったままの浅葱の髪を撫でる。
やっと会えたのに。
この声も、浅葱には届かない。
「ねぇ、浅葱?俺も、あの日、プレゼントあったんだ。
ずっと使ってたから新品ではないけど。
貰って。」
自分の首にあの日からずっとついたままのネックレスを外すと、浅葱の首に付ける。
細い首筋に、やっとあげたかったネックレスがかかって、うれしくて。
でも、やっぱり後悔しかなくて。
浅葱の手帳に書いてあった。
『神様は、乗り越えられない試練は与えない。』
って。
でも。
こんな酷い試練なんて、
与えなくてもいいんじゃないかって。
呪いの言葉すら、神に投げ掛けそうになる。
やっぱり、神様は残酷だ………。