和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
ハロ/ハワユ
君の名前は?
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[抱き止める腕]
午後も予定どうりに撮影は進み、終盤。
この分なら夕方には終わるし、なんとか今日中には東京に帰れそう。
「椎名君、ちょっと。」
あまり話したくない部長に呼ばれて、振り返ると、あちらのお偉いさんとお話していた部長が手招いている。
「はい、お呼びですか?」
走りたくないからなるべく早く歩き寄ると。
「今夜、予約してある料亭の会食だが、椎名君も勉強のために来なさい。」
やけに嬉しそうに。
この笑顔は読みやすい。
私はお酌係として連れていきたいのだろう………。
「………はい。わかりました。終わりましたらご一緒させていただきます。」
吐き出したかったため息を飲み込み。
口をついて出たのは笑顔と了承。
ここで嫌なんて言えるわけがない。
まっすぐ帰れると思っていたのに。
女をお酌係としか思っていない部長と部下がディスられていても笑って庇うことのない課長。
(終電までには帰りたいな………。)
部長達に頭を下げて現場にもどろうとしてると。
「浅葱さん、やっほ♪」
急に亜沙さんが覗き込んできた。
「は、はい!!」
もやもやした気持ちに少しだけ下を向いていたから驚いてしまった。
亜沙さんはそこまで気にせずに。
「このままいけば、夕方には撮影終わるよね?
そしたらご飯でも行かない?せっかくの京都だし、美味しいものでも♪」
嬉しそうにご飯のお誘いをくれる亜沙さんの圧に少しだけ引いていると、視線を感じた。
(………?)
感じた方に視線を辿ると、休憩でテーブルに座る眞がこちらを見ている。
どことなく、悲しそうな顔。
(どうしたんだろ………?)
「あ………えっと………」
「ね?ね?なんなら呑みでも良いよ?」
終止、嬉しそうな亜沙さん、今にも腕を掴んで連れていかれそうな勢い。
「すみません………。実は撮影が終わったらうちの上司達の会食に同席することになってまして。それが終わったら私は東京に帰るので、お誘いはとてもありがたいのですが………。」
申し訳なさそうに話すと、亜沙さんは笑ってくれた。
「そっかぁ………まだ忙しいんだね!わかった♪」
そう言って笑いながら手を振って去っていく。
とりあえず、水分を取りに行きたくて、廊下に出ることにした。
ボトルの水で鎮痛剤を飲んで盛大なため息を吐き出す。
(亜沙さんは、優しいんだけど、ちょっと苦手かも………)
ご飯に誘ってもらったのはとてもありがたかったけど。
グイグイくる感じは苦手だし、そもそもファンが沢山いる有名人とご飯なんて行ったら後輩に何言われるか………。
(あとすこし………)
もう少しで撮影が終わるから。
それまでは、眞のことを見ていたい。
戻ろうと立ち上がりスタジオに続く廊下を曲がろうとしたとき。
-どんっっ-
反対側から歩いて来た人と正面からぶつかってしまい、思わず目を瞑ってしまう。
よろけて転ぶかと思った体は意を反してぶつかった人が抱き止めてくれた。
「あっ!!すみませんっ」
慌ててその人の顔を確認すると。
それは驚いた表情の眞の姿。
「あ………。」
私を確認して固まっている眞に、眞の腕の中で固まる私。
ほんの数秒だけど。
はっと我に返った眞は。
抱き止めた腕を引き寄せ少しだけ私を抱き締めると。
「………あんまり無理するなよ………?」
それだけを囁いて、私を解放すると、そのままお手洗いに歩いて行ってしまった。
私は。
足の力が抜けそうになりながら。
ドキドキが止まらない胸を押さえて現場に戻ることが精一杯だった。
-With 町屋side-
「あ、浅葱さんいる♪ご飯誘ってこようかな??」
さっきまで携帯を弄っていた亜沙は、浅葱を見つけると嬉しそうに歩いていく。
お昼を食べてから、亜沙と聖志の二人で浅葱が美人だし、友達になりたいって話をしているのは聞こえていた。
亜沙に関しては「彼女だったらサイコー!!」とか言う始末。
浅葱の好きなタイプなんて知らないから、もし亜沙に誘われてご飯なんて行かれたら、どうしようとか。
全く考えないようにしてたのに。
亜沙に話しかけられてる浅葱を思わず見つめてしまう。
仕事が終わったら、どうするんだろう………
亜沙と行くのかな………。
しばらく話すと、浅葱はふとこちらを見て目が合った。
気まずさを感じて目を反らすけど。
また気になり視線を向ければ。
浅葱は苦笑いで話して、亜沙は笑いながら手を振りこちらに戻ってくる。
気にしない素振りで携帯を見ていると、戻ってきた亜沙。
「ナンパ成功(笑)?」
視線を向けると、亜沙は満面の笑顔で
「フラレた~(笑)」
そう言って椅子に座り、水のボトルを開ける。
「撮影終わったらお偉いさんと会食だって。
しかも、日帰りらしくて会食終わったら帰るからって。残念~。」
フラレたと聞いた瞬間。
あからさまにホッとした自分がいた。
良かった。浅葱は亜沙を選ばなかった……。
「まだまだ修行が足りないな(笑)」
ホッとした顔がばれないように、立ち上がり、一服してくるわ、と廊下に向かう。
さっき浅葱は廊下に出てったからもしかしたらすれ違うくらいはできるかも。
廊下に出てため息をつくと、喫煙所に向かう廊下を歩く。
曲がり角を曲がろうとした瞬間。
反対側から人が現れてぶつかる。
「すみませんっ!!」
(おっと………!!)
自分より小さい体を転ばないように抱き止めて支えると。
「あ………。」
視線を交わして思わず固まってしまう。
腕の中には、すれ違えるかもと期待した存在。
浅葱も、俺を確認して固まっている。
浅葱が我に返るより先に、俺は浅葱を抱き締めてた。
(………柔らかい………)
「………あんまり無理するなよ………?」
それだけ呟くと、手を離してトイレに逃げ込んだ。
久しぶりに抱き締めた浅葱は、前と変わらなくて。
心臓が痛くなる。
(………はぁ。)
鏡に映る少し赤くなった自分の顔を抱え、盛大なため息をついてしゃがみ込む。
「…………どう、すっかな………」
どんなカードを切れば、この場を乗り切れるのか、全くわからない。
浅葱の気持ちもわからない。
ただ、誰にも渡したくない。
そんな気持ちを抱えて。
まだ来ない冷静さを待ちわびた………。
午後も予定どうりに撮影は進み、終盤。
この分なら夕方には終わるし、なんとか今日中には東京に帰れそう。
「椎名君、ちょっと。」
あまり話したくない部長に呼ばれて、振り返ると、あちらのお偉いさんとお話していた部長が手招いている。
「はい、お呼びですか?」
走りたくないからなるべく早く歩き寄ると。
「今夜、予約してある料亭の会食だが、椎名君も勉強のために来なさい。」
やけに嬉しそうに。
この笑顔は読みやすい。
私はお酌係として連れていきたいのだろう………。
「………はい。わかりました。終わりましたらご一緒させていただきます。」
吐き出したかったため息を飲み込み。
口をついて出たのは笑顔と了承。
ここで嫌なんて言えるわけがない。
まっすぐ帰れると思っていたのに。
女をお酌係としか思っていない部長と部下がディスられていても笑って庇うことのない課長。
(終電までには帰りたいな………。)
部長達に頭を下げて現場にもどろうとしてると。
「浅葱さん、やっほ♪」
急に亜沙さんが覗き込んできた。
「は、はい!!」
もやもやした気持ちに少しだけ下を向いていたから驚いてしまった。
亜沙さんはそこまで気にせずに。
「このままいけば、夕方には撮影終わるよね?
そしたらご飯でも行かない?せっかくの京都だし、美味しいものでも♪」
嬉しそうにご飯のお誘いをくれる亜沙さんの圧に少しだけ引いていると、視線を感じた。
(………?)
感じた方に視線を辿ると、休憩でテーブルに座る眞がこちらを見ている。
どことなく、悲しそうな顔。
(どうしたんだろ………?)
「あ………えっと………」
「ね?ね?なんなら呑みでも良いよ?」
終止、嬉しそうな亜沙さん、今にも腕を掴んで連れていかれそうな勢い。
「すみません………。実は撮影が終わったらうちの上司達の会食に同席することになってまして。それが終わったら私は東京に帰るので、お誘いはとてもありがたいのですが………。」
申し訳なさそうに話すと、亜沙さんは笑ってくれた。
「そっかぁ………まだ忙しいんだね!わかった♪」
そう言って笑いながら手を振って去っていく。
とりあえず、水分を取りに行きたくて、廊下に出ることにした。
ボトルの水で鎮痛剤を飲んで盛大なため息を吐き出す。
(亜沙さんは、優しいんだけど、ちょっと苦手かも………)
ご飯に誘ってもらったのはとてもありがたかったけど。
グイグイくる感じは苦手だし、そもそもファンが沢山いる有名人とご飯なんて行ったら後輩に何言われるか………。
(あとすこし………)
もう少しで撮影が終わるから。
それまでは、眞のことを見ていたい。
戻ろうと立ち上がりスタジオに続く廊下を曲がろうとしたとき。
-どんっっ-
反対側から歩いて来た人と正面からぶつかってしまい、思わず目を瞑ってしまう。
よろけて転ぶかと思った体は意を反してぶつかった人が抱き止めてくれた。
「あっ!!すみませんっ」
慌ててその人の顔を確認すると。
それは驚いた表情の眞の姿。
「あ………。」
私を確認して固まっている眞に、眞の腕の中で固まる私。
ほんの数秒だけど。
はっと我に返った眞は。
抱き止めた腕を引き寄せ少しだけ私を抱き締めると。
「………あんまり無理するなよ………?」
それだけを囁いて、私を解放すると、そのままお手洗いに歩いて行ってしまった。
私は。
足の力が抜けそうになりながら。
ドキドキが止まらない胸を押さえて現場に戻ることが精一杯だった。
-With 町屋side-
「あ、浅葱さんいる♪ご飯誘ってこようかな??」
さっきまで携帯を弄っていた亜沙は、浅葱を見つけると嬉しそうに歩いていく。
お昼を食べてから、亜沙と聖志の二人で浅葱が美人だし、友達になりたいって話をしているのは聞こえていた。
亜沙に関しては「彼女だったらサイコー!!」とか言う始末。
浅葱の好きなタイプなんて知らないから、もし亜沙に誘われてご飯なんて行かれたら、どうしようとか。
全く考えないようにしてたのに。
亜沙に話しかけられてる浅葱を思わず見つめてしまう。
仕事が終わったら、どうするんだろう………
亜沙と行くのかな………。
しばらく話すと、浅葱はふとこちらを見て目が合った。
気まずさを感じて目を反らすけど。
また気になり視線を向ければ。
浅葱は苦笑いで話して、亜沙は笑いながら手を振りこちらに戻ってくる。
気にしない素振りで携帯を見ていると、戻ってきた亜沙。
「ナンパ成功(笑)?」
視線を向けると、亜沙は満面の笑顔で
「フラレた~(笑)」
そう言って椅子に座り、水のボトルを開ける。
「撮影終わったらお偉いさんと会食だって。
しかも、日帰りらしくて会食終わったら帰るからって。残念~。」
フラレたと聞いた瞬間。
あからさまにホッとした自分がいた。
良かった。浅葱は亜沙を選ばなかった……。
「まだまだ修行が足りないな(笑)」
ホッとした顔がばれないように、立ち上がり、一服してくるわ、と廊下に向かう。
さっき浅葱は廊下に出てったからもしかしたらすれ違うくらいはできるかも。
廊下に出てため息をつくと、喫煙所に向かう廊下を歩く。
曲がり角を曲がろうとした瞬間。
反対側から人が現れてぶつかる。
「すみませんっ!!」
(おっと………!!)
自分より小さい体を転ばないように抱き止めて支えると。
「あ………。」
視線を交わして思わず固まってしまう。
腕の中には、すれ違えるかもと期待した存在。
浅葱も、俺を確認して固まっている。
浅葱が我に返るより先に、俺は浅葱を抱き締めてた。
(………柔らかい………)
「………あんまり無理するなよ………?」
それだけ呟くと、手を離してトイレに逃げ込んだ。
久しぶりに抱き締めた浅葱は、前と変わらなくて。
心臓が痛くなる。
(………はぁ。)
鏡に映る少し赤くなった自分の顔を抱え、盛大なため息をついてしゃがみ込む。
「…………どう、すっかな………」
どんなカードを切れば、この場を乗り切れるのか、全くわからない。
浅葱の気持ちもわからない。
ただ、誰にも渡したくない。
そんな気持ちを抱えて。
まだ来ない冷静さを待ちわびた………。