和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
ハロ/ハワユ
君の名前は?
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[マドレーヌ]
「………よし。こんなものかな?」
翌日。
小さな部屋は甘い香りに包まれていた。
テーブルに並ぶマドレーヌに、可愛いくラッピングされた物。
エプロンを外して髪を下ろすと、少しだけ鏡で自分の顔を確認する。
今日は、朝起きた時から眞に借りていた服を返しに行こうと決めていた。
いつまでも借りたままなのも気が引けるし。
ただ………。
芸能人だということに気付いてしまった今、気軽に連絡して会うのもどうかと思い、やはり少しだけ悩む。
(とりあえず、家に居なかったらポストに入れてくれば………。)
そんなことを考えて、服を着替えるとバックと紙袋を持ち家を出る。
電車に乗り、眞の家のある駅まで向かえば、休日なのもあり、それなりに人が多い。
少し迷いながらも、眞の家があるビルに到着した。
入ることも躊躇うくらいの大きなビルの前で、来たことを後悔した。
あんなに簡単に出られたのに。
入り口には家が入るとは思えないほどの厳重な警備と受付。
ちらりと見た駐車場には、眞の車は無く。
ポストも見当たらない。
諦めて、受付に向かうと。
受付のブースに座る美人な方は、チラリと私を確認すると立ち上がり、頭を下げた。
「いらっしゃいませ。
本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付嬢というのは、こうゆう方を言うんだなと思うくらい、凜としていて、礼儀正しい。
普通の格好をしてきてしまったことを後悔するくらい。
「あ………あの。桜村眞さんにお会いしたくてきたのですが。」
少しタジタジになりながらも、どうにか答えると。
その人は上から下まで私を見たあと、冷たく目を反らして手元のスケジュール帳をめくり始めた。
「社長は現在外出中になります。お約束してありますか?」
私を品定めした後は全くこちらを見ない姿勢に物怖じしたものの、約束なんてしていないから。
「あ、してません………。」
「では、社長の方にご連絡をして、また、ご来社ください。」
私はファンか何かと間違えられたのか。
すごく冷たくあしらわれる。
「はぁ………。」
会社の社長だし、有名人だし、当たり前だよな………。
諦めて帰ろうとしたとき。
「どうかなさいましたか?」
聞き覚えのある男性の声に驚いて振り替えると。
体格のしっかりした優しそうな男性が近づいてきた。
「この方が社長に会いたいそうなのですが、お約束もないようなので。」
受付の人があっさりと答えると。
その男性は私を見てペコリと頭をさげた。
「桜村は、今仕事で外出してまして。
何か、急用でしょうか?
お話伺います。」
優しそうなその男性は私をロビーのソファーに案内してくれて、話を聞いてくれそうだった。
(この人の声って………、眞の所にクレープ届けてくれた人?)
なんとなくそんな気がして。
ちゃんと話を聞いてくれる姿勢に不安が和らいだ。
「すみません。
実は、先日、眞さんに助けて頂いて。
その時に服をお借りしてしまったので返しに来ました。」
紙袋に入った服を見せると、あぁ!と、理解したように笑ってくれた。
「この前、眞さんの所で眠ってた方ですか!
オレ三郷って言います。あの時クレープ届けた者です(笑)」
やっぱりそうだった。
顔は見てないけど。
声に特徴があって、なおかつ私を覚えててくれて助かった。
「はい。すみませんが、これを眞さんに渡しほしくて。お願いできますか?」
紙袋を渡すと、少しだけ困った顔をした。
「俺が渡して良いんですか?あれなら、眞さんに連絡取りますよ?」
自分が渡したいんじゃないかと気を使ってくれたけど。
正直、今、どんな顔をして会えばいいかわからない。
「私、あの時は何も知らなかったんですが、眞さん、とてもお忙しい方だったんですよね。
時間作ってもらうなんて申し訳ないので大丈夫です。」
笑ってお願いしますと渡すと。
「わかりました。帰ってきたら俺がしっかり渡しておきます。」
そう言って受け取ってくれた。
玄関まで見送ってもらい、頭を下げてお願いすると、ビルを後にした。
それから数時間後。
同じビルには、バンドの方の仕事が終わり、戻る眞の姿があった。
「ただいま~。」
会社に戻ると、皆それぞれ仕事をしていて、俺に気づくと挨拶してくれる。
「眞さん、お疲れ様です。」
自分のデスクに座り、パソコンを立ち上げていると、目の前に部下でもある三郷がいた。
「おー。お疲れ。変わりない?」
出してもらったコーヒーに口をつけながら三郷を見上げると、そっと紙袋を目の前に出された。
「これ、お届け物です。」
それは、とてもシンプルな紙袋で。
なんとなくだけど、甘い香りがする。
「なにこれ?」
受け取って中を覗くと、見覚えのある服に、可愛くラッピングされたお菓子。
「昼間、可愛い子がそれを届けに来ましたよ?約束はしてないから、渡してほしいって。」
お菓子には、浅葱のメッセージも付いていて。
『眞さんへ。
お仕事、お疲れ様です。
先日はとても楽しい時間をありがとうございました。
とてもお忙しそうなので、服だけお返しします。
良かったら、マドレーヌ食べて一息ついてくださいね。浅葱』
とてもキレイな字には、優しいメッセージで。
見るだけであの日の笑顔を思い出す。
「あの人、眞さんが和楽器バンドの町屋って気づいてないんですかね?
普通、有名人と知り合って服なんて借りたら意地でも直接会って返したいものなのに。」
三郷は、不思議そうにマドレーヌを食べ始める俺に問いかける。
「気付いてると思うよ?気付いてるからの優しさなんじゃないかな?
………もしくは、どうでも良い相手だったか(笑)」
この前の配信の時、
『泣き虫』というアカウントで入ったリクエストは、確実に浅葱だったと思う。
俺が浅葱の前で歌った初めての歌だし。
歌った後、メールも来たけど。
忙しくて返信できなくて。
ズルズルとタイミングを失って。
携帯を見つめるけど。
もし、本当に俺がどうでも良い存在だったら、やっぱり申し訳ないし。
でも、あの日のキスは忘れられなくて。
冗談まじにりしてしまったから、もしかしたら嫌われたのかも。
そんなことを考えると、なおさら連絡てきなくて。
ため息をつきながら外を眺める。
夕焼けの東京はなんだか物寂しくて。
(偶然でもいいから…………。浅葱に会えないかな………。)
そんなことを考えながら、ただ過ぎていく時間に身を委ねた………。
「………よし。こんなものかな?」
翌日。
小さな部屋は甘い香りに包まれていた。
テーブルに並ぶマドレーヌに、可愛いくラッピングされた物。
エプロンを外して髪を下ろすと、少しだけ鏡で自分の顔を確認する。
今日は、朝起きた時から眞に借りていた服を返しに行こうと決めていた。
いつまでも借りたままなのも気が引けるし。
ただ………。
芸能人だということに気付いてしまった今、気軽に連絡して会うのもどうかと思い、やはり少しだけ悩む。
(とりあえず、家に居なかったらポストに入れてくれば………。)
そんなことを考えて、服を着替えるとバックと紙袋を持ち家を出る。
電車に乗り、眞の家のある駅まで向かえば、休日なのもあり、それなりに人が多い。
少し迷いながらも、眞の家があるビルに到着した。
入ることも躊躇うくらいの大きなビルの前で、来たことを後悔した。
あんなに簡単に出られたのに。
入り口には家が入るとは思えないほどの厳重な警備と受付。
ちらりと見た駐車場には、眞の車は無く。
ポストも見当たらない。
諦めて、受付に向かうと。
受付のブースに座る美人な方は、チラリと私を確認すると立ち上がり、頭を下げた。
「いらっしゃいませ。
本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付嬢というのは、こうゆう方を言うんだなと思うくらい、凜としていて、礼儀正しい。
普通の格好をしてきてしまったことを後悔するくらい。
「あ………あの。桜村眞さんにお会いしたくてきたのですが。」
少しタジタジになりながらも、どうにか答えると。
その人は上から下まで私を見たあと、冷たく目を反らして手元のスケジュール帳をめくり始めた。
「社長は現在外出中になります。お約束してありますか?」
私を品定めした後は全くこちらを見ない姿勢に物怖じしたものの、約束なんてしていないから。
「あ、してません………。」
「では、社長の方にご連絡をして、また、ご来社ください。」
私はファンか何かと間違えられたのか。
すごく冷たくあしらわれる。
「はぁ………。」
会社の社長だし、有名人だし、当たり前だよな………。
諦めて帰ろうとしたとき。
「どうかなさいましたか?」
聞き覚えのある男性の声に驚いて振り替えると。
体格のしっかりした優しそうな男性が近づいてきた。
「この方が社長に会いたいそうなのですが、お約束もないようなので。」
受付の人があっさりと答えると。
その男性は私を見てペコリと頭をさげた。
「桜村は、今仕事で外出してまして。
何か、急用でしょうか?
お話伺います。」
優しそうなその男性は私をロビーのソファーに案内してくれて、話を聞いてくれそうだった。
(この人の声って………、眞の所にクレープ届けてくれた人?)
なんとなくそんな気がして。
ちゃんと話を聞いてくれる姿勢に不安が和らいだ。
「すみません。
実は、先日、眞さんに助けて頂いて。
その時に服をお借りしてしまったので返しに来ました。」
紙袋に入った服を見せると、あぁ!と、理解したように笑ってくれた。
「この前、眞さんの所で眠ってた方ですか!
オレ三郷って言います。あの時クレープ届けた者です(笑)」
やっぱりそうだった。
顔は見てないけど。
声に特徴があって、なおかつ私を覚えててくれて助かった。
「はい。すみませんが、これを眞さんに渡しほしくて。お願いできますか?」
紙袋を渡すと、少しだけ困った顔をした。
「俺が渡して良いんですか?あれなら、眞さんに連絡取りますよ?」
自分が渡したいんじゃないかと気を使ってくれたけど。
正直、今、どんな顔をして会えばいいかわからない。
「私、あの時は何も知らなかったんですが、眞さん、とてもお忙しい方だったんですよね。
時間作ってもらうなんて申し訳ないので大丈夫です。」
笑ってお願いしますと渡すと。
「わかりました。帰ってきたら俺がしっかり渡しておきます。」
そう言って受け取ってくれた。
玄関まで見送ってもらい、頭を下げてお願いすると、ビルを後にした。
それから数時間後。
同じビルには、バンドの方の仕事が終わり、戻る眞の姿があった。
「ただいま~。」
会社に戻ると、皆それぞれ仕事をしていて、俺に気づくと挨拶してくれる。
「眞さん、お疲れ様です。」
自分のデスクに座り、パソコンを立ち上げていると、目の前に部下でもある三郷がいた。
「おー。お疲れ。変わりない?」
出してもらったコーヒーに口をつけながら三郷を見上げると、そっと紙袋を目の前に出された。
「これ、お届け物です。」
それは、とてもシンプルな紙袋で。
なんとなくだけど、甘い香りがする。
「なにこれ?」
受け取って中を覗くと、見覚えのある服に、可愛くラッピングされたお菓子。
「昼間、可愛い子がそれを届けに来ましたよ?約束はしてないから、渡してほしいって。」
お菓子には、浅葱のメッセージも付いていて。
『眞さんへ。
お仕事、お疲れ様です。
先日はとても楽しい時間をありがとうございました。
とてもお忙しそうなので、服だけお返しします。
良かったら、マドレーヌ食べて一息ついてくださいね。浅葱』
とてもキレイな字には、優しいメッセージで。
見るだけであの日の笑顔を思い出す。
「あの人、眞さんが和楽器バンドの町屋って気づいてないんですかね?
普通、有名人と知り合って服なんて借りたら意地でも直接会って返したいものなのに。」
三郷は、不思議そうにマドレーヌを食べ始める俺に問いかける。
「気付いてると思うよ?気付いてるからの優しさなんじゃないかな?
………もしくは、どうでも良い相手だったか(笑)」
この前の配信の時、
『泣き虫』というアカウントで入ったリクエストは、確実に浅葱だったと思う。
俺が浅葱の前で歌った初めての歌だし。
歌った後、メールも来たけど。
忙しくて返信できなくて。
ズルズルとタイミングを失って。
携帯を見つめるけど。
もし、本当に俺がどうでも良い存在だったら、やっぱり申し訳ないし。
でも、あの日のキスは忘れられなくて。
冗談まじにりしてしまったから、もしかしたら嫌われたのかも。
そんなことを考えると、なおさら連絡てきなくて。
ため息をつきながら外を眺める。
夕焼けの東京はなんだか物寂しくて。
(偶然でもいいから…………。浅葱に会えないかな………。)
そんなことを考えながら、ただ過ぎていく時間に身を委ねた………。