和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
Strong Fate
君の名前は?
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【思念の海】
スタジオを出て
黒流と全力で走る。
こんなときに、すれ違う人の群れが
本当に嫌になる………。
スタジオから駅までは5分もあれば着くハズなのに。
お昼近くの都心もあり
お昼休みの人で溢れていた。
信号待ちですら、鬱陶しい。
(早く……!早く着いてくれ………!!)
あの角を曲がれば、地下の駅からの階段が見える。
角を曲がった時。
駅の出入口の前から救急車が出たとこだった………。
出入口に着くと。
まだ階段下は人がひしめき合ってる。
人混みを掻き分けて階段を降りていくと………
目の前に広がる
血の海………。
駅員と、警察が、慌ただしく対応している。
階段下の血の海に見慣れた物を見つけて
回らない頭で
フラフラと階段を降りていく。
「ちょ、ちょっと!君!」
慌てて警察が止めようとしたけど。
振り払い階段下まで降りる。
血の海の中には
お揃いの鈴が転がっていた。
膝から力が抜け、座り込み、鈴を掴む。
手には
鈴と
浅葱の血…………
「浅葱………なんで………、なんでだよ!!」
なんでこうなった…………?
誰が………。
止めようとした警察が近づいてきた。
「君、ここで事故にあった子の知り合い?」
そうだ………。
浅葱は………?
顔を上げると警察の人が伸ばしかけた腕を掴んだ。
「すみません、俺の恋人です………!
浅葱は、浅葱はどうしましたか!?」
必死に、浅葱の行方が知りたくて。
浅葱は大丈夫なのか知りたくて。
警察の人は落ち着かせようとしてくれた。
「さっき、病院に運ばれました。
中央病院です。
事情をお聞きしたいんですが………。」
「すみません、今は病院に行かせてください!」
後ろから降りてきた黒さんが、警察を止めてくれた。
後から病院に来ることになり、マネージャーが到着したから病院に向かうことに。
「ごめん、中央病院行って。」
車に飛び乗って走り出す。
浅葱が大したことなくあってほしい……。
タバコを吸おうとポケットからタバコを取り出すと。
ベッタリと手に付いた血に目が止まり、鳥肌が立つ。
頼むから、無事であってほしい………。
しばらく走って病院に到着する。
受付に事情を話すと、まだ救急処置室に入ったままで。
案内してもらい、ICUに行くと、バタバタと、看護師と医師が走り回っていた。
「すみません、ここに運ばれた子は!?」
すれ違う看護師を止めて聞くと。
「まだ、処置中ですから!しばらくお待ちください!!」
そう言って振りほどくと、また処置室に入っていった。
「まっち!
浅葱ちゃんは!?」
ゆう子がマネージャーと走ってきた。
「まだ、処置が終わらないって………。」
バタバタと走り回る人が多すぎて。
どんな状態なのかすらわからない。
一瞬開いたドアの奥に見えたのは
ベッドに横たえられている足が見えた。
一瞬だったからそれしか見えなかったけど。
あれは、浅葱の足。
血だらけで。
黒さんが、水を持ってきてくれて。
一気に飲んだけど。
全然落ち着かない。
(早く………早く終わってくれ………!)
待合室に座っていても、落ち着けなくて。
近くの出入口から外に出て
タバコに火を付ける。
ズルズルと壁に寄りかかり、座り込む。
肺を煙で満たしても、目を瞑ると、携帯の画面が甦る………。
(誰があんなことを………。
あれは、事故じゃない………。)
暗闇の何かを睨むように。
タバコを吸いながらじっと考える。
今日、必要ないスタッフは現場に居なかった。
だとすれば、今日いたスタッフは関係ない。
じゃあ、あとは誰が残ってる………?
「まっち!」
黒さんの声に顔を上げれば。
「終わったから、来てって。」
処置が終わったと聞いて、急いで灰皿にタバコを捨てる。
走って向かうと、ゆう子達はICUの中が見えるガラスの前に居て、固まっている。
ガラスの向こうには
ベッドの上に横たわり、沢山の線や呼吸器を付けられて、顔も、手足も包帯が巻かれて眠っている浅葱の姿。
あそこで眠ってるのは誰?
さっき、笑ってくれた、あの子が、なぜ、あそこに居るの………?
違和感しかない。
朝と全く違う。
ガラスに手を付け、じっと浅葱を見ていると………。
「浅葱さんのご家族ですか?」
医師と思われる人に話しかけられた。
「家族………」
浅葱は、家族という存在が居なかった。
高校の頃に亡くなり、前に働いてた工場の老夫婦に育てられた。
「俺は、浅葱と同棲してる恋人です………。
彼女には家族は居ません。」
そう言うと。
そうですか、と言ってカルテを抱え直した。
「状態をお話しますので、こちらへ。」
案内されて、別の部屋に入り、椅子に座らされる。
「先ほど、処置は全て終わりました。」
パソコンで処置中に撮られたと思われる
画像を見せられる。
「ほぼ、階段から落ちたときの裂傷です。
左腕は骨折してます。
足は裂傷のみです。
一番出血の酷かった頭部は、ひとまず止血はできてますが、一晩のうちに脳出血を起こさなく、なおかつ意識が戻れば、問題はありません。」
画像は全て痛々しく、でも、処置は的確で、安心した。
「………ありがとうございます。」
早く浅葱に会いたくて、説明の続きを聞こうとした。
「浅葱とは、まだ会えませんか?」
ソワソワしていると、落ち着いた医師は続けた。
「まだ、お話は続きまして………。
浅葱さんの体に変化があったことはご存知でしたか?」
「すみません、それは、なんですか………?
確かに、最近はずっと体調悪くて寝込んだりしてましたが、ストレスで体調悪くなったと思って、今日、病院に行ってもらいました。
それと関係が………?」
今回浅葱の怪我に、それが関係あるのか?
不思議だったけど。
医師はやはり。といった表情でカルテに何かを書き込んでいた。
「そうですか………。
では、まだ浅葱さんからは聞いてなかったのですね………。」
胸の奥がザワザワする。
「何があったんですか………?」
「浅葱さんは…………妊娠しています。」
一瞬、耳を疑った。
「浅葱が………?」
確かに。
体調は悪かった。
ずっと。
(だから、楓さんは病院に行けって………。)
「現在8週目ですが。
階段から落ちた際、本来人間は危険を察知したとき、頭や、顔を守るんです。
でも、浅葱さんは、お腹を抱えて落ちました。
それにより、腕や頭の傷が酷くなったと思われます。」
それから。
お腹の子の為にも極力薬が使えないことと、
入院に関しての説明を受けたけど。
ほとんど、頭に入らなかった………。
「では、準備が出来ましたら面会できるようにお呼びしますので、待合室にお待ちください。」
そう言われ、廊下に出ると。
ゆう子は泣きながら、黒さんとマネージャーが居た。
「まっち!浅葱ちゃんは!?」
黒さんが寄ってきて。
「………腕の骨折と、傷は多いけど、今晩中に意識が戻って脳出血が起きなければ大丈夫だって………。
ごめん………タバコ吸わせて………。」
フラフラと、外の喫煙所にたどり着くと。タバコに火をつけて、真っ暗になった空を見上げる。
(浅葱が話したかったことって………)
これだったんだと。
嬉しそうだった。
電話越しの浅葱は。
なのに、なんでこんなことに………。
「…………まっち………。」
ぼんやりと振り返ると、そこにはコーヒーを持った黒さんが。
冷たいコーヒーを渡されて。
「ありがとう。」
「とりあえず、まっちがタバコ吸い終わったら俺とゆう子は帰るよ。
ゆう子がパニックになったままじゃまずいから。
明日は仕事ずらしてもらうようにマネージャーに言ってある。」
コーヒーを飲みながら、簡潔に色々手配してくれたことを教えてくれた。
「ごめん………。手間かけさせて………。」
もらったコーヒーを飲んでため息をつく。
「とりあえず、浅葱ちゃんが目覚めてくれればな。」
「…………浅葱、妊娠してたって………。
だから、お腹守って、怪我した………。」
力が抜けて座り込むと。
「………そっか………。
俺、ちょっと調べたいことあるから、今日はスタジオに居るから。」
何かを決意したように。
コーヒーを飲み切ると。
「浅葱ちゃん、強い精神持ってるから大丈夫。信じて待ってやれよ。」
ぽん、っと肩を叩かれて頷いた。
「あぁ………。目が覚めたら、連絡する。」
タバコを消して立ち上がると、
了解、と、マネージャー達の所に行って、帰ることになった。
しばらくして、ICUに案内されて、浅葱の眠るベッドの横に行くと。
離れたところで見るより酷く。
そっと頬に触れると、しっかりと暖かい。
「浅葱………ごめん………。」
傷だらけの腕を撫でても、反応は無く。
ただ、苦しそうに呼吸をするだけ。
浅葱の手を取り額に当てると、祈るように目を閉じた。
神様………
俺の大切な物をこれ以上、奪っていこうとしないでください………。
浅葱を助けて…………。
スタジオを出て
黒流と全力で走る。
こんなときに、すれ違う人の群れが
本当に嫌になる………。
スタジオから駅までは5分もあれば着くハズなのに。
お昼近くの都心もあり
お昼休みの人で溢れていた。
信号待ちですら、鬱陶しい。
(早く……!早く着いてくれ………!!)
あの角を曲がれば、地下の駅からの階段が見える。
角を曲がった時。
駅の出入口の前から救急車が出たとこだった………。
出入口に着くと。
まだ階段下は人がひしめき合ってる。
人混みを掻き分けて階段を降りていくと………
目の前に広がる
血の海………。
駅員と、警察が、慌ただしく対応している。
階段下の血の海に見慣れた物を見つけて
回らない頭で
フラフラと階段を降りていく。
「ちょ、ちょっと!君!」
慌てて警察が止めようとしたけど。
振り払い階段下まで降りる。
血の海の中には
お揃いの鈴が転がっていた。
膝から力が抜け、座り込み、鈴を掴む。
手には
鈴と
浅葱の血…………
「浅葱………なんで………、なんでだよ!!」
なんでこうなった…………?
誰が………。
止めようとした警察が近づいてきた。
「君、ここで事故にあった子の知り合い?」
そうだ………。
浅葱は………?
顔を上げると警察の人が伸ばしかけた腕を掴んだ。
「すみません、俺の恋人です………!
浅葱は、浅葱はどうしましたか!?」
必死に、浅葱の行方が知りたくて。
浅葱は大丈夫なのか知りたくて。
警察の人は落ち着かせようとしてくれた。
「さっき、病院に運ばれました。
中央病院です。
事情をお聞きしたいんですが………。」
「すみません、今は病院に行かせてください!」
後ろから降りてきた黒さんが、警察を止めてくれた。
後から病院に来ることになり、マネージャーが到着したから病院に向かうことに。
「ごめん、中央病院行って。」
車に飛び乗って走り出す。
浅葱が大したことなくあってほしい……。
タバコを吸おうとポケットからタバコを取り出すと。
ベッタリと手に付いた血に目が止まり、鳥肌が立つ。
頼むから、無事であってほしい………。
しばらく走って病院に到着する。
受付に事情を話すと、まだ救急処置室に入ったままで。
案内してもらい、ICUに行くと、バタバタと、看護師と医師が走り回っていた。
「すみません、ここに運ばれた子は!?」
すれ違う看護師を止めて聞くと。
「まだ、処置中ですから!しばらくお待ちください!!」
そう言って振りほどくと、また処置室に入っていった。
「まっち!
浅葱ちゃんは!?」
ゆう子がマネージャーと走ってきた。
「まだ、処置が終わらないって………。」
バタバタと走り回る人が多すぎて。
どんな状態なのかすらわからない。
一瞬開いたドアの奥に見えたのは
ベッドに横たえられている足が見えた。
一瞬だったからそれしか見えなかったけど。
あれは、浅葱の足。
血だらけで。
黒さんが、水を持ってきてくれて。
一気に飲んだけど。
全然落ち着かない。
(早く………早く終わってくれ………!)
待合室に座っていても、落ち着けなくて。
近くの出入口から外に出て
タバコに火を付ける。
ズルズルと壁に寄りかかり、座り込む。
肺を煙で満たしても、目を瞑ると、携帯の画面が甦る………。
(誰があんなことを………。
あれは、事故じゃない………。)
暗闇の何かを睨むように。
タバコを吸いながらじっと考える。
今日、必要ないスタッフは現場に居なかった。
だとすれば、今日いたスタッフは関係ない。
じゃあ、あとは誰が残ってる………?
「まっち!」
黒さんの声に顔を上げれば。
「終わったから、来てって。」
処置が終わったと聞いて、急いで灰皿にタバコを捨てる。
走って向かうと、ゆう子達はICUの中が見えるガラスの前に居て、固まっている。
ガラスの向こうには
ベッドの上に横たわり、沢山の線や呼吸器を付けられて、顔も、手足も包帯が巻かれて眠っている浅葱の姿。
あそこで眠ってるのは誰?
さっき、笑ってくれた、あの子が、なぜ、あそこに居るの………?
違和感しかない。
朝と全く違う。
ガラスに手を付け、じっと浅葱を見ていると………。
「浅葱さんのご家族ですか?」
医師と思われる人に話しかけられた。
「家族………」
浅葱は、家族という存在が居なかった。
高校の頃に亡くなり、前に働いてた工場の老夫婦に育てられた。
「俺は、浅葱と同棲してる恋人です………。
彼女には家族は居ません。」
そう言うと。
そうですか、と言ってカルテを抱え直した。
「状態をお話しますので、こちらへ。」
案内されて、別の部屋に入り、椅子に座らされる。
「先ほど、処置は全て終わりました。」
パソコンで処置中に撮られたと思われる
画像を見せられる。
「ほぼ、階段から落ちたときの裂傷です。
左腕は骨折してます。
足は裂傷のみです。
一番出血の酷かった頭部は、ひとまず止血はできてますが、一晩のうちに脳出血を起こさなく、なおかつ意識が戻れば、問題はありません。」
画像は全て痛々しく、でも、処置は的確で、安心した。
「………ありがとうございます。」
早く浅葱に会いたくて、説明の続きを聞こうとした。
「浅葱とは、まだ会えませんか?」
ソワソワしていると、落ち着いた医師は続けた。
「まだ、お話は続きまして………。
浅葱さんの体に変化があったことはご存知でしたか?」
「すみません、それは、なんですか………?
確かに、最近はずっと体調悪くて寝込んだりしてましたが、ストレスで体調悪くなったと思って、今日、病院に行ってもらいました。
それと関係が………?」
今回浅葱の怪我に、それが関係あるのか?
不思議だったけど。
医師はやはり。といった表情でカルテに何かを書き込んでいた。
「そうですか………。
では、まだ浅葱さんからは聞いてなかったのですね………。」
胸の奥がザワザワする。
「何があったんですか………?」
「浅葱さんは…………妊娠しています。」
一瞬、耳を疑った。
「浅葱が………?」
確かに。
体調は悪かった。
ずっと。
(だから、楓さんは病院に行けって………。)
「現在8週目ですが。
階段から落ちた際、本来人間は危険を察知したとき、頭や、顔を守るんです。
でも、浅葱さんは、お腹を抱えて落ちました。
それにより、腕や頭の傷が酷くなったと思われます。」
それから。
お腹の子の為にも極力薬が使えないことと、
入院に関しての説明を受けたけど。
ほとんど、頭に入らなかった………。
「では、準備が出来ましたら面会できるようにお呼びしますので、待合室にお待ちください。」
そう言われ、廊下に出ると。
ゆう子は泣きながら、黒さんとマネージャーが居た。
「まっち!浅葱ちゃんは!?」
黒さんが寄ってきて。
「………腕の骨折と、傷は多いけど、今晩中に意識が戻って脳出血が起きなければ大丈夫だって………。
ごめん………タバコ吸わせて………。」
フラフラと、外の喫煙所にたどり着くと。タバコに火をつけて、真っ暗になった空を見上げる。
(浅葱が話したかったことって………)
これだったんだと。
嬉しそうだった。
電話越しの浅葱は。
なのに、なんでこんなことに………。
「…………まっち………。」
ぼんやりと振り返ると、そこにはコーヒーを持った黒さんが。
冷たいコーヒーを渡されて。
「ありがとう。」
「とりあえず、まっちがタバコ吸い終わったら俺とゆう子は帰るよ。
ゆう子がパニックになったままじゃまずいから。
明日は仕事ずらしてもらうようにマネージャーに言ってある。」
コーヒーを飲みながら、簡潔に色々手配してくれたことを教えてくれた。
「ごめん………。手間かけさせて………。」
もらったコーヒーを飲んでため息をつく。
「とりあえず、浅葱ちゃんが目覚めてくれればな。」
「…………浅葱、妊娠してたって………。
だから、お腹守って、怪我した………。」
力が抜けて座り込むと。
「………そっか………。
俺、ちょっと調べたいことあるから、今日はスタジオに居るから。」
何かを決意したように。
コーヒーを飲み切ると。
「浅葱ちゃん、強い精神持ってるから大丈夫。信じて待ってやれよ。」
ぽん、っと肩を叩かれて頷いた。
「あぁ………。目が覚めたら、連絡する。」
タバコを消して立ち上がると、
了解、と、マネージャー達の所に行って、帰ることになった。
しばらくして、ICUに案内されて、浅葱の眠るベッドの横に行くと。
離れたところで見るより酷く。
そっと頬に触れると、しっかりと暖かい。
「浅葱………ごめん………。」
傷だらけの腕を撫でても、反応は無く。
ただ、苦しそうに呼吸をするだけ。
浅葱の手を取り額に当てると、祈るように目を閉じた。
神様………
俺の大切な物をこれ以上、奪っていこうとしないでください………。
浅葱を助けて…………。