和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
Blue Tears
君の名前は?
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浅葱のゼファーのアクセル音を聞く度、懐かしいあの人の笑顔を思い出す。
デカくて、強くて、カッコイイ。
俺の中で【親父】のイメージはあの人でできてると思う。
浅葱の父親。
俺だって元から強かったわけじゃねぇ。
初めは体がでかいからって絡まれて、年上にボコられることだってあった。
その日も、高校生にボコられて。
公園で蹲って泣いてた。
「ねぇ、大丈夫??」
声に気づいて顔をあげると、心配そうに覗き込む女の子。
「浅葱、どうした?」
女の子の後ろから買い物袋を下げて身長の高い男が歩いてくる。
「パパ、この子、怪我してる。」
振り返った女の子は、父親に俺を指さして教える。
泣いてた所を見られるのが恥ずかしくて。
乱暴に袖で顔を拭うと。
男は俺の前にしゃがんで顔を覗き込んだ。
「どうした、喧嘩で負けたか?」
ポンポンと頭を大きな手で撫でられて、恥ずかしくなる。
「………うっせぇ!ほっとけよ!!」
ほっといて欲しかった。
喧嘩で負けたのも、悔しくて。
頭に乗せられた手を払うと、その人はニカッと笑って、後ろの女の子を見た。
「浅葱、悪ぃんだけど。
この袋ママに持ってってくれねぇか?
あと、ママに救急箱出しといてって言ってくれ。」
そう言って買い物袋をその子に渡すと、笑顔で受け取る。
「わかった♪」
女の子は楽しそうに買い物袋を持って駆け出していく。
それを見送ると、男は俺の横に座る。
「女に泣き顔なんか見られたくねぇもんな。」
笑いながら、怪我の具合を見るけど。
俺は目すら合わせず不貞腐れる。
カチッとライターのつく音と、深呼吸のようにタバコの煙を吐き出す姿。
「俺も昔は弱くてよ。しょっちゅうボコられてたぞ(笑)」
返事もしない俺を気にせず、話を続ける。
「でもな、守りたいもんの為には強くなんなきゃな!
家族でも、仲間でも、守りたい奴が居るなら全力で戦え。」
ふぅ、と紫煙を吐き出し、夕焼けの空を見上げる。
「俺………家族なんていねぇもん……。」
別に言うことでもないのに。
勝手に話してた。
俺には家族って呼べる人は居ないし、育ててくれてるのは風俗の店の人だってこと。
なのに。
その人は話をちゃんと聞いてくれて。
「俺だって………強くなりてぇ………。」
いつの間にか、また溢れ出す涙。
誰にもバカにされねぇほど強くなりたかった。
そっか。
その人はタバコを消すと、また頭を撫でて。
俺の顔を覗き込んだ。
「強くなりてぇなら、もう泣くな。
男が泣いて良いのは自分のガキが産まれた時と大切な人が死んだ時だけだ。」
そう言うと。
「ほら、背中乗れ。」
そう言って背中を向けてくる。
「はぁ?」
なんで男の俺がおんぶされなきゃなんねぇのかと思ったけど。
その人はくじいた足も痛くて、動けないのをわかってた。
「ほら、早くしねぇと浅葱が待ちくたびれて怒る。」
急かされて、しょうがなく背中に掴まると。
立ち上がるその人の背中は高くて。
暖かくて。
この人は周りの大人と違うって思えた。
「パパ帰ってきた~!!」
その人の家に行けば、玄関先で待ってた女の子は大きな声で母親を呼ぶ。
庭に面したリビングでその人に手当てをしてもらい、女の子が浅葱って名前で、同い年だって知った。
その時、庭にあったのがゼファー。
普通の家なのに、リビングにはその人の昔のチームの特服と集合写真、浅葱達の写真が飾ってあり。
少しだけカッコイイと思えた。
浅葱の母親は優しく、父親は面白くてカッコイイ。
家族なんて考えたことも無かったけど。
浅葱の親父は俺をまるで自分の子供みたいに扱ってくれた。
「堅、流しに行くか?」
時々、ゼファーの裏に乗せてくれては。
コールを切りながらドライブに連れてってくれる。
幼いながらに、ゼファーが欲しいと思った。
「なぁ、あのゼファー譲ってよ!」
1度だけ、ねだったことがあった。
「ダメだ。コレは浅葱の旦那になる奴に譲るって決めてるんだ。」
ゼファーをメンテしながら、親父はそう言って笑った。
「じゃあ、俺が浅葱の旦那になったらくれるか?」
不意に聞けば、フリーズする親父。
「………ばぁか。バイクの為に浅葱と結婚するなんて言ったらゼファーでひき殺すぞ(笑)」
笑いながら。
いつも一緒に居る浅葱を少しずつ好きになってる俺に気づいてる親父は真剣な顔になる。
「でも。
俺に何かあった時、堅が全力で浅葱を守ってくれるなら考えてやるよ。」
たぶん、言われなくても。
浅葱を守りたいって俺は思ってたし。
「バイク、くれなくても浅葱は俺が守るよ。
でも………浅葱には言うなよな。」
恥ずかしいから。
少しだけ耳を赤くして言えば。
親父は笑って拳を目の前に出す。
「わかったよ。約束な?」
その約束に、拳をぶつける。
あの日の約束を、俺は守れてるんだろうか?
ずっと続くんだって思ってた日々は。
簡単に壊されて。
雨の中燃える家には
もう息のない母親。
無惨に刺されて虫の息の親父。
「堅………浅葱のこと………頼むな………。」
浅葱を連れて逃げろと。
炎の中で突き飛ばされて。
泣き叫ぶ浅葱を抱えて逃げ切るしか出来なくて。
親父は、最後まで笑ってた。
家を飛び出る時。
燃え盛る部屋から見えたのは。
親父の拳………。
(あの日の約束は、絶対守る。)
風を切るゼファーの音に、懐かしい記憶が蘇った。
バイクを停めて降りると。
後ろから降りた浅葱が顔を覗き込む。
「どうしたの?珍しく考え事?」
無言で走ってたことを不思議に思ったのか。
不安そうに見つめてくる。
「親父のこと、思い出してた………。」
浅葱の親父は、俺にとっても親父だから。
「お父さん、カッコイイ人だったもんね。」
昔を思い出す浅葱の横顔は、どことなく幼くて。
思わず浅葱を腕の中に引っ張りこんでしまう。
「ちょ、ちょっと!!」
急なことで焦る浅葱だけど。
「昔は大して身長変わんなかったのにな~(笑)」
身長差を確かめるフリで。
浅葱の温もりを確かめる。
「堅が伸びすぎなだけだよ。
暑苦しいから放せよっ。」
浅葱が怒るから、諦めて放す。
「お前、どんどん親父に顔似てくるな?」
整った横顔は、親父そっくりで。
血の繋がりを感じる。
男っぽくしてるから尚更。
「自分の理想はお父さんだから(笑)」
そういって笑う浅葱の目元は
あの日の親父そのもの。
「堅……浅葱のこと、頼むな………。」
頭に響く父親の声を噛み締めて、夜空を見上げた。
(俺は強くなって、浅葱を守る……。)
デカくて、強くて、カッコイイ。
俺の中で【親父】のイメージはあの人でできてると思う。
浅葱の父親。
俺だって元から強かったわけじゃねぇ。
初めは体がでかいからって絡まれて、年上にボコられることだってあった。
その日も、高校生にボコられて。
公園で蹲って泣いてた。
「ねぇ、大丈夫??」
声に気づいて顔をあげると、心配そうに覗き込む女の子。
「浅葱、どうした?」
女の子の後ろから買い物袋を下げて身長の高い男が歩いてくる。
「パパ、この子、怪我してる。」
振り返った女の子は、父親に俺を指さして教える。
泣いてた所を見られるのが恥ずかしくて。
乱暴に袖で顔を拭うと。
男は俺の前にしゃがんで顔を覗き込んだ。
「どうした、喧嘩で負けたか?」
ポンポンと頭を大きな手で撫でられて、恥ずかしくなる。
「………うっせぇ!ほっとけよ!!」
ほっといて欲しかった。
喧嘩で負けたのも、悔しくて。
頭に乗せられた手を払うと、その人はニカッと笑って、後ろの女の子を見た。
「浅葱、悪ぃんだけど。
この袋ママに持ってってくれねぇか?
あと、ママに救急箱出しといてって言ってくれ。」
そう言って買い物袋をその子に渡すと、笑顔で受け取る。
「わかった♪」
女の子は楽しそうに買い物袋を持って駆け出していく。
それを見送ると、男は俺の横に座る。
「女に泣き顔なんか見られたくねぇもんな。」
笑いながら、怪我の具合を見るけど。
俺は目すら合わせず不貞腐れる。
カチッとライターのつく音と、深呼吸のようにタバコの煙を吐き出す姿。
「俺も昔は弱くてよ。しょっちゅうボコられてたぞ(笑)」
返事もしない俺を気にせず、話を続ける。
「でもな、守りたいもんの為には強くなんなきゃな!
家族でも、仲間でも、守りたい奴が居るなら全力で戦え。」
ふぅ、と紫煙を吐き出し、夕焼けの空を見上げる。
「俺………家族なんていねぇもん……。」
別に言うことでもないのに。
勝手に話してた。
俺には家族って呼べる人は居ないし、育ててくれてるのは風俗の店の人だってこと。
なのに。
その人は話をちゃんと聞いてくれて。
「俺だって………強くなりてぇ………。」
いつの間にか、また溢れ出す涙。
誰にもバカにされねぇほど強くなりたかった。
そっか。
その人はタバコを消すと、また頭を撫でて。
俺の顔を覗き込んだ。
「強くなりてぇなら、もう泣くな。
男が泣いて良いのは自分のガキが産まれた時と大切な人が死んだ時だけだ。」
そう言うと。
「ほら、背中乗れ。」
そう言って背中を向けてくる。
「はぁ?」
なんで男の俺がおんぶされなきゃなんねぇのかと思ったけど。
その人はくじいた足も痛くて、動けないのをわかってた。
「ほら、早くしねぇと浅葱が待ちくたびれて怒る。」
急かされて、しょうがなく背中に掴まると。
立ち上がるその人の背中は高くて。
暖かくて。
この人は周りの大人と違うって思えた。
「パパ帰ってきた~!!」
その人の家に行けば、玄関先で待ってた女の子は大きな声で母親を呼ぶ。
庭に面したリビングでその人に手当てをしてもらい、女の子が浅葱って名前で、同い年だって知った。
その時、庭にあったのがゼファー。
普通の家なのに、リビングにはその人の昔のチームの特服と集合写真、浅葱達の写真が飾ってあり。
少しだけカッコイイと思えた。
浅葱の母親は優しく、父親は面白くてカッコイイ。
家族なんて考えたことも無かったけど。
浅葱の親父は俺をまるで自分の子供みたいに扱ってくれた。
「堅、流しに行くか?」
時々、ゼファーの裏に乗せてくれては。
コールを切りながらドライブに連れてってくれる。
幼いながらに、ゼファーが欲しいと思った。
「なぁ、あのゼファー譲ってよ!」
1度だけ、ねだったことがあった。
「ダメだ。コレは浅葱の旦那になる奴に譲るって決めてるんだ。」
ゼファーをメンテしながら、親父はそう言って笑った。
「じゃあ、俺が浅葱の旦那になったらくれるか?」
不意に聞けば、フリーズする親父。
「………ばぁか。バイクの為に浅葱と結婚するなんて言ったらゼファーでひき殺すぞ(笑)」
笑いながら。
いつも一緒に居る浅葱を少しずつ好きになってる俺に気づいてる親父は真剣な顔になる。
「でも。
俺に何かあった時、堅が全力で浅葱を守ってくれるなら考えてやるよ。」
たぶん、言われなくても。
浅葱を守りたいって俺は思ってたし。
「バイク、くれなくても浅葱は俺が守るよ。
でも………浅葱には言うなよな。」
恥ずかしいから。
少しだけ耳を赤くして言えば。
親父は笑って拳を目の前に出す。
「わかったよ。約束な?」
その約束に、拳をぶつける。
あの日の約束を、俺は守れてるんだろうか?
ずっと続くんだって思ってた日々は。
簡単に壊されて。
雨の中燃える家には
もう息のない母親。
無惨に刺されて虫の息の親父。
「堅………浅葱のこと………頼むな………。」
浅葱を連れて逃げろと。
炎の中で突き飛ばされて。
泣き叫ぶ浅葱を抱えて逃げ切るしか出来なくて。
親父は、最後まで笑ってた。
家を飛び出る時。
燃え盛る部屋から見えたのは。
親父の拳………。
(あの日の約束は、絶対守る。)
風を切るゼファーの音に、懐かしい記憶が蘇った。
バイクを停めて降りると。
後ろから降りた浅葱が顔を覗き込む。
「どうしたの?珍しく考え事?」
無言で走ってたことを不思議に思ったのか。
不安そうに見つめてくる。
「親父のこと、思い出してた………。」
浅葱の親父は、俺にとっても親父だから。
「お父さん、カッコイイ人だったもんね。」
昔を思い出す浅葱の横顔は、どことなく幼くて。
思わず浅葱を腕の中に引っ張りこんでしまう。
「ちょ、ちょっと!!」
急なことで焦る浅葱だけど。
「昔は大して身長変わんなかったのにな~(笑)」
身長差を確かめるフリで。
浅葱の温もりを確かめる。
「堅が伸びすぎなだけだよ。
暑苦しいから放せよっ。」
浅葱が怒るから、諦めて放す。
「お前、どんどん親父に顔似てくるな?」
整った横顔は、親父そっくりで。
血の繋がりを感じる。
男っぽくしてるから尚更。
「自分の理想はお父さんだから(笑)」
そういって笑う浅葱の目元は
あの日の親父そのもの。
「堅……浅葱のこと、頼むな………。」
頭に響く父親の声を噛み締めて、夜空を見上げた。
(俺は強くなって、浅葱を守る……。)