和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
風に舞う
君の名前は?
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翌朝。
目が覚めると隣に浅葱の姿は無かった。
代わりにベッドの足元には貸していた服が綺麗に畳まれ置かれていた。
(……帰ったのか。)
とりあえず一晩でも安全な所で休めたなら良いのか。
そんなことを考えながら体を起こせば。
テーブルの足元で光る物に目が止まる。
「………?これって………。」
自分の物ではない、女物の腕時計。
この部屋に女が来たことはないから、きっと浅葱の物だろう。
俺が寝てる間に慌ただしく帰ったせいなのか、きっと忘れて帰ったようで。
(………ったく。)
帰るなら一声くらいかけりゃ良いのに。
それでも、帰りたくなったら帰れば良いと言ったのは俺だし。
後で渡せばいいかと、テーブルに置く。
タイミング良く携帯が鳴る。
通知には〖マイキー〗の文字。
「……なんだ、お前から電話なんて珍しい。」
いつもなら俺が迎えに行かなきゃ起きないマイキーなのに、今日は元気な声で電話してきた。
「天気良いからさ!
たまには学校行こーぜ!!」
早く来いよ!
いつもの様にマイペースで急かすマイキーに笑いながら、立ち上がり背伸びをする。
「あ~………
わぁったよ。着替えたら行く。」
じゃあな。と電話を切り、ハンガーから着替えを取る。
(時間があったら渡しに行くか……。)
テーブルの上で太陽を浴びてキラキラする腕時計をポケットに入れると、財布と携帯を持って部屋を出た。
入り口のおっさんに聞けば、浅葱は明け方に帰ったらしい。
日中居るところはわかってるし、まぁ良いやと。
マイキーを迎えに行って、日差しが強くなる街に出る。
「そういや、昨日浅葱拾った。」
チャリを漕ぎながら、まるで小銭でも拾ったかのようにあっさり言えば。
「はぁ?拾った!?」
マイキーはびっくりして俺を覗き込む。
「あぁ……。公園で会った。
帰ったら殴られるから帰らないって言うから連れて帰ったけど。
朝起きたら居なかった。」
昨日の事を思い出しながら話せば。
笑い出すマイキー。
「あの部屋に連れてったのか?
浅葱ちゃんも驚いただろ?」
まぁ、確かに。
フリーズしていた。
ぼんやり昨日の顔を思い出してると。
「でも、帰ったら殴られるってなんだよ?親に?」
「知らねえ。ほとんど喋らねぇし、聞いてねぇし。」
お前も気にはなったけど。
「ま、必要なら話すだろ。」
気にしない素振りでチャリを漕いで行く。
外は晴れ渡り、蝉が元気良く鳴いている。
(また、会いてぇな………)
そんな事を考えてる自分に笑えてくる。
そして。
たまにしか行かない中学に行ってみれば。
マイキーは相変わらず寝て(充電して)いて。
暇だから外を眺める。
今頃、ちゃんと授業受けてるんだろうな。
昨日はたまたま会ったから部屋に連れてったけど。
今日もまた浅葱は夜中まであんな風に居るのだろうか?
(さすがに危ねぇよなぁ………。)
いつからそうなったのかは知らねぇけど、毎日あんな風に時間潰してたのなら。
ポケットに手を突っ込んで椅子に寄り掛かると、ポケットの中にある時計の存在。
出して机に置けば、小さな音で動き続ける時計。
付けようとしても、俺の腕に着くわけもなく。
(………細い腕………。)
クスリと笑うと、またポケットに戻す。
今日もまた浅葱を探しに行こう。
なんとなくそんなことを考えて。
早く1日が過ぎるのを待った。