和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
風に舞う
君の名前は?
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しばらく無言のままバイクは走り続け。
騒がしい街から少し離れた。
(私、どうなるんだろ………。)
確かに、あのバルハラのアジトに居るよりはマシだとは思ったけど。
それでも場地さんはバルハラのメンバーで、東卍を抜けたってことは、東卍を良く思ってないってことだから。
もちろん、何をされるか予想なんてできない。
建物も少なくなった頃、ぽつりと立つ建物の中にバイクが滑り込む。
(ここって………。)
建物の少ない土地には不釣り合いな、煌びやかなネオンの建物は………。
(ラブホ…………。)
『俺のモンにする』
そう言っていた場地さんの言葉を思い出し、血の気が引いていく。
「ほら。降りろ。」
バイクのエンジンを切った場地さんが振り返ったことで、ハッとしてバイクから降りる。
脱いだヘルメットをバイクに付けると、腕を掴んで引っ張り横にピッタリとついた。
(どうしよ………。)
抵抗しないでついて行くべきなのか悩んでいた時。
「後ろ振り返らないでまっすぐ前向いて歩け。」
場地さんは、まっすぐ前を見たままそれだけを告げると、悩むことなく腕を掴んだまま建物の中に歩いていく。
(何…………?)
場地さんの言葉には驚いたけど。
言うことを聞き部屋のドアが閉まるまで前を向いていた。
「…………はぁ。」
部屋のドアが閉まると。
場地さんは腕を放して部屋の中に進んでいく。
着いては来たけど。
バイクの鍵をテーブルに置いてベッドに横たわる場地さんを横目に、私は入った部屋で動けなくなっていた。
(どうしよう………。)
今すぐにでも逃げたいけど。
逃げたら殺すって言われてるし………。
「もう、くつろいでいいぞ。」
立ったまま俯いていると。
ベッドに寝転んだ場地さんは肘をついてこちらに声をかけてくれた。
「あの………」
私は本当に場地さんの物にされてしまうのか。
ここまで来て聞くことじゃないのは分かってるけど。
本当に怖くなってきた。
「あー………。警戒してんな。
お前、名前は?」
私が怖がってる事を気づいてなのか。
場地さんは起き上がりこちらを向いた。
「浅葱です………。」
俯いたまま呟くと。
ベッドから立ち上がった場地さんはゆっくりと歩いてきて私の目の前で立ち止まった。
「…………っっ!?」
不意に顎を掴み上げられ、無理やり場地さんに顔を向ける形になる。
獣のような瞳と視線が絡んで思わず固まってしまう。
「風呂、入ってこい。」
顎で風呂を指示されて。
半間に殴られて地面に転がされて。
確かに埃まみれな自分に気づく。
「…………。」
汚い女は抱きたくないってことなのか。
分からないけど。
傷を洗いたいのは確かだった。
指示されたとうり、シャワーでしみる傷を洗い、鏡に映る傷だらけの顔を見る。
まるで、堅に助けられるまでの私。
(………本当に、このまま………。)
あのままバルハラのアジトに居るよりは良いと思ったけど。
今更、堅以外に触られる事は恐怖しかない。
時計を見れば、すでに深夜を回ってる。
(明日の朝には、東卍とバルハラはぶつかる………。)
もう、回避はできない。
(どんな目にあったって。
絶対生きて堅の所に帰る………。)
ぐっと歯を食いしばり、服を着ると、お風呂から出る。
場地さんは、つまらなそうにテレビを見ながらコーラを飲んでいる。
「…………。」
無言で近づくと。
視線だけをこちらにむけた。
「コーラ、飲むか?」
目の前にペットボトルを出されて、少し考えたけど。
受け取り口に含む。
喉は乾いていた。
「口の中、切れてて喋りずらいか?」
「…………!!」
不意に。
場地さんは口元に触れた。
堅に助けてもらった時の事を思い出すセリフに、目を見開き、決意が揺らぎそうになる。
何されたって、生きて帰るって決めたのに。
「………大丈夫です。」
無表情でそう答えれば。
っそ。
と呟いて腕を引かれる。
「ちょっっ…………!!」
場地さんに引っ張られた体は簡単にベッドに転がり、瞬時に顔の横に置かれる両手。
真上には、場地さんが牙を見せて笑う獣のように。
ギラついた瞳がある。
「…………。」
無表情のまま、場地さんと見つめ合う。
ほんの数十秒のことなのに。
まるで時間が止まったような。
「なぁ………。
浅葱って本当にドラケンの女じゃねぇの?」
顔にかかった前髪を指で払いながら。
場地さんは逃げることを許さないように見つめて問う。
ここで、どう答えたらいいのか。
「はい、彼女です。」
そう答えたら確実に犯される。
でも。
違うって言って、信じてもらえるの?
見つめあったまま黙っていると。
「…………クックック。
やっぱ、お前良いわ(笑)」
急に場地さんは笑いだし、私の上から退くと、横に座った。
「さすが、ドラケンの女は根性が座ってるわ。
泣きもしない、あんだけ半間に殴られてんのに。
しかも通じるはずねぇハッタリまでカマして(笑)
浅葱、気に入ったわ。」
笑いながらも、私の頭を撫でてくれるから。
「…………。」
どう対応したらいいのか分からない。
「さすがに今日はバルハラのやつらに尾行されてるから自由にはしてやれねぇけど。
明日、朝イチでドラケンとこ帰れ。」
まるで、迷子の子供に言うみたいに。
安心させるように言ってくれる。
「………なんで………?」
なんで、いきなり。
場地さんの物にするって言ってたのに。
場地さんは笑ってくれる。
「今までドラケンに女とか見たことねぇのに。
あんなに大切そうにお前のこと話すドラケン見たら、お前が女じゃねぇなんてハッタリ効くわけねぇじゃん(笑)
ドラケンの性格考えたら好きとか付き合うとか言うわけねぇけどなー。」
さすがに長い付き合いだけあって。
場地さんは堅のことをわかってる。
でも。
この言葉を本当に信じていいのかは分からない。
「場地さんは………、そんなに堅のことも、東卍のことも分かってるのに。
なんでバルハラに行ったんですか………?」
機嫌を損ねるかもしれない。
でも、これを聞けば。
場地さんを信じていいかわかる気がしたんだ………。
「東卍を守りてぇんだ。
だから、新しく入った稀咲は俺が潰す。
浅葱、お前がこのまま捕まってたら、ドラケンが本気で戦えないって分かってるよな?」
場地さんの話すことはもっともで。
黙って頷くと。
「ドラケンが戦えなければ東卍が負けることもある。
だから、お前は帰れ。
ドラケンには、解放されたことは口止めしとくように言え。」
真剣だけど。
(場地さんは、本当に東卍のことを考えてる。)
その為に、悪役になったんだ………。
「………ありがとうございます………。」
起き上がり、お礼を言うと。
さっきまで笑っていた場地さんが真剣な顔になり。
そっと私の頬を撫でた。
「もったいねぇな………。本当に俺のモンになんねぇ?」
そのまま引き寄せられる腕。
唇が触れそうになる瞬間………。
「ムグッッ………。」
思わず手で口元をガードしてしまった。
「ごめんなさい………。本当に、堅が好きなんです………。」
顔を真っ赤にしながら謝ると。
「…………ブァッハ(笑)勝てねぇ~!!」
白旗を上げるように手を挙げてベッドに転がった。
「夜が開ける前にここを出る。それまでは少し寝とけ。」
ぽんぽんと頭を撫でられ、場地さんは立ち上がる。
風呂、入ってくるわ。
笑いながら言うと、お風呂に向かっていった。
1人、部屋に取り残されて。
一気に緊張が抜けてベッドに横になる。
(良かった。場地さんは、ちゃんと東卍の人だ。)
気が抜けて泣きそうになる心を抑えて。
だんだんと体から力が抜けていく。
少しだけ休んだら。
(堅の所に帰れる………。)
それから数時間後。
場地さんに起こされて。
外を見ればバルハラのメンバーも居ない。
場地さんのバイクは颯爽と走り出し、猛スピードで走ってく。
その間も、尾行されていないか心配だったけど。
ーキキッッー
堅の家のあるビルの近くまで送って貰うと、バイクを降りてヘルメットを返した。
「んじゃ、ドラケンに伝言頼むな。」
牙を見せてニカッと笑い、走り出そうとしたから。
思わず腕を掴んでしまった。
「あ、あの!」
急なことで場地さんも驚き振り返るけど。
「場地さん、お願いします。
どうか、生きて東卍に帰ってきてください。」
真剣に。
それを伝えると。
びっくりした表情だった場地さんは、少し優しく笑った。
「………さぁな。」
そう呟くと。
不意に後頭部を引かれて頬に触れる唇の感触。
「………!!」
びっくりして場地さんを見ると。
「助けた駄賃にこれくらい貰っとくわ。」
じゃあな!
そう言ってすぐに走り去って行った。
(………帰らなきゃ!!)
周りに誰も居ないことを確認して、ビルに駆け込んだ。
痛くなるほど早鐘を打つ胸を抑えて。
エレベーターが階に着くと、受付のおじさんに頭を下げながら堅の部屋の前に立った。
(………大丈夫。)
そっとドアを開けると。
暗い部屋のベッドの上に。
まっすぐ何かを睨みつける堅が居た。
「…………浅葱!!」
ドアの開いた気配で私に気付いた堅は、驚いて。
「堅………!!」
思わず堅の胸に飛び込んだ。
「お前、逃げられたのか!?」
強く抱きしめながら、私の顔を確認するように、ペタペタと髪を避けて顔を見てくれる。
「………助けてもらったの………。」
もう、二度と堅の腕に戻れないんじゃないかとか。
あのまま今日の決戦になるのかとか、ずっと不安で。
ポロポロと涙が零れる。
「お願いだから………。
場地さんを東卍に戻して………。」
泣きながら、堅の胸にしがみつくと。
心のまま、思う言葉を吐き出した………。
騒がしい街から少し離れた。
(私、どうなるんだろ………。)
確かに、あのバルハラのアジトに居るよりはマシだとは思ったけど。
それでも場地さんはバルハラのメンバーで、東卍を抜けたってことは、東卍を良く思ってないってことだから。
もちろん、何をされるか予想なんてできない。
建物も少なくなった頃、ぽつりと立つ建物の中にバイクが滑り込む。
(ここって………。)
建物の少ない土地には不釣り合いな、煌びやかなネオンの建物は………。
(ラブホ…………。)
『俺のモンにする』
そう言っていた場地さんの言葉を思い出し、血の気が引いていく。
「ほら。降りろ。」
バイクのエンジンを切った場地さんが振り返ったことで、ハッとしてバイクから降りる。
脱いだヘルメットをバイクに付けると、腕を掴んで引っ張り横にピッタリとついた。
(どうしよ………。)
抵抗しないでついて行くべきなのか悩んでいた時。
「後ろ振り返らないでまっすぐ前向いて歩け。」
場地さんは、まっすぐ前を見たままそれだけを告げると、悩むことなく腕を掴んだまま建物の中に歩いていく。
(何…………?)
場地さんの言葉には驚いたけど。
言うことを聞き部屋のドアが閉まるまで前を向いていた。
「…………はぁ。」
部屋のドアが閉まると。
場地さんは腕を放して部屋の中に進んでいく。
着いては来たけど。
バイクの鍵をテーブルに置いてベッドに横たわる場地さんを横目に、私は入った部屋で動けなくなっていた。
(どうしよう………。)
今すぐにでも逃げたいけど。
逃げたら殺すって言われてるし………。
「もう、くつろいでいいぞ。」
立ったまま俯いていると。
ベッドに寝転んだ場地さんは肘をついてこちらに声をかけてくれた。
「あの………」
私は本当に場地さんの物にされてしまうのか。
ここまで来て聞くことじゃないのは分かってるけど。
本当に怖くなってきた。
「あー………。警戒してんな。
お前、名前は?」
私が怖がってる事を気づいてなのか。
場地さんは起き上がりこちらを向いた。
「浅葱です………。」
俯いたまま呟くと。
ベッドから立ち上がった場地さんはゆっくりと歩いてきて私の目の前で立ち止まった。
「…………っっ!?」
不意に顎を掴み上げられ、無理やり場地さんに顔を向ける形になる。
獣のような瞳と視線が絡んで思わず固まってしまう。
「風呂、入ってこい。」
顎で風呂を指示されて。
半間に殴られて地面に転がされて。
確かに埃まみれな自分に気づく。
「…………。」
汚い女は抱きたくないってことなのか。
分からないけど。
傷を洗いたいのは確かだった。
指示されたとうり、シャワーでしみる傷を洗い、鏡に映る傷だらけの顔を見る。
まるで、堅に助けられるまでの私。
(………本当に、このまま………。)
あのままバルハラのアジトに居るよりは良いと思ったけど。
今更、堅以外に触られる事は恐怖しかない。
時計を見れば、すでに深夜を回ってる。
(明日の朝には、東卍とバルハラはぶつかる………。)
もう、回避はできない。
(どんな目にあったって。
絶対生きて堅の所に帰る………。)
ぐっと歯を食いしばり、服を着ると、お風呂から出る。
場地さんは、つまらなそうにテレビを見ながらコーラを飲んでいる。
「…………。」
無言で近づくと。
視線だけをこちらにむけた。
「コーラ、飲むか?」
目の前にペットボトルを出されて、少し考えたけど。
受け取り口に含む。
喉は乾いていた。
「口の中、切れてて喋りずらいか?」
「…………!!」
不意に。
場地さんは口元に触れた。
堅に助けてもらった時の事を思い出すセリフに、目を見開き、決意が揺らぎそうになる。
何されたって、生きて帰るって決めたのに。
「………大丈夫です。」
無表情でそう答えれば。
っそ。
と呟いて腕を引かれる。
「ちょっっ…………!!」
場地さんに引っ張られた体は簡単にベッドに転がり、瞬時に顔の横に置かれる両手。
真上には、場地さんが牙を見せて笑う獣のように。
ギラついた瞳がある。
「…………。」
無表情のまま、場地さんと見つめ合う。
ほんの数十秒のことなのに。
まるで時間が止まったような。
「なぁ………。
浅葱って本当にドラケンの女じゃねぇの?」
顔にかかった前髪を指で払いながら。
場地さんは逃げることを許さないように見つめて問う。
ここで、どう答えたらいいのか。
「はい、彼女です。」
そう答えたら確実に犯される。
でも。
違うって言って、信じてもらえるの?
見つめあったまま黙っていると。
「…………クックック。
やっぱ、お前良いわ(笑)」
急に場地さんは笑いだし、私の上から退くと、横に座った。
「さすが、ドラケンの女は根性が座ってるわ。
泣きもしない、あんだけ半間に殴られてんのに。
しかも通じるはずねぇハッタリまでカマして(笑)
浅葱、気に入ったわ。」
笑いながらも、私の頭を撫でてくれるから。
「…………。」
どう対応したらいいのか分からない。
「さすがに今日はバルハラのやつらに尾行されてるから自由にはしてやれねぇけど。
明日、朝イチでドラケンとこ帰れ。」
まるで、迷子の子供に言うみたいに。
安心させるように言ってくれる。
「………なんで………?」
なんで、いきなり。
場地さんの物にするって言ってたのに。
場地さんは笑ってくれる。
「今までドラケンに女とか見たことねぇのに。
あんなに大切そうにお前のこと話すドラケン見たら、お前が女じゃねぇなんてハッタリ効くわけねぇじゃん(笑)
ドラケンの性格考えたら好きとか付き合うとか言うわけねぇけどなー。」
さすがに長い付き合いだけあって。
場地さんは堅のことをわかってる。
でも。
この言葉を本当に信じていいのかは分からない。
「場地さんは………、そんなに堅のことも、東卍のことも分かってるのに。
なんでバルハラに行ったんですか………?」
機嫌を損ねるかもしれない。
でも、これを聞けば。
場地さんを信じていいかわかる気がしたんだ………。
「東卍を守りてぇんだ。
だから、新しく入った稀咲は俺が潰す。
浅葱、お前がこのまま捕まってたら、ドラケンが本気で戦えないって分かってるよな?」
場地さんの話すことはもっともで。
黙って頷くと。
「ドラケンが戦えなければ東卍が負けることもある。
だから、お前は帰れ。
ドラケンには、解放されたことは口止めしとくように言え。」
真剣だけど。
(場地さんは、本当に東卍のことを考えてる。)
その為に、悪役になったんだ………。
「………ありがとうございます………。」
起き上がり、お礼を言うと。
さっきまで笑っていた場地さんが真剣な顔になり。
そっと私の頬を撫でた。
「もったいねぇな………。本当に俺のモンになんねぇ?」
そのまま引き寄せられる腕。
唇が触れそうになる瞬間………。
「ムグッッ………。」
思わず手で口元をガードしてしまった。
「ごめんなさい………。本当に、堅が好きなんです………。」
顔を真っ赤にしながら謝ると。
「…………ブァッハ(笑)勝てねぇ~!!」
白旗を上げるように手を挙げてベッドに転がった。
「夜が開ける前にここを出る。それまでは少し寝とけ。」
ぽんぽんと頭を撫でられ、場地さんは立ち上がる。
風呂、入ってくるわ。
笑いながら言うと、お風呂に向かっていった。
1人、部屋に取り残されて。
一気に緊張が抜けてベッドに横になる。
(良かった。場地さんは、ちゃんと東卍の人だ。)
気が抜けて泣きそうになる心を抑えて。
だんだんと体から力が抜けていく。
少しだけ休んだら。
(堅の所に帰れる………。)
それから数時間後。
場地さんに起こされて。
外を見ればバルハラのメンバーも居ない。
場地さんのバイクは颯爽と走り出し、猛スピードで走ってく。
その間も、尾行されていないか心配だったけど。
ーキキッッー
堅の家のあるビルの近くまで送って貰うと、バイクを降りてヘルメットを返した。
「んじゃ、ドラケンに伝言頼むな。」
牙を見せてニカッと笑い、走り出そうとしたから。
思わず腕を掴んでしまった。
「あ、あの!」
急なことで場地さんも驚き振り返るけど。
「場地さん、お願いします。
どうか、生きて東卍に帰ってきてください。」
真剣に。
それを伝えると。
びっくりした表情だった場地さんは、少し優しく笑った。
「………さぁな。」
そう呟くと。
不意に後頭部を引かれて頬に触れる唇の感触。
「………!!」
びっくりして場地さんを見ると。
「助けた駄賃にこれくらい貰っとくわ。」
じゃあな!
そう言ってすぐに走り去って行った。
(………帰らなきゃ!!)
周りに誰も居ないことを確認して、ビルに駆け込んだ。
痛くなるほど早鐘を打つ胸を抑えて。
エレベーターが階に着くと、受付のおじさんに頭を下げながら堅の部屋の前に立った。
(………大丈夫。)
そっとドアを開けると。
暗い部屋のベッドの上に。
まっすぐ何かを睨みつける堅が居た。
「…………浅葱!!」
ドアの開いた気配で私に気付いた堅は、驚いて。
「堅………!!」
思わず堅の胸に飛び込んだ。
「お前、逃げられたのか!?」
強く抱きしめながら、私の顔を確認するように、ペタペタと髪を避けて顔を見てくれる。
「………助けてもらったの………。」
もう、二度と堅の腕に戻れないんじゃないかとか。
あのまま今日の決戦になるのかとか、ずっと不安で。
ポロポロと涙が零れる。
「お願いだから………。
場地さんを東卍に戻して………。」
泣きながら、堅の胸にしがみつくと。
心のまま、思う言葉を吐き出した………。