和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
風に舞う
君の名前は?
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大したことじゃないのに。
さっきの光景が頭から離れない。
暗い川を見つめてただ足を揺らす人。
来た道を戻り、さっきの橋に着けば、そこにはまだ欄干に座ったまま俯く人影。
夏で暑いのに、長袖の上着を羽織り、フードを被ってただ座ってるだけ。
ーキキッー
真後ろにバイクを止めてみたけど。
まったく動かないソイツはこちらを振り返ることもない。
(本当に幽霊じゃねぇよな?)
微動だにしない感じが少しだけ気持ち悪かったけど。
ゼファーのエンジンを切り、降りると座ったままのソイツの横にゆっくりと近づいてみる。
「なぁ、お前何してんの?」
声を掛けながら真横に立ち顔を覗き込む。
さっきは泣いてたと思ったけど、涙のあとも無くただぼんやりと川を見つめてるだけ。
見た感じ大人でも子供でもない女。
たぶん、同い年くらいか?
声をかけた事で少しだけ動いたそいつはゆっくりとこっちを見て、また視線を川に戻す。
「………何もしてない。」
ポソりと。
下手したら川の音にかき消されるくらい小さな声で返事をしたけど。
感情のない返事。
何もしてないのは見りゃわかるけど。
感情が無さすぎて今にも飛び降りそう。
「お前、中学生か?
こんな時間にこんな所に居たら補導されるぞ?」
話を続けようと話しかけてみても、ぼんやりしてるソイツは反応もせず。
なんとなく欄干に肘をついてソイツと同じ川を覗くと。
真っ暗な川はただサラサラと流れるだけ。
(見てて何が楽しいのかさっぱりわかんねぇ。)
話しかけても返事はないってことは自分と会話したくはないって事なのかもしれない。
しばらく黙って一緒に川を見てたけど。
「そんな所に座ってっと落ちるから気をつけろよ。」
本当にただ川を眺めてるだけなのだろうと諦めて帰ろうとした時。
橋を渡るトラックが横切った瞬間、少し強めの風が吹いた。
「あっ……」
横に視線を向ければ、風に押されて体勢を崩すソイツの姿。
「危ねぇっっ!!」
慌てて手を伸ばし、ソイツを抱きとめると、そのまま欄干の内側まで引き込む。
普段喧嘩で何人も殴り飛ばしてる手前、女1人くらい引っ張るのは大したことじゃない。
「お前、馬鹿か!?
あんな所で座ってたら落ちるって言っただろうが!!
何考えてっっ!?」
抱えたまま歩道に座り込み、怒鳴りながら顔を上げれば。
腕に掴まったまま固まる姿がそこにあった。
不意に被っていたフードが外れて街灯に照らされた顔を見た瞬間、怒鳴っていた言葉を遮るくらいの光景。
(なんだ、コイツ………)
さっきまでフードで見えなかった顔には、殴られたようなアザと、切れた口元が見えた。
言葉が切れたことで顔を上げたソイツと目が合うと、自分の顔を見られた事を確認したのか、ソイツは俺の腕からスルリと抜け出て立ち上がる。
「………おい、お前、それ………」
ソイツは一瞬だけ俺を見ると、また無表情のままフードを被り直した。
「………助けてくれて、ありがとう。」
また、ポソりと呟くと、ソイツは走り出した。
「お、おいっ!!」
呼び止めようとしたけど。
止まる様子もなく、走っていくソイツは暗闇に消えていった。
(……なんだったんだ、アレ………)
明らかに人為的に作られた傷。
全てを諦めたような瞳。
もしかしたら、本当に飛び降りようとしてここに居たのかもしれなくて。
でも、ちゃんと礼をして行ったってことは、そうでも無かったのか。
「………ワケわかんねぇ。」
頭をガシガシとかくと、立ち上がりゼファーに跨る。
色々疑問は残ったけど。
聞く間もなく帰ってしまったから。
(また、会えっかな……。)
そんな事を考えながらアクセルを吹かし、さっきより増えたモヤモヤを抱えて帰っていった。
別に大したことじゃない。
自殺しようとしてたのを止めただけ。
顔に傷があっただけ。
なのに………。
あの無機質な表情が、
俺の心に残った………。
さっきの光景が頭から離れない。
暗い川を見つめてただ足を揺らす人。
来た道を戻り、さっきの橋に着けば、そこにはまだ欄干に座ったまま俯く人影。
夏で暑いのに、長袖の上着を羽織り、フードを被ってただ座ってるだけ。
ーキキッー
真後ろにバイクを止めてみたけど。
まったく動かないソイツはこちらを振り返ることもない。
(本当に幽霊じゃねぇよな?)
微動だにしない感じが少しだけ気持ち悪かったけど。
ゼファーのエンジンを切り、降りると座ったままのソイツの横にゆっくりと近づいてみる。
「なぁ、お前何してんの?」
声を掛けながら真横に立ち顔を覗き込む。
さっきは泣いてたと思ったけど、涙のあとも無くただぼんやりと川を見つめてるだけ。
見た感じ大人でも子供でもない女。
たぶん、同い年くらいか?
声をかけた事で少しだけ動いたそいつはゆっくりとこっちを見て、また視線を川に戻す。
「………何もしてない。」
ポソりと。
下手したら川の音にかき消されるくらい小さな声で返事をしたけど。
感情のない返事。
何もしてないのは見りゃわかるけど。
感情が無さすぎて今にも飛び降りそう。
「お前、中学生か?
こんな時間にこんな所に居たら補導されるぞ?」
話を続けようと話しかけてみても、ぼんやりしてるソイツは反応もせず。
なんとなく欄干に肘をついてソイツと同じ川を覗くと。
真っ暗な川はただサラサラと流れるだけ。
(見てて何が楽しいのかさっぱりわかんねぇ。)
話しかけても返事はないってことは自分と会話したくはないって事なのかもしれない。
しばらく黙って一緒に川を見てたけど。
「そんな所に座ってっと落ちるから気をつけろよ。」
本当にただ川を眺めてるだけなのだろうと諦めて帰ろうとした時。
橋を渡るトラックが横切った瞬間、少し強めの風が吹いた。
「あっ……」
横に視線を向ければ、風に押されて体勢を崩すソイツの姿。
「危ねぇっっ!!」
慌てて手を伸ばし、ソイツを抱きとめると、そのまま欄干の内側まで引き込む。
普段喧嘩で何人も殴り飛ばしてる手前、女1人くらい引っ張るのは大したことじゃない。
「お前、馬鹿か!?
あんな所で座ってたら落ちるって言っただろうが!!
何考えてっっ!?」
抱えたまま歩道に座り込み、怒鳴りながら顔を上げれば。
腕に掴まったまま固まる姿がそこにあった。
不意に被っていたフードが外れて街灯に照らされた顔を見た瞬間、怒鳴っていた言葉を遮るくらいの光景。
(なんだ、コイツ………)
さっきまでフードで見えなかった顔には、殴られたようなアザと、切れた口元が見えた。
言葉が切れたことで顔を上げたソイツと目が合うと、自分の顔を見られた事を確認したのか、ソイツは俺の腕からスルリと抜け出て立ち上がる。
「………おい、お前、それ………」
ソイツは一瞬だけ俺を見ると、また無表情のままフードを被り直した。
「………助けてくれて、ありがとう。」
また、ポソりと呟くと、ソイツは走り出した。
「お、おいっ!!」
呼び止めようとしたけど。
止まる様子もなく、走っていくソイツは暗闇に消えていった。
(……なんだったんだ、アレ………)
明らかに人為的に作られた傷。
全てを諦めたような瞳。
もしかしたら、本当に飛び降りようとしてここに居たのかもしれなくて。
でも、ちゃんと礼をして行ったってことは、そうでも無かったのか。
「………ワケわかんねぇ。」
頭をガシガシとかくと、立ち上がりゼファーに跨る。
色々疑問は残ったけど。
聞く間もなく帰ってしまったから。
(また、会えっかな……。)
そんな事を考えながらアクセルを吹かし、さっきより増えたモヤモヤを抱えて帰っていった。
別に大したことじゃない。
自殺しようとしてたのを止めただけ。
顔に傷があっただけ。
なのに………。
あの無機質な表情が、
俺の心に残った………。