和楽器バンドの夢専用の名前になります♪
風に舞う
君の名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「浅葱も祭り行くか?」
今日は武蔵祭り。
前々からエマやタケミッチが行きたがっていて、用事で行けないマイキーの代わりに行くことになっていた。
浅葱も連れてくつもりで居たから聞いたのに。
曇った表情で首を振る。
「ごめん。
人混みは嫌い………。」
申し訳無さそうにしてたけど、人混みが嫌いならそれはそれで仕方ない。
「そっか。
じゃあ、何か買ってきてやるよ。何がいい?」
屋台で売ってるものならなんでも良いぞ?って言ったのに。
何も要らないと言う。
祭りの時間まではまだあるから、ベッドでゴロゴロしていると、浅葱はお菓子を食べながらベッドの足元に寄りかかりテレビを見ている。
「夜から雨だって。」
ポリポリとポッキーを食べながら見ている天気予報には、深夜に雨マークがついている。
「あー………?」
天気予報を見つめる横顔は、何処か寂しそうで。
起き上がりベッドと浅葱の間に体を滑り込ますと。
浅葱は嫌がる事無く身を任せて寄りかかる。
腰に腕を回し、浅葱の腕を掴むと、持っていたポッキーを食べる。
「美味しい?」
顔を半分こちらに向けて聞いてくるから。
「甘いな………。」
そのままぼんやりとテレビを見る。
テレビを見たい訳じゃなくて。
寂しそうにしてる浅葱に触れていたい。
「………ちいせぇ手。」
俺の手の横に並んだ浅葱の手はあまりにも小さくて、そっと掴むと。
「ドラケンさんの手が大きいんだよ。」
クスクスと笑って、握り返してくる。
喧嘩ばかりして拳が平らなゴツゴツした手に収まる細い指。
強く握ったら折れそうだ。
「前から思ってたけど。」
細い指を弄びながら、ふと思ったことを口にする。
浅葱はキョトンとした顔を向けてくる。
「『ドラケンさん』て、やめねぇ?
なんかむず痒いんだわ(笑)」
前から思ってた。
浅葱にドラケンて呼ばれるのも、さん付けも違和感があって。
できるなら違う呼び方がいい。
「じゃあ、なんて呼んだら良いの?」
撫でる指を握り返しながら、困った顔をするから。
腰を抱く腕に力が入る。
「………堅でいい。」
名前で呼んで欲しいと思ったから。
テレビに視線を送りながらぶっきらぼうに言い放てば。
「……………堅。」
ポソりと、恥ずかしそうな。
小さな声が俺の名前を呼ぶ。
「なんだ?」
返事をして浅葱を見ると、耳まで赤くして顔を背けてる。
(おもしれぇ。)
笑いそうになる気持ちを押さえて、頭を撫でた。
「んじゃ、そろそろ行くわ。」
立ち上がると、笑って手を振ってくれる。
「帰るまで雨降らないと良いね。
行ってらっしゃい。堅。」
恥ずかしそうにはにかみながら。
「おぅ。」
俺も吊られて笑って手を上げる。
ドアが閉まるまで。
浅葱は笑っていた。
(土産にりんご飴でも買ってやるか。)
鼻歌混じりにエレベーターに乗り、笑う浅葱の顔を思い出す。
色んな表情を見て、もっと触れたい。
そんなことすら考えてしまう。
あの時自分の気持ちに気付いてたら。
きっと後悔なんてしなかったんだろうな………。
ー数時間後ー
屋台ではしゃぐエマに付き合ってるうちに、タケミッチとはぐれて。
そのうち会えるだろうと気にしなかった。
予報より早く降り出した雨に眉を顰めつつ、帰ろうとした時。
ぺーが特服を着て現れた。
メビウスの残党と共に。
不意打ちを喰らい、頭から流血。
残党と戦ううちに、意識も朦朧としてきた。
その最中でも。
浅葱の居るあの部屋に帰りてぇって。
思っちまった。
(早く終わらせて………
浅葱が………待ってる………。)
どんどん増えてく残党と、助けに来た東卍が抗争になり。
終わりが見えねぇ………。
「ドラケンよぉ、あん時はよくもやってくれたな!」
メビウスの残党の中に、見覚えのある顔があった。
「お前…………。」
浅葱の兄貴。
ただでさえ流血しすぎでふらついてるのに。
俺を集中して潰そうとしてる。
「うっせぇな!大人しくくたばれや!」
殴り掛かる浅葱の兄貴を掴み、振り飛ばそうとした瞬間。
まっすぐ走ってきた東卍の特服を着た男がぶつかってきた。
「あ…………?」
体当たりを喰らった瞬間。
腹部に感じる鈍い痛み。
「お前………キヨマサ………。」
目の前には、血の着いたドスを握りしめたキヨマサが。
焦点の合わない目で何かブツブツ言っている。
「オレはやってやった………。
ドラケン潰してやった………。」
あまりの痛みに膝からは力が抜けて。
「あ………クソっ…………。」
びしょ濡れのアスファルトに倒れ込む。
視界はどんどん狭くなって。
死ぬかもしれない。
そう思った時。
『………堅………。』
はにかみながら手を振る浅葱の姿が脳裏に流れた。
こんな事ならもっと浅葱のこと抱きしめておけば良かった。
そんな後悔ばかりが頭をよぎる。
今まで女のことなんて考えた事無かったのに………。
(そうか………俺…………浅葱に惚れてたのか………。)
薄れゆく意識の中。
気付くのが遅すぎた気持ちに後悔しかない。
(浅葱に………会いてぇ………)
そして、視界は真っ暗に閉ざされた………。