―眞へ―

こんにちは。
こんばんは？
この手紙を眞が気づくのはいつだろう？
でも、きっとそんなに時間はかからないだろうな。

眞はギターが好きだから。


眞と出会って1ヶ月。

あっという間でした。

びっくりしたり、楽しかったり、嬉しかったり。

こんなに濃い1ヶ月を過ごしたことは、きっと今まで1度もなかったと思う。


ありがとう。

眞は1ヶ月で大分変わったね。
初めの頃はほとんど笑わなくて。
ただ、疲れきった顔で。
でも、自然に笑うようになった。

私は、とても嬉しかったよ。

眞はもう大丈夫。
そして、眞には戻らなきゃいけない世界がある。
私はそう思えたから、眞を元の世界に戻すことを決めました。

心の準備も無しに戻されて辛かったかもしれない。

それは、ごめんなさい。

でも、眞は私に本当の姿を知られることが嫌だとわかってたから。


大丈夫だよ。
もう、眞は元の世界で羽ばたける。
傷はもう癒えてるよ。
だから、これからはそっちの世界で笑っていて欲しい。

私もね、眞のおかげで変われたんだよ。

今まで音が聞こえないことを辛いなんて思わなかった。
これが当たり前なんだと。
でも、眞と出会って、1ヶ月過ごして、もっと色んな音が聞きたい、眞の奏でる音楽、眞の唄う曲が聞きたいって思えた。


だから、私はアメリカに行くことにしました。
耳の手術を受けることにしたよ。
成功すれば、ちゃんと聞こえるようになる。

ずっとためらってたけど、眞のおかげで決心がついた。

ありがとう。

どれくらいかかるかわからないから住んでいた部屋は引き払うことにしました。

もう、二人で居たあの部屋はありません。

これからは、二人、新しい道を歩こう。

私は世界のどこにいても、眞のこと応援してるから。
眞の作る世界をしっかり見てるから、また新しい音楽を作ってね。

世界のどこかで、眞の名前を聞くたびきっと嬉しくなる。
大切なもの、思い出、いっぱいあるから。





もし、神様がいて、悪戯でもまた会えることがあったら、初めて眞を見つけた私のように、今度は眞が私を見つけてね？

その時まで、バイバイ。

ありがと。


―浅葱―


そんな手紙とともに、白い押し花が添えられていた………。