第1章 高鳴る胸

あの予言から時は経ちー。

西暦830年、暗黒時代中世期の春。


暗く厚い雲が覆う空の下。初めて踏む草の音と、少し冷たい空気の温度を感じながら森の中を進む多くの生徒達の姿があった。


今日はこの森の先にあるマゼラブ魔術学校の入学式だ。

魔法使いは10歳になると、魔法学校へ通わなければならない義務があり、7年間魔法を学び、魔力と知識を身に付ける。


しかも、マゼラブ魔法学校は数ある魔法学校の中でも、最も伝統深く建物がお城のような作りになっており、女神や学校を守る巨大な生き物がいる事でも知られている。

更には、この学校にはクラスごとに宿舎があり、1人一部屋を自由に使えるようになっている。

もちろん、生徒が快適に過ごせるようにと生活設備はきちんと備わっており、授業に使う教材も揃えてくれる。


これは、学校長の気遣いで…それが生徒達がマゼラブ魔法学校を選んだ最大の理由である。


なぜならここには、マゼラブ魔法学校の創立者であるマゼラブ・フラン学校長がおり……。

学校長は、数ある魔法学校の中でも1、2を争う魔力の持ち主で、学校長に憧れ入学する生徒が多いのだ。


だが、学校長は厳格な先生としても知られている為、生徒達はひと目でも気に入られようと、日々勉強に励んでいる。



森を抜け、マゼラブ魔法学校の門番が見えてきた言葉で、生徒達は歓声を上げた。


……と、そこへ。
門番である犬のヨハイムが生徒達を軽く唸りながら威嚇した。
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