第6章 待ち望んだ未来

それと同時に盛大な歓声が上がる。
ルエリーヌは嬉しさの余り涙を零した。

あの頃は落ちこぼれだからと軽蔑さえされていたのに、今となっては皆が認めてくれている。

それは、ルエリーヌにとって大きな自信へとなった。


ルエリーヌは学校長に向かい合うと、煙突の付いた宿舎を譲ってほしい事を言った。

すると、学校長は最初からそのつもりだったようで、頷いて窓辺から見える中庭の方へ指さした。


「…あの部屋は、君にふさわしいだろう。それに、君の新しい暮らしの場所は中庭だと決めている」

「……先生…」

「…皆もルエリーヌが中庭を使っても構わんだろう?」

学校長は生徒、先生全員に聞くが皆が頷いていた。



「…ありがとうございます!」

ルエリーヌはお辞儀をして笑った。

それを見た学校長は大きく手を広げて杖を振り、宿舎を中庭へと移動させ、更には宿舎と中庭の大きさを広くした。


窓から見えた光景に誰もが釘付けになり、全員が中庭へと駆けてゆく。


それを追いかけるようにして、ルエリーヌも中庭に向かうと、そこにはジャックが待っていた。


ルエリーヌは思わず学校長へと目を向ける。

「………ジャックを君に貰って欲しい。ジャックも君ならばとああして待っていた」


「…ほら、ルエリーヌ!行きなさいよ!」

クテラに背中を押されるようにして、ジャックへと近づいたルエリーヌはジャックに口を開いた。


「…ジャック。これからも私と一緒に居てくれる?」

「…君がここに居てくれるなら」

ジャックはそう言うとルエリーヌにすり寄った。


その光景に再び拍手が巻き起こり、学校長はもう全ては解決したとでも言わんばかりに生徒を解散させた。
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