第6章 待ち望んだ未来

「…っ!フェルザ・スーペ!」"切り裂け"

ルエリーヌの放った魔法は、セスザクの木の幹を真っ二つに切り裂いた。

セスザクは奇声を上げ、灰になり消えていく。

それを見たファメルは目を見開きヴァイザーを召喚した。


ヴァイザーは、頭は虎。ドラゴンのような長い尾に、爪は鋭く凶暴で雷による攻撃をする怪物だ。


ルエリーヌは少し距離を取ろうとしたが、足が上手く動かない。

どうやら、先程のセスザクが巻き付いた根にも毒があったようだ。


「…根にも毒を仕込んでいたわね」

「…ははは!何を言う。セスザクは毒の木だ。忘れたか?」

「………ルエリーヌ」

学校長の声に振り返り、ルエリーヌは微笑みながら口を開いた。


「…帰ったらすぐに解毒薬を飲まなきゃいけないですね」  

それを聞いたファメルは怒りを露わにする。

「…ここから生きて帰るつもりか。面白い!お前はここで死んでもらうぞっ!!」

そう叫ぶと同時に、ヴァイザーがルエリーヌに向って尾を振りかざす。

それをなんとか避けたルエリーヌは呪文を口にする。


「…キハンディル・ゲールデェ!」"水流よ、渦を巻け"

大きな水流は、ヴァイザーの体を覆い渦を巻きながら更に大きくなるが、ヴァイザーの放った電撃により効力を失った。


毒が回らないように魔法をかけたルエリーヌは、セスザクよりも小回りがきくヴァイザーを見た。


……こうなったら、相手の魔法を倍にして返すしかない!そう思ったルエリーヌは、どんどんと攻撃魔法をヴァイザーに浴びせてゆく。


そうすれば怒ったヴァイザーが電撃を撃ってくるだろう。それが狙いだった。


それを見ていたファメルは、ちょこまかと動くルエリーヌの動きと魔法を予想していなかったのか、唇を噛み締めた。
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