序章

そんな見えない未来を予言した所で、何が変わるのか。

どこにもない答えを探すかのように、どうした良いのかさえ分からなくなってゆく。

その2つの想いが重なり合い、焦る気持ちはより一層、不安ばかりを生んでいった。


人々はこれを理由に、予言の言葉が真実であり、実現するのだと信じはせず、逆に不安ばかりを招く原因となると考えていた。



そうでもしないと、闇の力に負けてしまうような、そんな気がしてならなかった。

現に、未来に希望があると安心しきってしまい、また大勢の犠牲者が出てしまう事を避けたかったからでもある。



これは未来を予言した魔法使いも見通していた事で、自身もそう感じていた。

それでも、見えない未来でも希望を持ち、自信を見失ってはいけないと伝えたかったのだ。

それが上手く伝わらなかったせいで、魔法使い達から非難された予言の魔法使いは、自身の居場所を求めるかのように、その町を去って行ったというー。

その者が居なくなった事で、人々はこれで悩む心配が消え去ったと喜んでいたが、ますます深くなってゆく闇に気付かずにいた。



そう。
あの予言はこれから起こるであろう、闇の力によって引き起こされる数々の災いを見据えてのものであった。

足早に近付く魔の手が迫りつつあり、それを止める事が出来るのは"白い魔法使い"だけである事を。


それを知らない人々はこの後、どんな事が待ち受けているのかを…。

この時はまだ、誰も1人として予想していなかったのだー。
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