第6章 待ち望んだ未来

一歩進む度に濃くなってゆく煙。

これを見たルエリーヌは試しに呪文を口にした。

「…リグリシオ!」"闇の力よ去れ"

その魔法により、たちどころに消え去る煙。

それに代わるようにして現れたのは、青白い顔に鋭い目つき。鼻は潰れ、肌は魚の鱗のようなもので覆われたファメルだった。


「…ほう?これが幻術だと見破るとは。……流石は白い魔法使い」

不気味な笑みを浮かべたファメルは手招くように手を動かしたが、ルエリーヌは問いかける。


「…ガバリーはどこ?」

「…ふははは!ガバリーは、この私。このファメルの体の事よ」

「…やはり死んでいたか」

学校長は静かにファメルを睨んだ。

「…そうですよ学校長。……この私の顔をお忘れですか?」

そう言ったファメルは、両手で顔を覆い、顔をガバリーの顔へと変えた。

それを見たルエリーヌは少し震えながらも口を開いた。


「…ファメル……。いいえ、ガバリー。貴方は、自分の魂と引き換えにファメルを甦らせた。そして、その代償に自分の体を与えたのね」

「………2つの魂が体を取り合っているのか」

学校長は更に睨みつけた。


そう。ガバリーは、自分の命と引き換えにファメルを甦らせ、体を与えた……いわば傀儡と同じだ。


これはもう禁じられた魔法で、封印が施してある。

その封印を破ってまで事を成したのだ。

「……白い魔法使いもきっと、闇の力の素晴らしさの虜になるはず」

ガバリーはそれだけ言うと、ファメルの顔に戻り呪文を唱えはじめた。

それを見た2人は距離を取る。

何故なら、ファメルが唱えているのは召喚魔法だからだ。


呪文を唱え終えたファメルはニヤリと笑い口を開いた。
2/8ページ
スキ