第5章 忍び寄る闇

「…リトゥル・エッペンド!」"闇よ去れ"

一瞬にしてルエリーヌを包んでいた闇を払うと、ルエリーヌはそのまま意識を失った。



「…おのれ!よくも!」

「…ビメーテ・プルテ・ヴァスー!」"消滅せよ"


そう唱えると、何事もなかったかのようにルエリーヌは宙に浮いていた体をベッドに横たえた。





「…今のは幻術……」

この事態に気付いたジテリア先生と学校長は、ルエリーヌの宿舎部屋にきていた。


あの夢は、宿舎部屋で起きた幻術が作り出した現実の世界。

しかも、それを夢だと思わせていた。

「…やはりファメルか。……ずっと隠れていたのはルエリーヌを襲うためか…」

「…学校長。出来ました解毒薬です」

そこへ。ファイス先生がルエリーヌの部屋へやってきて、学校長は解毒薬をルエリーヌに飲ませる。


ラフィーは屋根裏部屋でひっそりと見守っていた。



数分後。
ゆっくりと目を明けたルエリーヌは学校長の姿を見て少し微笑んだ。


それを見た、3人と1匹は安堵したがまだ気は抜けなかった。


死んだと思われていたファメルが蘇ったと予言され、実際にルエリーヌはこうして幻術をかけられた。


それは、魔法使い達にとって危険が迫っている事を意味している。


ルエリーヌは夢で見た、光景を思い出し、ファメルがいたのはデラグォーザ"滅びの地"であった事を伝えた。




滅びの地。それはマゼラブ魔法学校より遥か北にある地で、闇の力が集まる地でもあった。


だが、そこは魔法によって見つけられないようになっている。

………嫌。奇襲攻撃をしかけてきたという事は、きっとファメルも知っているのであろう。

白い魔法使いが現れた事を。そして、それがルエリーヌであると。



それならばもう迷う事はなかった。
その地におもむき、対決するしかない。



……そう感じた4人は、頷き決断した。
その地を目指し、ファメルと対決するとー。
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