第5章 忍び寄る闇

「…よう"煙突の下のルエリーヌ"…もう今日は授業は終わりか?」  

相変わらず憎まれ口を叩くラフィーにルエリーヌはそうよとだけ答えた。


「…ははーん。さてはまた呪いをかけられたか?……いや、腹を壊したか?」

「…呪いもかけられてないし、お腹も壊してないわ。……でも最近、自分の魔力が強くなっている気がして………」

「…魔力が強く……?"煙突の下のルエリーヌ"なのに?」

「……………真面目な話よ」

ラフィーを軽く睨んでルエリーヌは真剣な目をしたので、それ以上けなすのはやめてこう言った。


「…なら試したらどうだ?例えば……私を宙に浮かばせるとか……」

「…でも、失敗するかも………」

「……なんだなんだ?いつもの"煙突の下のルエリーヌ"はどこへいったんだ?やる前から怖気づいてどうする」

……確かにラフィーの言う通りだ。

今までの自分なら可能性がなくても諦めなかった。

だが、今となっては自分の魔力の強さに対する恐怖と魔法を使うためらいがある。

それは、今まで自分がそのような魔力を持っていないと思っていたから。そしてその程度の力だったから。


でも今は違う。
その違いは自分が1番よく知っていたし、肌で感じていた。

自分がどこまでの魔法を使えるか、試してみたい!そう思ったルエリーヌはラフィーに頷いてみせた。

「…そうねラフィー。私はどこかで魔力が強くなった事に怖がっていたわ。でも、自分がどこまで出来るのかはやらなきゃわからないわよね!」

「……そうさ。いつまでもそうだと指をくわえてるだけになるぞ?」

ラフィーに言われて初めて分かった。
何もしないのではただ今まで通り、指をくわえてる事になる。

だが、今はBクラスになった。一通りの魔法を使えるだけの魔力はあるはず。
2/11ページ
スキ