第5章 忍び寄る闇

マゼラブ魔法学校に入学し早くも3年目を迎え、大広間では新しいクラス分けが行われていた。

3年目にもなると、もう見慣れた光景。

だが、ルエリーヌは少しだけまたGクラスになるのではないかと不安でいっぱいだったが、聞こえてきた言葉に耳を疑った。


「……Bクラス!」

「…え………!?」

「…なんだって!?"煙突の下のルエリーヌ"がBクラス!?」

「…また不正!?」

一瞬でざわつく大広間。

それを聞いていた一人の人物は立ち上がり言葉を発した。その人物とは、バリマースだった。


「………貴方達、見苦しいわよ?」

「…で…ですが………」

「…ルエリーヌは、私の友でありライバル。文句があるならこの私に言いなさい?」

勝ち誇ったような笑みを浮かべたバリマースにルエリーヌは微笑みながらこう言った。

「……ありがとうクテラ。皆さんの気持ちはよく分かります。自分でも信じられないので、私はあの宿舎を使い続けるつもりです」

Gクラスの席についたルエリーヌは、バリマースの言葉に友達のありがたさを感じていた。

それだけではない。

先程の発言もあってからか、皆は急におとなしくなりルエリーヌをちらちら見ながら授業に向かった。


ルエリーヌもその視線から逃げるようにして4階の北にある占い学の教室へと向かう。

教科書を開こうとしたルエリーヌだったが、グシーラ先生が入ってきたので本をしまった。


「…皆さん、ごきげんよう。今日は皆さんの前にある水晶で未来を占ってみましょう。…水晶をじっと見て……」

その言葉に生徒達は水晶を見つめる。先生は生徒の水晶を1つ1つ見て歩く。


ルエリーヌも水晶をじっと見つめた。

……すると。
水晶の中に黒い煙のようなものが見えたかと思うと、水晶全体を包み込んだ。


これを見たグシーラ先生はルエリーヌにそっと近付き小声で伝えた。

「………気をつけて。……闇が貴方に襲いかかるわ」

これが何を意味するのか分からなったが、魔法の特訓がしたかったルエリーヌはあまり気にしないように、宿舎部屋に戻った。
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