第4章 もう落ちこぼれとは呼ばせない

全く試験を担当しない学校長の姿に少しざわつく生徒達。だが、問題用紙と回答用紙を配られた事で、それまでうるさかったのが嘘のように静まり返った。



「…では、始めなさい」

先生の言葉に皆が一斉に問題用紙を開く。

その紙の音で、ルエリーヌも慌てて試験に臨んだー。





それから2日後。
授業を終えた夕方、試験の結果が手紙で届いた。(手紙には魔法がかけられており、音声で内容を伝える)

手紙を開いたルエリーヌの隣に座ったラフィーが祈るような目で手紙を見つめていた。



『……ルエリーヌ・トゥエラフ……………。合格!……点数は96点!』

聞こえた音声に居てもたってもいられなかったルエリーヌは掲示板を見に行った。(ここには成績優秀者を記載した紙が貼られる)


心臓が壊れそうなくらいに高まる中、ルエリーヌは誰もいない掲示板の前に立った。

…だが、そこにはいくら探してもバリマースの名前はなかった。(90点以下は記載されない)



一体……何点だったのだろうか。そう考えていた時ー。


「…あら"煙突の下のルエリーヌ"」

普段からは想像できない程、弱々しいバリマースの声にルエリーヌは驚きながら振り向くと、バリマースは唇を噛み締め、目は真っ赤に充血していた。


「…目が充血しているけど、気にしないで?……私の負けよ。…正直、貴方がここまで力をつけてるなんて思ってもみなかったわ。…もう貴方を"落ちこぼれ"なんて言えないわ。………これからはライバルよ!」


ライバル……そう言われた事になんだか嬉しくなった。
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