第4章 もう落ちこぼれとは呼ばせない

あれからどれくらい経ったのだろうか。

目覚めると白い天井が映り込んだ。

「…あれ……?私……」

周りを見渡すと、どうやら保健室に運ばれたらしい。

自分でむち、あの時の記憶はあまりなく、試験中に倒れてしまった事だけは理解できた。


「…気が付きましたか?」

「…あ……アレブレッソ先生」 

「…今日は1日安静にしていて下さい。また明日、試験を行いますからね?」

「…はい。……申し訳ありません」

アレブレッソ先生の言葉にルエリーヌは、ぼんやりとする頭で聞きながら再び深い眠りについた。




翌日。
今日は昨日の実技試験の休暇となっている日。
本来なら、宿舎部屋で明日の筆記試験に向け勉強しているはずなのに………。

そう思いながらルエリーヌは試験教室へと入った。


今日もアレブレッソ先生が担当なので、ルエリーヌはあの時使おうとした魔法を成功させれば良い事になった。


全神経を集中させー。

「…クイップ!」"砕け散れ"

目の前に置かれていた大きな岩に向けられて放たれた魔法は、真っ直ぐ当たったのだが……ルエリーヌはまたしても意識を失った。




暗闇の中、誰かの話す声が聞こえるも目が中々開かない。

少しずつはっきりとしていく話し声にルエリーヌはゆっくり目を開けた。

焦点が定まらない中、ぼんやりと見えたねは巨大な硬いなにかが自分の額にすりつけている感覚。

「…これジャック。その子をつつくでない」

「…起きる……起きるわ」

何かは分からないが、生き物である事は間違いなさそうだったので、つついてきたものに手を伸ばし、手触りの良い毛を撫でるとその生き物は、くすぐったそうに更にルエリーヌの顔にその毛を押し当てた。


「……気付いたかね?ルエリーヌ」

「…え……?が、学校長!?」

突然目の前に現れた学校長に驚いて飛び起きようとするルエリーヌを制して学校長は生き物に目を向けた。

「…ルエリーヌに紹介しよう。…その子は
ジャック。君の側にずっと居てくれた。……どうやらひと目で君を気に入ったらしい。ジャックは警戒心が強いのだが、自分から君に擦り寄っていた」

そう言った学校長の指差した先には、横たわるお腹に抱えられるようにしている自分の姿と、ルエリーヌに擦り寄る体制のジャックがいた。
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