第3章 目覚める魔力

『…どうして泣いているのです?』

「…だ、誰!?」

驚いてルエリーヌは周りを見渡すと、風のように現れたのは女神のフィセリアだった。

『…悲しみの涙……何か嫌な事があったのですね』

「…は………い」

女神の優しい声に下を向いたルエリーヌは消え入りそうな声で答えた。


『…大丈夫ですよ、さあ。元気を出して?』

そっと包み込まれた手には、水色の小さな花が置かれていた。

「…こ…れ」

『…それはユラゼームという花です。これを薬草学の先生に渡せば、貴方の手は治るわ』

そう言ったフィセリアは再び風のように消えていった。



「………驚いた。女神に会えるとは」

後ろから聞こえた声にルエリーヌは今のを見られていた事に気付いた。

「………学校長」

「…君は確か………ルエリーヌといったね?」

ルエリーヌは学校長の問に頷いた。

「…君が女神を呼び寄せたのかね?それにその花をどこで?」

「…分かりません……。女神様が私に下さいました」

「……そうか。ちょっと来なさい」

声色を変えた学校長は、ルエリーヌを薬草学の教室へと連れて行った。
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