第3章 目覚める魔力
向こうもこちらに気付いたようで、口元に意味ありげな笑みを浮かべ、更に近寄ってきた。
「…あら、誰かと思えば"煙突の下のルエリーヌ"ここで貴方に会えて光栄だわ?」
たまたまとはいえ、バリマースに会ってしまいルエリーヌは愛想笑いを浮かべた。
それだけではなかった。
普段ならそんな事すら言わないバリマースが、あろうことかルエリーヌに向かって握手を求め右手を出してきたのだ。
本来なら嬉しいはずなのだが、バリマースは口元は笑みを浮かべといたものの、目は笑っていなかった。
こんなバリマースを見た事なかったルエリーヌは恐怖心を覚えた。
だが、なかなか手を握らないので、しびれを切らしたバリマースは自分からルエリーヌの左側を無理矢理掴み、そのまま引き寄せた。
「…勘違いしないで。私は待たされるのが嫌なだけ。……良いこと?貴方は私には絶対勝てないわ。まあ、私に言われなくても分かっているでしょうけど?」
耳元で囁かれた後、また強引に引き離されたルエリーヌを横目で見たバリマースはそれだけ言うと去っていった。
何がなんだか分からないままいたルエリーヌだが、先程バリマースに握られた手に違和感を覚え、恐る恐る手を開いてみると……。
そこには、丸く円を描いた、赤黒い模様がくっきりとあった。
これを見たルエリーヌは本を戻した後、夢中で走って中庭のベンチに座り込んでいた。
いつの間にか、ここが自分の惨めな気持ちを吐き出せる唯一の場所となっていたのだ。
自分にもう少し魔力があれば………。
悔しさと切なさが募り涙が溢れる。声を抑えるようにしてうずくまっていると、どこからか声が聞こえてきた。
「…あら、誰かと思えば"煙突の下のルエリーヌ"ここで貴方に会えて光栄だわ?」
たまたまとはいえ、バリマースに会ってしまいルエリーヌは愛想笑いを浮かべた。
それだけではなかった。
普段ならそんな事すら言わないバリマースが、あろうことかルエリーヌに向かって握手を求め右手を出してきたのだ。
本来なら嬉しいはずなのだが、バリマースは口元は笑みを浮かべといたものの、目は笑っていなかった。
こんなバリマースを見た事なかったルエリーヌは恐怖心を覚えた。
だが、なかなか手を握らないので、しびれを切らしたバリマースは自分からルエリーヌの左側を無理矢理掴み、そのまま引き寄せた。
「…勘違いしないで。私は待たされるのが嫌なだけ。……良いこと?貴方は私には絶対勝てないわ。まあ、私に言われなくても分かっているでしょうけど?」
耳元で囁かれた後、また強引に引き離されたルエリーヌを横目で見たバリマースはそれだけ言うと去っていった。
何がなんだか分からないままいたルエリーヌだが、先程バリマースに握られた手に違和感を覚え、恐る恐る手を開いてみると……。
そこには、丸く円を描いた、赤黒い模様がくっきりとあった。
これを見たルエリーヌは本を戻した後、夢中で走って中庭のベンチに座り込んでいた。
いつの間にか、ここが自分の惨めな気持ちを吐き出せる唯一の場所となっていたのだ。
自分にもう少し魔力があれば………。
悔しさと切なさが募り涙が溢れる。声を抑えるようにしてうずくまっていると、どこからか声が聞こえてきた。