第3章 目覚める魔力

「…はい、ルエリーヌ」

先生に当てられた事で、全クラスの視線が集まる中、ルエリーヌは立ち上がって答えた。


「…はい、誰も見た事がありません」

「…それはなぜです?」

試すかのようにルエリーヌを見たアレブレッソ先生。ルエリーヌは堂々とした態度で答えた。


「…それは、ユニコーンは伝説上の生き物だからです。確かにユニコーンの血は命を与え、その血を吸った者は不老不死になると言われていますが、その姿は魔女ではないかという説もあります。……また、確証はありませんがユニコーンを見た者は死ぬとも言われています」


「…素晴らしいわルエリーヌ!よく勉強しているのですね!……そう、ユニコーンは伝説が生み出した生き物。その事を十分に理解しましょう」

そう言ったと同時に授業が終了し、皆が教室を出て行く。

ルエリーヌも教室を出ようとしたのだが、アレブレッソ先生に呼び止められた。


「…今日の回答は素晴らしかったです。勉強も大事ですが、たまにはゆっくりお休みなさい」


「…先生……」


「…学校長に聞きました。しっかりと勉強した上で分からない所は本を読んでその答えを探していると」


アレブレッソ先生の言葉にルエリーヌはそんな所まで見られていたのかと思い、はにかみながら答えた。


「…私はただ、分からない事をきちんと分かるまで勉強しないと納得できない人のようです」


「…そのようですね。その教科書を見れば分かります。まだ新品同様な生徒が多い中、ルエリーヌ。貴方だけはこんなになるまで勉強している。影で何を言われているかは知りませんが自信を持ちなさい」


「……ありがとうございます!」


アレブレッソ先生の言葉に勇気付けられ、宿舎に戻ったルエリーヌはファイス先生からもらったドイリーテの匂いを嗅ぎながら心地よい眠りについたー。
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