第3章 目覚める魔力

本来なら、学校長に慰めてもらうなんて普通なら考えられない。

もし、そうするならバリマースのような………。

魔力の高い人が相応しいのに、どうして私なんかを気にかけて下さるのだろう。

そう考えていた時ー。



「…ヌ!…ルエリーヌ!聞いているのですか?」

アレブレッソ先生の声で、自分が古代文字学の授業中だという事を思い出したルエリーヌは小さくなりながら謝罪した。


学校長が言った言葉の意味ばかり考えていたので、授業をまともに聞いていなかったのだ。

…遅れてやってきたというのに、なんという有り様だろうか。



「…聞いていなかったようなので、もう1度聞きます。…生き物に命を与える呪文とそれを更に高める事ができるものを答えなさい」

呆れ顔の先生から質問されたルエリーヌは立ち上がって答えた。

「…はい。生き物に命を与える呪文は黒魔術が主となる魔法で、呪文はアルサ・ブレン・ザルザ"命を与えよ"です。……それを更に高めるのは、ユニコーンの血です」


「…はい、良いですね。この授業では白魔術の基礎基本から教えていくので、黒魔術はまだ使えませんが、覚えておくと良いでしょう。……では実際にユニコーンに会った者はいますか?……クテラ・バリマース。答えて下さい」

質問されたバリマースは答えなかった。
……いや。答えられなかったのだ。


暫く無言だったバリマースは悔しそうに俯いた後、消え入りそうな声で分かりませんとだけ答えた。

「…では、皆さんに質問します。……分かる人、いますか?」

その途端、教室は水を打ったように静かになった。

そんな中、ルエリーヌが静かに手を挙げた。(前にユニコーンについて勉強した事があったからだ)
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